10 / 63
9
しおりを挟む今日はフローラが学園を休み、
「アメリア、今日食堂に行かない?」
「良いわよ」
昼食の時間になり、私とデイジーは食堂へ向かった。
今日もたくさんの人がいる食堂。私達も並び順番を待った。
「おい」
突然話しかけられ、
「プリン美味しくなかっただろ?」
「あ、はい」
「フッ、だから言ったんだ」
貴方の笑った顔、初めて見たわ。
私は胸が高鳴った。
「プリン代、すみませんでした」
「あれくらい気にするな」
「はい。ありがとうございました」
貴方は中に入って行った。
「驚いたわね」
「急に話しかけられると驚くわよね。でもお礼が言えて良かったわ」
「もう私は頼まないわ」
「ふふっ、私もよ」
順番になり私達は中へ入り注文した昼食を手に空いてる席に座った。
「ねぇアメリア」
「なに?」
「貴女のお兄様」
「お兄様?」
デイジーの視線の先に、お兄様と女性が仲良さそうに並んで座り昼食を食べていた。
「隣の女性、確かランフェル様の婚約者よ?貴女のお兄様、大丈夫なの?」
だから貴方は私を睨むのね。
婚約者と仲が良い男性の妹だから…。
「あの人、あまり良い噂聞かないわよ?」
「噂?でも、婚約者いるんでしょ?」
「ランフェル様も何も言わないみたい」
「そう、」
「お兄様、気をつけた方が良いわよ」
「それとなく聞いてみるわ。婚約者がいる人と仲良くするのは良くないもの」
「そっちじゃないわよ」
「え?」
「男癖が悪いって噂よ?それに男女のあれこれも聞くわ」
「そうなの?」
「だから気をつけた方がいいって言ってるじゃない」
「そうね」
帰りの馬車の中、
「お兄様、今日食堂にいた?」
「いたけど。突然どうした」
「私も今日は食堂に行ったの」
「なら声をかけてくれれば良かっただろ」
「お兄様、女性と一緒に座っていたから声をかけられなかったの」
「そうか」
「あの女性は恋人?」
「なんで?」
「とても仲良さそうに見えたから」
「あ、そう、見えたか?」
「恋人かと思ったわ」
「そうか」
お兄様が照れた顔をした。
「お兄様はあの女性が好きなの?」
「まあ、な、」
「でも、婚約者がいるって聞いたわ」
「ああ」
「婚約者がいる人なのよ?」
「彼女は寂しい人なんだよ」
「寂しい人?」
「婚約者が冷たいらしい」
「それでも」
「放っておけないんだ」
「それに悪い噂があるって」
「それも誤解なんだ。俺も噂は聞いている。でも、彼女は噂通りの女性じゃない。彼女に気を持つ奴が多いだけで彼女は清楚な女性なんだ」
「噂は噂だとしても、」
「分かってる。彼女が言っていたんだ。婚約者とはもうすぐ婚約を解消する。だから待っててほしいって。そしたら俺と婚約するって」
「え?」
「彼女は侯爵令嬢だから身分が違うのは分かってる。それでも身分の下の男爵でも良いって言ってくれた」
「お兄様」
「婚約解消したら迎えに行くと約束した」
「それでも、」
「分かってる。それまでは2人になるのを控えるよ。だから今は目を瞑ってくれないか」
「分かったわ。一応確認なんだけど」
「なんだ?」
「何もしてないわよね?」
「お前は馬鹿か!当たり前だろ!」
「本当に?」
「俺だって貴族の端くれだ。手は出さない」
「なら良いんだけど」
「本当にそんな女性じゃないんだ。少し手が触れただけで真っ赤にして恥ずかしがる女性なんだ」
「そうなの?」
「だから噂通りの女性じゃないって言っているだろ」
「そう」
「あと少しなんだ」
「え?」
「後は向こうの返事待ちだって言っていた」
「そう」
でも、その女性、侯爵令嬢なのよね?婚約者はランフェル様。ランフェル様は公爵令息よ?ランフェル様から婚約解消するなら分かるけど、公爵家の返事待ち?
女性の家はきっと余程の権力者なのね。
14
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
勘違いだらけの契約婚
仲室日月奈
恋愛
「血塗られし瞳を持つ忌み子」と揶揄され、厄介払い同然で売られた伯爵令嬢のミリアリア。こんな自分を望んでくれた若き侯爵へ嫁ぎ、恩を返すため忠誠を誓う。臣下として尽くす姿勢に、夫が内心ひどく狼狽しているとは知らずに──。
誤解と忠誠が交差する、契約夫婦のすれ違いラブコメ。契約で結ばれた二人が、本当の夫婦になるまでのお話。
【忠犬系ヒロイン×感情整理が追いつかない旦那様】
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる