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7 公爵令嬢最後の日
しおりを挟むエドワード王子の私室から事務官と一緒に出た私は事務官にお礼を言い、足取り軽く馬車に乗り込んだ。
馬車は数分で公爵家へ着いた。
ここからも気が抜けないわ。
馬車から降り、そのままお父様の書斎へ向かった。
コンコン
「シャーロットです」
「入れ」
書斎に入りお父様と対峙する。
「何だ」
「エドワード王子と婚約破棄しました」
「何だと!」
お父様は怒鳴り声をあげて立ち上がった。
「お前の価値はエドワード王子の婚約者だけだ!それさえもまともに出来ないのか!だから言ったんだ、お前じゃなくてサーラを婚約者にと!
お前に今までどれだけお金を使ってきたと思う!」
勝手に寄付という名の賄賂を贈ってきただけでしょ?
お父様が賄賂を贈っていた相手はエドワード王子に仕える人達。エドワード王子に他の女性を近寄らせないように、婚約者の私の地位を盤石にする為に。
でも全く役に立っていなかったけど。
今回私が頼んだ事務官は公正に物事を判断する議会の事務官。もし賄賂を贈るなら議会の事務官に贈るべきだったわね。
受け取るか受け取らないかは別だけど。
「お前が婚約破棄されたなら今度こそサーラをエドワード王子の婚約者にする」
サーラは戸籍上では異母妹。でも全く血の繋がらない義理の妹。
お父様は自分の娘だと思っているけど、知らぬが仏。見れば直ぐに分かるのに。
どこにお父様と似た所があるの?
お母様が亡くなり、お父様は葬儀が終わって一週間後に義母と義妹を邸に呼んだ。お父様が平民の女性を愛人にしていたのも知っていた。
「シャーロット、新しい母親とお前の妹だ」
お母様が亡くなり悲しんでいる7歳の私に義母と義妹を受け入れる事は出来なかった。
それでも義母はまるで自分の邸のように振る舞い、私に付いていたメイドは義妹のサーラに付かせた。唯一まだ入ったばかりの見習いメイドだったメアリだけを私に付かせて。
お父様と結婚したなら自分の邸のように振る舞っても間違いじゃないわ。それでも7歳の私にはそれが許せなかった。
ここは私の家、私のお母様は亡くなったお母様だけ!
元々お父様から邪険にされていた私は孤立した。食事は部屋で一人で食べ、洋服はサーラのお古。
それでもエドワード王子の婚約者選びに呼ばれたのは私だけ。
「お姉様だけずるいわ」
「本当よ!どうしてサーラが呼ばれないの!」
義母とサーラはお父様に詰め寄っていたけど王宮からの呼び出しは私の名前しかない。呼ばれてもいないのに行かせる事は出来ない。
公爵当主のお父様は自分の保身に走った。
サーラを無理矢理行かせれば周りからの反応は、白い目で見られ嘲笑される。公爵家としては致命的となる。
婚約者選びの為にドレスと髪飾りを新調した。それも王宮から帰って来たらサーラが奪っていったけど。
婚約者に決まり、それから義母とサーラは私に嫌がらせをしだした。食事は具が少しだけ入ったスープ、前日の残ったパン、誰かが食べ残した肉の欠片。
でも王宮へ王子妃教育に行けば昼食は王宮の料理が食べれるから栄養は取れていたわ。そこは婚約者になれて良かった所ね。
毎日王宮へ行く為にお父様は私にドレスを新調した。サーラは新調したドレスを欲しがったけど私をみすぼらしい格好で行かせる事は出来ない。
後妻を娶って前妻の子、それもエドワード王子の婚約者を蔑ろにしているなんて外聞が悪いもの。
それでもサーラが気に入ったドレスは奪われたわ。髪飾りも気に入れば奪っていった。
学園に入学してからは制服で王宮へ行くようになったから奪われる事はなくなったけど。
あと、サーラが唯一奪わなかったもの。それはエドワード王子から贈られた物。それだけはお父様にきつく言われたみたい。物欲しそうに見ていたけど、それだけは我慢していたみたいね。
私に贈った物をサーラが着ていたり付けていたら娘の教育も出来ないのかとお父様が白い目で見られるもの。
結局目の前のお父様は自分の身が一番可愛いのよ。
「エドワード王子の婚約者ではなくなったお前に価値はない!お前は用済みだ!今すぐ邸から出て行け!金輪際親でも子でもない!私の娘はサーラだけだ!」
私は着の身着のまま勘当された。
でもこれも想定内。
「お嬢様」
「メアリ」
「私はお嬢様と共に」
「ありがとう」
邸から離れた所に止まっている馬車に乗り込み、
「あはははは!バカな人!」
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