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しおりを挟むジルベーク、キース視点
夜、シアが寝た後、俺は騎士隊に向かった。
「イザーク、すまないが少しシアを頼めるか?」
「分かりました」
馬で5分走り騎士隊の棟に着いた。中に入りキースを探す。食堂で騎士達と話してるキースを見つけ、
「キース、良いか?」
「ジル、どうした?」
「ちょっと付き合ってくれ」
俺達は室内の訓練場に来た。キースと打ち合い、
「ジル、いつの間にか王女と仲良くなって良かったじゃん」
「ああ」
「二人なら愛を育めると思うよ」
「ああ、そのつもりだ」
「それで?どうしたの?何か話が合ったんでしょ?」
「ああ、俺はシアが好きだ」
「見てて分かったよ。王女も好意を持ってるみたいだし、良かったじゃん」
「ああ、シアも好きだと言ってくれた」
「本当に?良かったじゃん」
「ああ、なぁキース、俺はシアをもう手放せない。一生離すつもりもない。どんな状況になろうとも隣国に引き渡すつもりもない」
「それで良いと思うよ。王女が犠牲になる必要はないからね」
「俺はシアを俺自身の手で護りたい。命懸けて最後まで俺自身で護りたい」
「うん。それで?」
「この隊をお前に任せたい。俺は前線には行かない。無責任だと思ってくれても良い」
「う~ん、それは隊長を辞めるって事?」
「ああ、そのつもりだ」
「辺境伯はジルだよ?」
「騎士隊は辺境伯独自の騎士隊だ。だが、辺境伯が隊長で無ければならない訳ではない」
「確かにそうだけどさ~」
「お前になら任せられる」
「ジルは生真面目だからな。前線に行って戦うだけが隊長なのか?もし戦争になった時、一番護らなきゃいけないのは王女だ。国境が護れたって、隣国の手に王女が渡ったら、それは負けなんだよ。王女を護る為の戦争だ、違うか?」
「そうだが」
「隊長自ら王女を護り、隊を離れようと隣国の手に渡らなければ戦いの意味はある。ジルは強い。それに騎士達は隊長だからジルに付いてきてくれている訳じゃない。ジルの強さや人柄に惚れ込んでるから付いてきてくれているんだ」
「シアを護るのは俺の私利私欲だ。それに皆を巻き込む事は出来ない」
「俺はさ、王女に感謝してるんだ。ジルに手放せないものが出来て。愛する人を護る為ならジルは命懸けで護る。離したくない、死なせたくない、護りきる。それは愛する人を思う心だ。ジルは強い。それに心が入ったら、もっと強くなる」
「だが、皆も家族を護りたいのに戦う。それを俺だけ」
「なぁ、ジル、皆の家族には悪いけど、平民と元王女で辺境伯夫人の価値は違う。捕まれば政治的交渉の人質になる。交渉が断絶すれば躊躇なく殺される。元王女で辺境伯夫人には国を動かすそれだけの価値がある。それ位皆分かってるさ。何を一番護らなきゃいけないかって事ぐらい。ジルが王女を護る為に前線を離れるって言っても誰も文句は言わない。俺が言わせない。俺が前線で戦う」
「良いのか?」
「俺が負けるとでも思ってる?」
「いや、お前は強い」
「でしょ~?」
「すまないが任せる。お前になら任せられる」
「じゃあ、隊長のジルは絶対に王女を護って、隣国に渡さないでね」
「勿論だ。シアは俺が護る。隣国なんかに渡してたまるか!」
「そうだよ」
「それでだ、騎士達の力をもう少し上げたい」
「それは大事だね。もう少し力を付けてもらわないと。後、戦闘になった時の対人の訓練もしておいた方が良いと思う」
「ああ、一人で何人相手するか分からないしな」
「一対一しか戦えませんなんて言ってたら死ぬからね」
「ああ、出来ればこちらの被害が少なく済むならそれに越した事はない」
「じゃあ明日、ここに居る団長と副団長に指示しておくよ」
「任せる」
「明日から早速訓練しないとね~楽しみだな~」
「そろそろ本気で行くぞ」
「そうだね。準備運動は終わりだ」
お互い本気で打ち合いをした。
「やめーーー」
俺とキースはピタっと剣が止まり、声がした方へ視線を向けた。そこには汗だくのバンが居て、
「バンどうした?」
「どうしたじゃないですよ。イザークさんに頼まれて走って来たんですよ。二人が剣を打ち合っていたら大きな声でやめーって叫べって言われて」
「それは悪かった。帰りは誰かに送ってもらえ」
「レイとライと一緒に帰るから大丈夫です」
「そうか。気をつけて帰れよ」
「は~い」
バンが訓練場から出て行って、
「俺等って子供の頃から全く変わらないね。誰かに止めてもらわないといつまでも続ける。よく伯父さんに止めてもらって怒られたよね?」
「懐かしいな」
「勝敗が付かないからいつまでも止められない。お互い負けず嫌いだし。いつもならイザークが止めに来るのにね」
「シアを頼んで来た」
「あ~、じゃあ早く帰らないと。イザークに怒られるよ」
「ああ、急に悪かったな」
俺は急いで馬に乗り邸に帰った。
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