辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

文字の大きさ
41 / 60

41.

しおりを挟む

最近ジル様は忙しくしていてなかなかゆっくり話す時間が取れない。

今日は花の苗を植えようとジル様と約束をしていたんだけど、朝食の時に、


「悪い、一緒に花を植えようと言っていたんだが今は忙しくて時間が取れそうにない。俺も楽しみにしていたんだが」

「馬鹿王子の事もありますし仕方ありませんよ。一人で植えれる所まで植えるので大丈夫です。土いじり楽しいですもの」

「クルトとノールに手伝わせる」

「良いのですか?」

「二人は今日の護衛兼だ」

「分かりました」


朝食を終えジル様と外へ出て来たらクルト様とノール様が待っていて、


「シア、楽しむのは良いが休憩しながらだぞ?」

「分かりました」


ジル様は私を抱きしめ、


「行ってくる」

「お気をつけて」


私の額に口付けをして騎士隊へ行った。

とても生暖かい視線を感じ、私は振り返り、


「今日はお願いします。では早速苗を植えましょうか」

「「はい」」

「苗を植えた事はありますか?」

「俺は母親が花が好きなので子供の頃手伝っていました」

「素敵なお母様ね。では、クルト様は大丈夫そうですね。ノール様はどうですか?」

「ノールは俺が教えますよ」

「ではお願いします」


私は苗を植え始め、クルト様はノール様に教え二人は違う花壇を植えていた。

途中、休憩する為に声をかける。


「ノール様、休憩にしませんか?」

「…………はい」

「クルト様も休憩にしましょう」

「そうですね、喉が渇きました」


庭のテーブルには冷たい果樹水が用意してあり、


「どうぞ」


私は二人に手渡した。


「ありがとうございます」


元気なクルト様とは違い、


「…………ども」


ノール様は言葉少なめです。

私は喉が渇いていたのか一気に飲み、お二人も一気に飲んでいました。

確かノール様は奥手だと言っていたわね。確かに奥手かもしれないわ。


「王女様は隊長と仲が良いんですね」

「ええ」


沈黙の中、話題をふってくれたクルト様に感謝だわ。


「クルト様は?」

「彼女ですか?」

「ええ」

「いますよ。俺達も仲がいいです」

「まあ、素敵ね」

「ノール様は?」


カーラに聞いたなんて知ったら気を悪くするだろうし、クルト様に聞いたのにノール様に聞かないのも変だと思って聞いたけど、良かったのかしら。


「…………俺は……」

「ノールは女性が苦手で」

「ごめんなさい。でも誰しも苦手なものはあるわ」

「そうですよね」

「さあ、あと少し頑張りましょうか」


また黙々と花の苗を植えた。


「シア」


ジル様の声に振り向き、ジル様の元へかけて行く。


「ジル様」


私は抱きついた。


「もう昼食の時間だぞ」

「もうそんな時間でしたか」

「どうだ?」

「あと少し植えたら終わりです」

「それなら俺も一緒に植えるか」

「はい!」


ジル様と一緒に植えたらあっという間に植え終わり、


「シア、汗をかいてるぞ」


と、ジル様がハンカチで汗を拭ってくれ、


「ありがとうございます。それにハンカチ使ってくれたのですね」

「いつも持ち歩いている。シアから貰った大事な物だ」

「またお渡ししますね?」

「ああ、待ってる」

「昼食はジル様と一緒ですか?」

「ああ。それと昼食を食べた後に大事な話がある」

「分かりました」

「クルト、ノール、お前達はもう騎士隊へ戻れ。昼からは俺がシアの側にいるから大丈夫だ」

「「分かりました」」

「クルト様、ノール様、今日はお手伝いありがとうございました」


ジル様は私の手を引き邸の中へ入って来た。


昼食を食べ、書斎へ来た。ソファーに座り、


「シア、大事な話だが、暫く王城へ帰ってくれないか」

「どうしてですか?」

「キースから連絡がきた」

「王弟殿下の使いの者は何と」

「謀反を起こす」

「そうですか。陛下の返答は」

「返答待ちだ。鷹を飛ばしたから1週間以内には連絡が来ると思うが」

「辺境が戦場になりますか?」

「戦場にはならない。だが隣国から逃げて来た者は一人残らず捕らえ牢屋に入れる予定だ」

「平民もですか?」

「勿論だ。平民に成りすまし王や側近が逃げてくるかもしれない」

「妥当な判断ですね」

「その時刃向かえばその場で斬る」

「適切だと思います」

「その場をシアに見せたくない」

「ジル様、私は辺境伯の妻になります。辺境で一生生きていきたいのです」

「当たり前だ」

「ならその優しさはいりません。私は小娘ですがこの国の王女です。私は王女として、辺境伯夫人として全てを見るべきだと思います。目に入れたくないものを見ないのは簡単です。ですが目を背けていけないものから背けていては私は辺境伯夫人として失格です」

「そんな事はない」

「争いが起これば辺境は国を護るため、民を護るために騎士達が戦う場所です。ここで食い止め進ませない、その思いだけで戦う騎士達を置いて私だけ安全な所へ逃げれば私は辺境に帰って来れません。

逃げ出す辺境伯夫人がどこにいるのです」

「だが、」

「ジル様、私は辺境伯夫人として、貴方の妻として心構えは持っています。王女として覚悟も持っています。全てを見届ける責任が私にはあります。元を正せば始まりは私ですから」



しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。 偶然にも居合わせてしまったのだ。 学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。 そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。 「君を女性として見ることが出来ない」 幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。 その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。 「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」 大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。 そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。 ※ ゆるふわ設定です。 完結しました。

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

誰にも言えないあなたへ

天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。 マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。 年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。

愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】 幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。 そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。 クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです

大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。 「俺は子どもみたいな女は好きではない」 ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。 ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。 ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。 何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!? 貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。

君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。 マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。 そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。 ※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

処理中です...