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馬車は王宮へ着き、王妃様の侍女に案内され王妃様の私室へ向かった。中には王妃様が見え、
「王妃殿下、ご機嫌麗しゅう…」
「エミリーちゃん、堅苦しい挨拶は無しよ無し。エディーちゃんもよ?」
「「はい」」
「出来上がったのね。早速見せて貰うわ」
商会の従業員が一枚一枚布を取り、ドレスを掛けていく。
「まぁ素敵。どれも素敵だわ。やっぱり頼んで良かったわ。ありがとね」
「喜んで頂けて光栄です」
「請求書は宰相へ持って行って貰っても良い?後で案内させるわ」
「はい。それからこちらは商会からの贈り物です」
「何かしら?」
「頼まれていたドレスです。エディーナからドレスの説明をします」
二着のドレスを並べて掛けて、
「王妃様と王太子妃様、お二人を太陽と月と見立てました。
先に王妃様のドレスからご説明致します。深い青地に金色と黄色の刺繍糸で星の様に見立てました。そして薄いベールを少し明るめの青地で纏、歩く度にベールが揺れ隙間から星が輝くように仕上げました。腰部分の切り替えしの淡い黄色の生地で月を表しました。
次に王太子妃様のドレスは明るい青地に金色と黄色の刺繍糸で花の刺繍を刺し、こちらは白地のベールを纏う事で雲を表し、歩く度に花が咲き誇るように見えるように仕上げました。こちらも腰で切り替えしをし赤みの入った黄色の生地で太陽を表しました。
王妃様と王太子妃様、お二人が、一日中この国を照らす太陽と月の様に空から皆に光を届ける様を。 お二人がいつもこの国を見ていると、温かく民を護ってるという思いをドレスに込めました」
「素敵だわ。早速試着しても良いかしら?」
「はい」
「ついでに王太子妃も呼んで来て。試着して並んでみたいわ。エミリーちゃんは今のうちに宰相の所に行って来て良いわよ? 外の護衛を一人連れて行きなさいね」
「ありがとうございます」
私は王妃様付きの護衛の方に案内され宰相様の部屋まで来た。
コンコン
「誰だ?」
「ミリー商会経営者、エミリーヌです」
扉が開き、
「エミリーヌ嬢、どうなされた?」
「王妃様より請求書を宰相様へと」
「ああ、ありがとう。少し時間あるかな?確認しよう」
「はい。今は王妃様と王太子妃様がドレスに着替え中ですので」
「では中へ」
私は部屋の中のソファーへ案内され、侍従が用意したお茶を飲んだ。
「請求書は確認した。こんなに安くて間違い無いのか?」
「はい。仕立て直しと刺繍ですから」
「そうか」
「はい。 あの宰相様、私は今侯爵で婚約者も居ない令嬢です。ですが人払いをお願い出来ませんか?」
「それは出来ないが、人払いが必要な話か?」
「出来れば」
「分かった」
宰相様が侍従を部屋の外に出し扉を閉めた。
「ありがとうございます」
「嫌、話とは?」
「はい。ご子息のチャーリー様の事です」
「チャーリーが何かご迷惑を?」
「いえ。チャーリー様には私共が迷惑ばかり掛けておりますわ。今回の王妃様と王太子妃様のドレスでは布地の手配は全てチャーリー様が致しましたの」
「そうですか。では何か?」
「チャーリー様をこの国へ戻す事は可能でしょうか?宰相としての意見をお願いします」
「宰相として国外追放した者を国内に入れる事は出来ない」
「では、ミリー商会の経営者だとしたらどうです?」
「ミリー商会の経営者としてなら可能でしょう」
「そうですか。ありがとうございます」
「ミリー商会はエミリーヌ嬢の商会ではないのですか?」
「今はそうですわ。ですが、チャーリー様に権利をお譲りしようと思っておりますの」
「権利って」
「ミリー商会をここまで大きくしたのは紛れもなくチャーリー様。支店がこの国にある以上、経営者になれば二国を行き来するのは当たり前ですわ」
「そうですが」
「では宰相として伺います。ミリー商会が国へ納めてる税はいかほどでしょう。税以外にも寄付として納めてる金額はいかほどでしょう」
「確かにそうです。ミリー商会の経営者がエミリーヌ嬢と知り驚きました。税だけで無く寄付まで。それだけで高額です」
「はい。それ等を作り上げたのはチャーリー様の努力の賜物ですわ。経営者として何も問題ありません。そして経営者になればこの国の出入りを認めるしかない。違いますか?」
「はいその通りです。認めなければ支店を他国へ移すと言われても仕方なくなります。ミリー商会をこの国から無くす事は、はっきり言ってこの国の衰退に結び付きます。それだけ国へ納めるの額が他と違うのです」
「では、今は私が経営者です」
「はい」
「経営者としてこの国の宰相へ伝えます。経営者を私からチャーリーに致します。もし国がチャーリーの出入りを禁じた場合、ミリー商会はこの国から退きます。 国としての返答を近日中にして頂きたい。よろしいですか?」
「分かりました。陛下と話し合い国として判断し返答致します」
「お願いします」
「あの、どうしてそこまでチャーリーの事を」
「そうですわね。同士、だからでしょうか。後、私、あの元婚約者も許せませんの。チャーリー様だけ罰を与え、確かに罰を与えられる事はしましたよ?ですが、婚約者にも罰を与えなければいけなかった。 一方的に責められる事ですか?婚約者には罪は無いと? 私は人を人として扱わない人が嫌いですの。そんな人、貴族でいる価値あります?」
「あの、エミリーヌ嬢?」
「だから人払いをと」
「そうですね。私もチャーリーを責めた一人です。息子を見捨てた一人です。私にも罪はあります」
「そうですわね。ですが、親子ですもの。やり直せますわ」
「はい。ありがとうございます」
私は両親とも妹ともやり直せないけれど、チャーリーは両親に愛されて育ってきた。婚約者に心を壊されなければ今も両親に愛されていたわ。
「王妃殿下、ご機嫌麗しゅう…」
「エミリーちゃん、堅苦しい挨拶は無しよ無し。エディーちゃんもよ?」
「「はい」」
「出来上がったのね。早速見せて貰うわ」
商会の従業員が一枚一枚布を取り、ドレスを掛けていく。
「まぁ素敵。どれも素敵だわ。やっぱり頼んで良かったわ。ありがとね」
「喜んで頂けて光栄です」
「請求書は宰相へ持って行って貰っても良い?後で案内させるわ」
「はい。それからこちらは商会からの贈り物です」
「何かしら?」
「頼まれていたドレスです。エディーナからドレスの説明をします」
二着のドレスを並べて掛けて、
「王妃様と王太子妃様、お二人を太陽と月と見立てました。
先に王妃様のドレスからご説明致します。深い青地に金色と黄色の刺繍糸で星の様に見立てました。そして薄いベールを少し明るめの青地で纏、歩く度にベールが揺れ隙間から星が輝くように仕上げました。腰部分の切り替えしの淡い黄色の生地で月を表しました。
次に王太子妃様のドレスは明るい青地に金色と黄色の刺繍糸で花の刺繍を刺し、こちらは白地のベールを纏う事で雲を表し、歩く度に花が咲き誇るように見えるように仕上げました。こちらも腰で切り替えしをし赤みの入った黄色の生地で太陽を表しました。
王妃様と王太子妃様、お二人が、一日中この国を照らす太陽と月の様に空から皆に光を届ける様を。 お二人がいつもこの国を見ていると、温かく民を護ってるという思いをドレスに込めました」
「素敵だわ。早速試着しても良いかしら?」
「はい」
「ついでに王太子妃も呼んで来て。試着して並んでみたいわ。エミリーちゃんは今のうちに宰相の所に行って来て良いわよ? 外の護衛を一人連れて行きなさいね」
「ありがとうございます」
私は王妃様付きの護衛の方に案内され宰相様の部屋まで来た。
コンコン
「誰だ?」
「ミリー商会経営者、エミリーヌです」
扉が開き、
「エミリーヌ嬢、どうなされた?」
「王妃様より請求書を宰相様へと」
「ああ、ありがとう。少し時間あるかな?確認しよう」
「はい。今は王妃様と王太子妃様がドレスに着替え中ですので」
「では中へ」
私は部屋の中のソファーへ案内され、侍従が用意したお茶を飲んだ。
「請求書は確認した。こんなに安くて間違い無いのか?」
「はい。仕立て直しと刺繍ですから」
「そうか」
「はい。 あの宰相様、私は今侯爵で婚約者も居ない令嬢です。ですが人払いをお願い出来ませんか?」
「それは出来ないが、人払いが必要な話か?」
「出来れば」
「分かった」
宰相様が侍従を部屋の外に出し扉を閉めた。
「ありがとうございます」
「嫌、話とは?」
「はい。ご子息のチャーリー様の事です」
「チャーリーが何かご迷惑を?」
「いえ。チャーリー様には私共が迷惑ばかり掛けておりますわ。今回の王妃様と王太子妃様のドレスでは布地の手配は全てチャーリー様が致しましたの」
「そうですか。では何か?」
「チャーリー様をこの国へ戻す事は可能でしょうか?宰相としての意見をお願いします」
「宰相として国外追放した者を国内に入れる事は出来ない」
「では、ミリー商会の経営者だとしたらどうです?」
「ミリー商会の経営者としてなら可能でしょう」
「そうですか。ありがとうございます」
「ミリー商会はエミリーヌ嬢の商会ではないのですか?」
「今はそうですわ。ですが、チャーリー様に権利をお譲りしようと思っておりますの」
「権利って」
「ミリー商会をここまで大きくしたのは紛れもなくチャーリー様。支店がこの国にある以上、経営者になれば二国を行き来するのは当たり前ですわ」
「そうですが」
「では宰相として伺います。ミリー商会が国へ納めてる税はいかほどでしょう。税以外にも寄付として納めてる金額はいかほどでしょう」
「確かにそうです。ミリー商会の経営者がエミリーヌ嬢と知り驚きました。税だけで無く寄付まで。それだけで高額です」
「はい。それ等を作り上げたのはチャーリー様の努力の賜物ですわ。経営者として何も問題ありません。そして経営者になればこの国の出入りを認めるしかない。違いますか?」
「はいその通りです。認めなければ支店を他国へ移すと言われても仕方なくなります。ミリー商会をこの国から無くす事は、はっきり言ってこの国の衰退に結び付きます。それだけ国へ納めるの額が他と違うのです」
「では、今は私が経営者です」
「はい」
「経営者としてこの国の宰相へ伝えます。経営者を私からチャーリーに致します。もし国がチャーリーの出入りを禁じた場合、ミリー商会はこの国から退きます。 国としての返答を近日中にして頂きたい。よろしいですか?」
「分かりました。陛下と話し合い国として判断し返答致します」
「お願いします」
「あの、どうしてそこまでチャーリーの事を」
「そうですわね。同士、だからでしょうか。後、私、あの元婚約者も許せませんの。チャーリー様だけ罰を与え、確かに罰を与えられる事はしましたよ?ですが、婚約者にも罰を与えなければいけなかった。 一方的に責められる事ですか?婚約者には罪は無いと? 私は人を人として扱わない人が嫌いですの。そんな人、貴族でいる価値あります?」
「あの、エミリーヌ嬢?」
「だから人払いをと」
「そうですね。私もチャーリーを責めた一人です。息子を見捨てた一人です。私にも罪はあります」
「そうですわね。ですが、親子ですもの。やり直せますわ」
「はい。ありがとうございます」
私は両親とも妹ともやり直せないけれど、チャーリーは両親に愛されて育ってきた。婚約者に心を壊されなければ今も両親に愛されていたわ。
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