妹がいなくなった

アズやっこ

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 コンコン


「エミー少し良いか?」

「グレン?入って~」


 商会に手紙を届けに行ったグレンが帰って来て、執務室に入って来た。グレンの顔色は悪く真剣な顔をしていて、後ろには顔を黒色のローブで隠した人が居た。


「グレン?大丈夫? 誰?」

「エミー……」

「グレンから離れなさい!早く!」


 私は大声を出した。


「エミー落ち着け」

「でも、グレンが……。グレンから離れて!」


 ローブを被った人がグレンの前に出て来て、被ってたローブを脱いだ。


「チャーリー?チャーリーなの?」

「ああ」


 4年ぶりに見たチャーリーは少し雰囲気が変わっていて、少し不機嫌そうだった。


「チャーリー、どうしたの?何かあったの?」

「何かあっただと?」

「え?何?」

「お前は……お前は何をしたんだ!」


 チャーリーは怒りながら机に手紙を置いた。


「何?」

「これは何だ」


 私は手紙を読んだ。


「これは……」

「どういうつもりだ!」


 手紙は陛下直筆のチャーリーがミリー商会経営者としてこの国の立ち入りを許可すると書いてある手紙で陛下と宰相の直筆のサインもしてあった。


「そのままの意味よ」


 グレンも手紙を読み、


「エミー、これは……」

「グレン、ジムを呼んで来て。書類も一緒に持って来てって伝えて」

「エミー大丈夫か? その二人きりにさせて」

「大丈夫。少し二人きりにして。行って」


 グレンはジムを探しに部屋を出て行った。


「エミリーヌ嬢、これはどういう意味だ」

「そのままの意味よ」

「俺がいつ経営者になった」

「後は貴方のサインだけよ。手続きは済んでる」

「誰が頼んだ」

「私の我儘よ」

「誰がこの国へ来たいと言った」

「私が帰って来て欲しいと思ったから」

「余計な事をするな」

「余計?何が余計なの?」

「ミリー商会はエミリーヌ嬢の商会だ。俺は代表で良いと言ったはずだ」

「私が貴方にミリー商店を頼んだ時、貴方には断られたわね」

「ああその通りだ」

「私はあくまで商店の権利の話をしたまでよ」

「商店が商会になった。ただそれだけだろ?権利は変わらない」

「商会になっただけ? 何を言ってるの? 商店を商会にしたのは貴方。 ここまで大きな商会にしたのも貴方。 商会の評判を上げたのも貴方。 支店を増やしたのも貴方。 貴方の努力の賜物で出来上がった商会なの。そこに私の努力は何一つ入ってないわ」

「エミリーヌ嬢が俺に託した商店だったろ?」

「そう。貴方を信じて託し、貴方の好きな様に経営して欲しいと思った。 私が貴方を探してた時、私に貴方の人生を預けてくれないと言ったわ。覚えてる?」

「ああ」

「私は貴方の人生を縛り付けたの。私の代わりに商店を経営する人として。 あの時、商店にはアンネとリンが居たわ。貴方に私の代わりに2人の人生を背負わせたの。2人の生活だけは護ってと言って。

私も貴方の元婚約者と一緒なのよ。

貴方の人生を縛り付け、代わりに働かせる。
下僕の様に奴隷の様に人としての尊厳を見ない振りしてね」

「エミリーヌ嬢と元婚約者は違う」

「一緒よ。貴方がどん底の時に甘い文句で誘っただけ。元婚約者よりも私の方がたちが悪いわ」

「俺がどん底の時に甘い文句で誘っただけ? そのどん底の時、誰が俺を救ってくれた?誰が俺に手を差し伸べてくれた? 甘い文句?国外追放されてる身に隣国で働く場所を提供してくれるのが甘い文句なのか? 俺の人生を縛った?どうせ捨てようとした人生だ。

俺を助け出してくれたのはエミリーヌ嬢だ。

働く場所を貰って、一緒に過ごす従業員も与えて貰って、着る物も食べ物も住む所もそれにお金までも与えて貰った。 そもそも俺は道端に野垂れ死ぬはずだった。 俺に生きる事を生き甲斐を与えてくれたのはエミリーヌ嬢だ」

「それでも私は自分の為に貴方を下僕の様に奴隷の様に扱った事には変わらないわ」

「下僕?奴隷?笑わせるな。下僕や奴隷と思ってる奴に自分の商店を預けるか?自分が大事にしてる従業員を預けるのか?

俺は好きな様に経営して良いと言われた。だから好きな様に経営した。 自分の好きな様に経営したら従業員が増えた。増えたから商会にした。 商会の評判は腕の良いアンネやリンのお陰だ。 この国に支店を出したのだってその方が都合が良かっただけだ。 俺だって別に商会の力になってない」

「何を言ってるの? 腕の良いデザイナーがいようがお針子がいようが、それ等を売り込みしなければアンネやリンの才能は埋もれてた。 商会は確かに腕の良い職人が居て初めて成り立つ。だけどね、腕の良い職人だけ居ても、売り込みしお金を稼ぎ出さないと成り立たないの。

地盤もツテも何も無い状態で一から築き上げる事がどれ程大変だと思うの? それを貴方は一から築き上げ、小さな商店を大きな商会にした。

それは貴方の努力よ。

私は名だけの経営者。貴方に預けて何もしてない経営者。 私は貴方の努力と功績に対する対価としてミリー商会の権利を貴方に渡したいの」


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