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妹がいなくなった

チャーリーはバカなの?

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コンコン

「チャーリー、さっき話してた所なんだけど、少し教えてほしいの、入るわよ?」

「ま、ま、待って、ちょっとだけ待って!」

「すぐ終わるから、入るわよ?」

「ちょ、ちょっとだけ待って!10分でいいから」

「少し聞きたいだけだからすぐ済むわよ?入るわね」


 チャーリーはブラウニー侯爵家の仕事もキャメル家の邸でする時もある為、執務室を分けた。

 勿論キャメル家の仕事の時は私の執務室で一緒にするけど。

 さっきまで一緒にキャメル家の仕事をしていて、チャーリーはブラウニー家の仕事をすると自分の執務室へ戻って行った。


 国に提出する書類でどちらを提出するかチャーリーに聞きに来たんだけど、チャーリーが自分の執務室にいる時は、勝手に入らない事にしてる。

それでも、

ガチャ

「………」

「エ、エリー、待ってって言ったのに」

「バカなの?」

「俺は譲らないって言った!」

「言ったけど…」

「エリーには見られないようにしてたのに」

「確かに大きな布の絵だな、って思ってたけど、壁に飾っても変じゃないから気にならなかったけど…。

もしかしてこれを隠してたの?」

「俺の家宝だ!エリーでもそれは譲れない」


 以前、エステル様が話してた高貴な殿方、結局平民のセシムだったんだけど、そのセシムが持って帰って大事にしてたというあれ!


「これ私の…」

「これはエリーの破瓜の印、俺の家宝だ!」

「バカなの?」

「エリーにとって初めての印、一回しかない印だよ?それを大事に大切に保管して俺の家宝にして何が悪いの?

それにそれは俺のロマンだ、って言ったはずだよ?」

「聞いたわよ?だからって本当に取っておくとは思わないでしょ?」

「エリーには見られないように、エリーの目に入らないように、俺の執務室に飾ったんだ。いつでも見れるように」

「チャーリーって本当はバカだったの?」

「エリーの事になるとバカになるのかもね。

あ!エリーが何を言おうとも俺は譲る気ないから。俺の家宝を愛でるのは俺の自由なはずだよね?」

「はぁぁ、別に何も言わないわよ。いつもは分からないようにしてあるんだし。

それに待ってって言われたのに勝手に入った私が悪いんだもの」

「良かった。エリーに捨てろ!って言われたらどうしようかと思ったよ」

「なら捨てて!」

「嫌だ!」

「結局捨てないんじゃない!」

「ならエリーは家宝を捨てろって言われたら捨てるの?捨てないだろ?」

「そうね。えっ、そうなの?」

「まあまあ、で、何の用だったの?」

「それが、国に提出する書類なんだけど…」


 私はチャーリーの意見を聞いて執務室を後にした。


 エステル様はあれから元気な男の子を産んだ。育てる気がないエステル様の代わりにアイリーン様が引き取り育ててる。

 アイリーン様は今度こそ間違えないと厳しく育てているみたい。勿論愛情をかけて…。


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