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ガネット・フォルンは愛されたい

ハルク 2

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俺は没頭するかのように剣の稽古をした。

27歳の時、

俺は辺境の騎士団の副団長になった。


同僚の死、同期の死に耐えられなくなり辺境を去った者もいる。

辺境を護るというのは死と隣り合わせだ。去る者を止める事も出来ない。



俺はもう恋人は作らない。

裏切られるのは一度でいい。


明日は己の死かもしれない以上結婚はしない。


息子の、恋人の亡骸を前に泣き崩れ縋りつくように叫ぶ慟哭が未だに耳に残っている。


同僚の、後輩の、最期の言葉が、未練の言葉が、心残りの涙が、最期の顔が、未だに忘れられない。いや、忘れてはいけない。


仲間の死、辺境の騎士として常に生と死が隣り合わせの状況、副団長として俺が出来る事、


「仲間を護る」


仲間を大事に、

それは当たり前だ。

なら、

相談があるなら聞こう。

悩みを言いやすいようにしよう。

男ばかりの辺境だ、

表情、

仕草、

言葉、

些細な事から、

重要な事まで、

常に観察し、

全てを読み取れるようになろう。






俺は毎日砦から見る街の風景を見つめる。家の灯り、立ち上る煙、


「すまない」


俺は拳を固く握りしめた。


「ハルク、またお前はここに居たのか」

「なんだ、エディか」

「俺もこれからはお前にこうやって見られるのか」

「結婚おめでとう」

「ありがとな」

「寂しくなるな」

「寂しくなるっていっても騎士は辞めないんだぞ?」

「それでも夜遅くまで稽古には付き合えないだろ?」

「ハルク、お前も幸せになれ。あいつらの分まで俺達は幸せにならないといけない」

「だがな、」

「お前、もしかしてまだ、」

「ようやく吹っ切れたよ」

「長かったな~」

「煩い」

「お前にもいつか現れるさ。例え一人残す事になってもそれでも離せない、諦めれない恋い焦がれる愛しい人がな」

「だといいがな」


大切な人を失い、それでも皆毎日生きている。だからこそ今の平和が続く事を願い、この幸せの光景を護らないといけない。



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