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妹がいなくなった
サフェムと陛下と宰相と ❈ 本編の領地へ来た時の話です
しおりを挟む子供達と一緒に昼食を作り、一緒に食べる。
昼過ぎ、外で子供達と一緒に遊ぶ。
朝から晩まで勉強ばかりでは効率が悪い。外で体を動かし発散する。気分転換をしないと子供達が夢半ばで潰れてしまう。
今日も外で子供達と一緒に体を動かして遊んでいると、キャメル侯爵家の紋章が入った馬車が見えた。
子供達と暮らす家に馬車が止まり、エミリーヌ嬢と娘のエディーナ、それから友に面差しが似た男性が下りて来た。
「エミリーヌ嬢、急にどうされたのです」
「サフェム様、お元気でしたか?」
「はい。エミリーヌ嬢もお元気でしたか?」
「ええ。今日はエディーナも一緒です」
「ありがとうございます」
「エディーナとは後でごゆっくり過ごして下さい。先に、」
後ろの馬車から二人の男性が下りてきた。
一人は幼い頃からの、
もう一人は学園に入学してから意気投合し、切磋琢磨しながら共に過ごした、
二人を「友」ともう呼べない。
俺は慌てて土の上に膝を付け、頭を下げ、額を土に付ける。
「サフェムよ、我らは友であろう」
「…………」
「サフェムよ、我らは友であろう?」
「………」
「サフェムよ、お主が辛い時に私はお主を、友を助ける事が出来なかった。私がお主に出来た事はお主を罪人にしただけだ」
「私は罪人です」
「ああ、お主は罪人だ」
「はい」
「だが、私の友だ」
「………」
「なぁサフェムよ、今は陛下や罪人ではない。キャメル侯爵領の中だけ、私とサフェム、幼馴染みで友には戻れぬか」
「なりません」
「サフェム」
「なりません」
「では、ここはキャメル侯爵に決めて貰おう」
「あら陛下、私を巻き込むおつもりで?」
「ここはキャメル侯爵領、エミリーヌ嬢はキャメル侯爵当主、ここでの権限はお主にあるとは思わぬか?」
「陛下ならこの国の全ての領の権限をお持ちかと」
「だが、サフェムはお主が身元保証人になったのであろう?それならサフェムの権限はお主にあるのではないか?」
「サフェム様のご意思はサフェム様のもの、私の一存で決めれるものではありませんわ」
「この手を使いたくは無かったが、仕方あるまい。アーサー」
「はい、お任せ下さい。
エミリーヌ、私も友とこの時だけ友に戻りたいのだ。協力してはくれないか?」
「アーサー父様まで」
「エミリーヌ、協力してほしい」
「はぁぁ、分かりました。アーサー父様に頼まれては私も嫌とは言えません」
「エミリーヌ、私の愛しい娘」
「アーサー父様?」
「エミリーヌを愛しい娘と思っているのは本当だ」
「はい、分かってます。
サフェム様、このキャメル侯爵領の中でだけ友に戻られては如何でしょうか」
「エミリーヌ嬢、それは出来ない」
「私もサフェム様の気持ちを無視するつもりはありません。ですが、幼馴染みの友と学友と、貴方にとっても大事な友なのでは?」
「ですが、」
「サフェム様の罪は罪、ですが今は友に戻っても誰も咎めたりしません。それに私には学友はいません。学友を作る暇も無かったからです。だから私は貴方が羨ましい。
罪人になってもいつまでも心配する友がいて、会いたいと願う友がいて、一緒に過ごした思い出のある友がいて、立場ではなく互いを認め合う友がいて、私は貴方方が羨ましい」
「エミリーヌ嬢…」
「心許せる友なのでしょ?
この領地内だけなら、陛下でも宰相でも罪人でもない、ただの友に戻れば良いのでは?」
「……友に…戻っても……良いの…でしょうか」
「ええ」
陛下が地べたに座るサフェム様の手を取りサフェム様を立たせた。
「サム」
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