66 / 101
妹がいなくなった
チャーリーとジェフ
しおりを挟む「チャーリーちょっといいか?」
「どうした?」
ミリー商会に訪ねて来たのはミリーの元婚約者ジェフだ。
「なら一杯付き合え」
時間も夕刻、一杯だけ飲んで愛する妻エリーと愛しい娘フィーナ、産まれたばかりの愛しい息子ハリーの待つ家に帰ろう。
5年前、浮浪者になったジェフに手を差し伸べ、それから商店街の仕事を世話し、度々ミリー商会へ訪ねてくる。
初めは経理の相談だった。それからは商店街で配るハンカチの刺繍の依頼、ミリー商店の勧誘、
友とは言えないが、同じ暗闇を見た同士、仲間、そんな所だろうか。
今はいい関係を築けている。
俺達は酒場に着いて一杯酒を飲む。
真剣な顔をしているジェフ
「どうした?何か用事があったんだろ?」
「ああ」
「どうした?早く言えよ」
「ああ」
封筒が目の前に置かれ、
「なんだ?」
「遅くなってすまない。5年前に借りた分だ。まだまだ到底足りないが、」
封筒の中を確認する。
「これは受け取れない」
「だが」
封筒の中身はお金が入っていた。
「エミリーヌに返して欲しい」
「エリーは受け取らないよ」
「それでも」
「ジェフ、エリーは返して欲しくて手を差し伸べた訳じゃない」
「それは分かってる」
「俺だって見返りが欲しくて今も手助けしている訳じゃない」
「それも分かってる」
「エリーはさ、自分と関わった人間には幸せになってほしいと願ってる。それは昔から変わらないけど、自分だけ幸せだと罰が下ると思ってるのかな?
誰しも他人の幸せより自分が幸せならそれでいいと思ってる。幸せのお裾分けはするけどね。
エリーはお金は受け取らない。それに俺も受け取らない。
俺達はエリーが君に対し行った罪を償っただけだ」
「それも分かってる。だけど少しづつ返して終わりにしたい」
「ん?」
「エミリーヌが返して欲しいとか、チャーリーが見返りを求めてるとかそんなの思っていない。今幸せに暮らしているのに水をさすつもりもない」
「なら」
「………気になる女性がいるんだ。恋人とか結婚とかそんな関係じゃない。好きか、と聞かれたらまだ分からない。それでも話をすると楽しい」
「良かったじゃん」
「だからこそ借りた分は全て返したい。返さないと終わらない」
「昔さ、俺が言われた事なんだけど、罰は平民になった時点で受けた、罪は他人を助け償ったってね。これからは自分の人生を歩けって言われたよ。
だからさ、ジェフ、
この5年君は平民になり働き稼ぎ生活をきちんとしてる。自分の置かれてる立場をしっかり見つめ、誰に何を言われても頑張って努力してきた。もう君に償う罪はないよ。もう君は自分の人生を歩け」
「チャーリー…」
「もうジェフの人生を歩け。償う罪はもうない。エリーは俺が幸せにしてる。子も産まれエリーは今幸せだ。今度はジェフが幸せになる番だ、な?」
「…ありがとう」
「お金は今後も受け取らない。受け取ったらエリーの罪は違う形で償わないといけないだろ?まあどんな形でも俺がついてるけどね?」
「フッ」
「何なら家族全員で頭を下げようか?」
「止めてくれよ」
「まあ冗談だけどね。そうだ、そのお金でお兄さんを食事に誘ったら?自分で働きコツコツ貯めたお金なんだ。それにジェフの頑張りも努力も分かって貰える」
「そうだといいけどな」
「兄弟だろ?」
「ああ」
「なら大丈夫だ」
「一度誘ってみるか」
「それが良いよ」
俺はジェフとわかれ、家路に着いた。
後日、お兄さんと食事に行き、今後は兄弟として過ごす事が出来そうだとジェフから聞いた。
76
あなたにおすすめの小説
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
〖完結〗私はあなたのせいで死ぬのです。
藍川みいな
恋愛
「シュリル嬢、俺と結婚してくれませんか?」
憧れのレナード・ドリスト侯爵からのプロポーズ。
彼は美しいだけでなく、とても紳士的で頼りがいがあって、何より私を愛してくれていました。
すごく幸せでした……あの日までは。
結婚して1年が過ぎた頃、旦那様は愛人を連れて来ました。次々に愛人を連れて来て、愛人に子供まで出来た。
それでも愛しているのは君だけだと、離婚さえしてくれません。
そして、妹のダリアが旦那様の子を授かった……
もう耐える事は出来ません。
旦那様、私はあなたのせいで死にます。
だから、後悔しながら生きてください。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全15話で完結になります。
この物語は、主人公が8話で登場しなくなります。
感想の返信が出来なくて、申し訳ありません。
たくさんの感想ありがとうございます。
次作の『もう二度とあなたの妻にはなりません!』は、このお話の続編になっております。
このお話はバッドエンドでしたが、次作はただただシュリルが幸せになるお話です。
良かったら読んでください。
〖完結〗その愛、お断りします。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った……
彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。
邪魔なのは、私だ。
そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。
「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。
冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない!
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる