私は旦那様にとって…

アズやっこ

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「それに誤解しないでね?ローガン様が私の部屋にいたのは勉強を教えてもらっていたからよ?後、夜は私の部屋の隅の椅子に座ってずっといただけよ?

『俺とジニアの子は神に奪われやすい。だから神が奪いにこないか見張らないといけない。俺の事は気にせず寝てくれ。睡眠不足は俺とジニアの子にも悪い影響になる』

初めは気になったけど段々と気にならなくなったわ。空気?かしら。それに昼間は勉強していて疲れて寝ちゃうからそれどころじゃなかったわ」

「すみません、ご迷惑をかけました」

「知ってる?赤子は未知の世界なの。大人の病気だって未知の世界なのよ?あんな小さい体でも私達と同じ心臓があり動いているの。それに出産を体験して思ったわ。命を産むんだから命がけって。苦しくて痛くて、出産するまでに長い時間がかかるわ。体力も奪われる。それでも母親は本能でこの子を無事産むまでは、って感じるの。産んで力尽きる、そんな悲しい現実を私は無くしたい。母のように出産して体が弱り寝たきりになる女性を救いたい。私が医師を志したのはそのためなの。

私が生きてる間に救う方法が分かるとは思わない。それでも一人でも多く救いたい。私が行く他国では医学が進んでいるの。流行り病は薬で治るのよ」

「流行り病がですか?」

「ね?信じられないでしょ?この国では流行り病は死よ?でも他国では治る病なの。私はそれらを学び自分の糧にしたい」

「ではいずれこの国へ帰って来るんですね」

「ううん、帰って来ない。帰って来ても私が働ける場所はないわ」

「ですが医師なら」

「例え医師でも女性は雑用しかさせて貰えないわ。他国で学んだ知識だけ奪われるのが目に見えてる。それなら他国で働いた方が良いの。他国は女性が医師として男性と対等に働いているの。王族に仕える女性医師もいるのよ?

女性にしか分からない女性の悩みを男性が理解出来ると思う?私は思わないわ。女性医師だから相談出来る事もあるもの」

「そうですね。ですが私はこの国で活躍するアイビー様を見てみたいと思いますけど」

「この国がもっと寛容になれば帰ってくるかもしれない。それでもずっと先だわ。先ずは私が医師にならないと」

「ではアイビー様の気持ちは変わらないと」

「ええ、変わらないわ」


アイビー様の気持ちは変わらないみたいだけど…。


アイビー様と部屋に戻り赤子の世話を手伝う。


「ジニアさん、この子はジェイク。ローガン様が名付けたの。ジニアさんの名前の一文字を絶対に入れたいって。初めはジニアンやジーニアって決めようとしたのよ?流石に私が止めたけど」

「止めてくれて良かったです」

「それにこの子、ジニアさんと同じ髪の色に瞳の色でしょ?」

「…はい」

「だから私が選ばれたの」


ジェイク君を抱くアイビー様は優しい眼差しで優しく頭を撫でている。ジェイク君は栗色の髪で青緑色の瞳をしている。母親のアイビー様は勿論だけど、私も同じ色。


「ローガン様はジニアさんと同じ色を持ち、そして子を産んでも夢を取る女性を探していたの。なかなか見つからなかったらしいわ。そうよね、この国では女性の幸せは結婚、出産なんだから。私が異常なだけよ」

「異常だなんて…」


優しい眼差しでジェイク君を見つめるアイビー様は母親の顔をしている。


「本当にジェイク君と離れて良いんですか?」

「何を言ってるの?」

「アイビー様がお腹を痛めて産んだ我が子です。本当に離れて後悔しませんか?」

「……本当はね、後悔すると思うの。離れがたい、それは本心よ」

「なら、」

「でもね、私は父のようになりたくないの。子供に何の興味も示さないそんな親になりたくないの。他国へ渡れば私は毎日必死に勉強しないといけない。この子の事は可愛いわ。それでも泣けばあやさないといけない、まだまだ手がかかるこの子を一人で置いて学校には通えないわ」

「メイドを雇うとか方法はあります」

「そうね。でも私がこの子を離したくないと言ったら対価は貰えないわ」

「対価だけなら」

「何年かかってでも必ず返すからお金を貸してほしいと言ったらローガン様も貸してくれるかもしれない。それでもこの子は不幸になる。勉強、仕事、この子にかける時間はほんの少ししかないのよ?それよりも愛情を注いで育ててくれる人に育ててほしい、私はそう思うの。

ジニアさんはこの子が可愛くない?」

「そうではありません」

「この子に愛情を注げない?」

「そんな事ありません。ですが母親のアイビー様の気持ちが第一だと私は思います」

「私の気持ちか…。可愛い、それは本心。でも邪魔、それも本心なの。今もこの子の面倒を見てると勉強が出来ないわ。メイド達が手伝ってくれるけど四六時中見てくれる訳じゃない。今の私は一日一日が大事なの。夢かこの子か天秤にかけた時、私はどちらを取るのかしら」

「それは、」

「今は分からないわ。だからね、今日からジニアさんがこの子の面倒を見てくれない?」

「それは構いませんが」


私はジェイク君をアイビー様から受け取った。




 ❈ 作者から

本作品を目に止め読んで頂きありがとうございます。

作者が考えるラストが2パターンあり、今どちらにするか迷い中です。その為なかなか書けず…。

元サヤ、復縁を書くのは本作品が最初で最後だと思うので(今後書いたらすみません)どうせなら出し切ろうと。

本編完結後、もう一つの未来として投稿します。

最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


           アズやっこ
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