私は旦那様にとって…

アズやっこ

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寝室のベッドで私とジェイク君が寝ている。夜中に何度も起きてジェイク君の寝息を聞き安心してまた眠る。

朝になるとローガン様は寝室へジェイク君の顔を見に来る。


「ジニア、その、」

「服の準備をします。ローガン様はジェイク君の面倒をお願いします」


私はローガン様の部屋に行き、私と同じ布地の服を準備した。ローガン様が望んだのはこういう事。それに今まで気が付かなかったけど私の部屋にある服と同じ布地の服が並んでいる。

私は今まで何を見ていたんだろう。

どうして私が、そう思った。服なんて何でも一緒、そう思っていた。でももし気付けていたら私も色がお揃い柄がお揃いの服を用意したかもしれない。ローガン様に気付かれないように私だけお揃いを楽しんでいたかもしれない。

私はローガン様を見ていたようで見ていなかった。

ローガン様の心を見ていなかった。

私にも心があると思っていたのに…。



「ジニア、ジニア、」


寝室から聞こえるローガン様の声は戸惑い、助け、そんな声。

ローガン様の服を持ち寝室へ行くとジェイク君が泣いていた。抱っこしウロウロとしているローガン様。困り果てた顔をしている。


「ジニア、ジェイクが泣き止まないんだ。助けてくれ」


ローガン様からジェイク君を受け取り、


「よしよし、もう泣かなくていいわよ」


ジェイク君の背中をトントンと優しく叩く。


「凄いな、ジニアが抱っこすると泣き止んできた」

「ローガン様が不安な気持ちだとジェイク君にも伝わります」

「だがどうあやしていいか…」

「ローガン様は早く支度して下さい」


ソファーに置いた服を見たローガン様は嬉しそうな顔をして着替えていた。

着替えが終わったローガン様をお見送りする為に玄関まで来た。


「行ってくる」

「お気をつけて」

「昼には帰る」

「分かりました。今日も教会へ行きますか?」

「ああ、お礼を言わないとな」

「神父様にもお礼をお伝え下さい」

「勿論だ」


馬車に乗り込むローガン様を見送りそのまま庭に出てきた。


そういえば嫁いでから庭を部屋から眺める事はあっても歩いた事はない。嫁いだばかりの時はいつもローガン様と部屋で一緒に過ごしていた。あの時は朝までローガン様の相手をして疲れて眠る事もあった。部屋から出るのも億劫だった。

急に連れて来られたこの邸の中で、部屋の中だけが自分を守れる所だとそう思っていた。伯爵家の使用人は皆優しい人達。それでも一人敵地に送り込まれたと思っていた。

メイドと話すうちにここは敵地ではないと分かった。それでも部屋で過ごすのが当たり前になっていたから苦でも無かった。外に出るのは夜会の時だけ。邸の中は自由に動いていても庭に出ようとは思わなかった。

庭に咲いてる花はメイドから貰えるし、庭全体を部屋から眺めるのも綺麗だったからわざわざ庭に出て近くで見ようとは思わなかった。


ローガン様とアイビー様が庭で散歩をしていた姿を見た時、私は羨ましかったのかもしれない。

今私はアイビー様の産んだジェイク君を抱き庭を散歩している。

形に拘っていたのは私。夫婦、家族、その枠に拘っていたのは私だけ。

ローガン様に愛されてないから?子供が出来ないから?

私は自分で自分に鎖を巻いて雁字搦めにしていた。

実際はローガン様に愛されていたし、今私は赤子を抱っこしている。

夫婦には色々な形があり、家族にも色々な形ある。

それを認めたら心が軽くなった。


「さあ部屋に戻りましょう」


ジェイク君の母乳の時間。それでもアイビー様は寝ていた。夜遅くまで勉強し疲れているアイビー様を起こすのは申し訳ないけど…。


「アイビー様、起きて下さい。ジェイク君の母乳の時間です」

「う、うん?母乳?勝手に飲ませて」

「勝手に?」


眠るアイビー様は前を開けお乳を出した。そのお乳にジェイク君を近づけさせる。寝ぼけるアイビー様がジェイク君の口にお乳を入れる。お乳をいっぱい飲んだジェイク君が口を少し離した所でアイビー様の服を直しジェイク君を連れて部屋を出る。


母親の本能?なのかしら。寝ぼけながらでもジェイク君にお乳をあげる。でも疲れているからお乳をあげながら寝ていたけど。

凄いわ。

ジェイク君はお乳を飲んでご機嫌さん。メイドに頼んで部屋の掃除をする。ジェイク君の服が寝室に置いてある。

その服を広げる。


「ふふっ、小さい」



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