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しおりを挟むいつもの様にデートをしている時、
「ケーニス」
「なに?」
「ケーニスのおバカに付き合うのも嫌じゃないのよ?」
「付き合ってくれるのはリップだけだよ」
「それでもね?」
「うん、なに?」
「今は良いの。それでも結婚したら?
ケーニスは本を読んで前に冒険に出掛けたわよね?」
「あれは大変だった、もうしない」
「それに魔法も使えないのに特訓してたわよね?」
「枝はただの枝だったね」
「魔王と戦うって言って何処かへ行った事もあったわ」
「魔王なんてどこにもいなかったよ」
「新しい島を探すって船に乗って行った事もあったわ」
「着いた先は隣国だった」
「獣人になるって犬小屋で寝てた事もあったわ」
「僕には耳も尻尾も生えなかったよ」
「騎士になるって言った事もあったわ」
「筋肉痛になって終わったけどね」
「竜を探しに行くって森の中に入って行ったわよね」
「竜はやっぱり本の中だけだったよ」
「そうなの。本を読んで本の世界に入るのは良いのよ?」
「本の世界はワクワクが詰まってるからね」
「それでもね?本の世界は想像するだけで楽しんでほしいの」
「本を読むなって事?」
「違うわ。本を読むなって言ってる訳じゃないの。本を読んで頭の中だけで想像の世界を楽しんでって言ってるの。
ねえケーニス」
「なに?」
「結婚してからも本の世界に入り込んで旅に出掛けたら?
そしたら私は一人で邸の管理をして領地を取り仕切って一人で子供を育てるの?
私一人で育てるの嫌よ?」
「僕だってリップと一緒に子供育てたいよ」
「だからね、本を読んでも頭の中だけで楽しんでほしいの」
「実際に体験するなって事?」
「そうね。探求心を持つ事が悪い訳じゃないわ。それでも結婚するなら探求心よりも現実感を持ってほしいの」
「う~ん…」
「分かったわ、別れましょう。婚約は解消しましょ」
「ヤダよ!リップが好きなんだ。リップと結婚したい」
「ならちょっとは考えろ!現実はそんな甘くないんだよ!分かってんの!今迄実際に体験して本の世界と同じになったの?なってないでしょ!なったのはキスだけでしょ!それも私から!
これ以上本の世界に没頭するならもう別れるから!もう決めたから!」
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