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56:ずっと側に。
しおりを挟む「――――はい」
顔を強張らせ、でも瞳には希望の光を宿しているテオ様の頬に手を添えて、ゆっくりと返事しました。
覚悟なんて、とうの昔からしています。
ただ、慣例に倣わねばと思っていただけなのです。
返事をした瞬間のテオ様の顔は一生忘れられない、忘れたくないと思いました。
黒と青の美しい瞳を見開き、ぎゅうっと瞑り、目蓋をゆっくりと押し上げるように開くと、目尻を下げるように微笑み、「ミラベル」と私の名前を呟くと、またもやギュムッと目を瞑りました。
テオ様の凛としたお顔がくしゃりと歪みましたが、それは嬉しくて叫び出しそうなのを我慢する、そんな笑顔だったのです。
テオ様が耳を真っ赤に染め、私の首筋に顔を埋めてハフゥとゆっくり息を吐かれました。
「もう、いま、死んでしまいたい」
か細く震えるような声でそんな事を言われるとは思わず、ちょっとびっくりしましたが、直後に「幸せすぎる」と付け加えられたので、ホッとしました。
――――あぁ、私は本当に愛されているのですね。
クスクスと笑いながら「出来れば、お互いがシワだらけになっても、共に生きたいですわ」そう伝えると、テオ様がガバリと頭を上げて、ちゅ、と啄むようなキスをされました。
「勿論だっ!」
「煩いですわ」
「このタイミングで煩いとか言うな……」
「「……ふっ」」
二人でくすくすと笑い合ったおかげで、さっきまでの妙な緊張感や緊迫感みたいなものが解れました。
「ミラベル……」
テオ様が蕩けそうなほどの笑みを溢しながら、またキスをして来ました。
テオ様と間近で視線が合う度に心臓がドクンドクンと激しく鼓動します。
テオ様がスッと起き上がると、勢い良く服を脱ぎ始められました。
いつの間にやら収納されていたモノがまたボロンと飛び出て来て、ついつい、ガッツリ見てしまいました。
「っ……おっきぃ」
ポソリと漏らした言葉にテオ様がビクリと体を震わせ、「煽らないで」と少し困った顔で言われました。
煽った覚えはないのですが。
どちらかというと、畏怖の念の方ですが。
でも、流石にそれは言えないので、煽った事にしておきましょう。
全てを脱ぎ終わったテオ様が、そっと私の肩に触れ、ちゅと鼻の頭にキスを落とされました。
更に、首筋にまた紅い跡を残しニヤリと笑うと、今度は鎖骨に、胸の谷間にと、どんどんと紅い花びらを散らすようにキスを落としていきました。
ベビードールな寝衣の上から胸をやわやわと揉まれ、上擦ったような声が出てしまいます。
どうしても恥ずかしくて手の甲で口元を押えますが、テオ様が許してくれません。
「もっともっと鳴いて」
カリッと頂きを噛まれて、ゾクリとした快感が腰から脳に駆け巡りました。
「ひあっ!」
「もっと」
「やっ、やぁぁっ」
お腹の奥底がギュウギュウとした痛みを訴えてきます。
明らかに秘裂の奥が湿り気を帯びて、滑っているような気がします。
テオ様はジュウジュウと音を鳴らしなが胸を吸いつつ、そっと寝衣のリボンを解き始めました。
「んっ」
「大丈夫だ、ゆっくり進める」
テオ様はその言葉通り、じれったいと思うほどにゆっくりと進めて下さいました。
秘裂をゆっくりとなぞり、蜜壺の入り口を円を描くように緩やかに掻き混ぜ、陰核を擦り、押し潰し、何度もイかされました。
「ひきゃぁぁっ、やっ、あっ、い……くっ!」
「ん、上手にイけたね」
褒めるように頬を撫で、おでこにキスし、また、緩やかな愛撫。
指を一本、二本と増やし、グチュグチュと卑猥な音を立て、イかされ。
何度もイったせいで洪水のように濡れそぼったソコを、丁寧に舐められ、陰核を吸われ、また洪水のように愛液を出しながらイかされました。
「ふ、ん……いぁっ! も、も、やだ」
「ん、ごめん。でも、解さないと痛いから。ね?」
「やっ、もう……下さい」
お願いだから、と言っても、テオ様はまた蜜壺に愛撫をしようとしました。
これ以上イかされては、もう続きが出来ないのではと思うほどにクタクタです。
「んやっ、テオさま……もう、欲しいの」
「っ……ミラベル、本当にもういいのかい? 痛いかもしれないよ?」
「もぅっ、何度聞くのですか……」
「ん、心配なんだ。ミラベルに痛い思いなんてさせたくない」
「……覚悟はできておりますから」
何度目かの覚悟を伝えると、テオ様が本当に嬉しそうに破顔されるので、何だか積極的な気分になってしまいました。
「テオ様……早く来てください」
テオ様の猛り勃ったモノに手を添えゆるゆると擦り上げました。
「っ! ミラベルっっ!」
テオ様が私の両膝を大きく開き、蜜壺に剛直をヌルヌルと擦り付け、滑りを良くしていました。
「行くよ?」
「……はい」
――――あぁ、とうとう、なのですね。
グリッと尖端を押し付けられた時、少し腰が引けました。まだ痛いとかではなかったのですが、遠い昔――前世での痛いばかりの記憶が、テオ様との時間を邪魔してきました。
そんな私の恐怖心のようなものに気付いたテオ様が、膝を抱えていた手を外し、指を絡め合うように手を繋いでくださいました。
「怖かったら、言っていい。痛かったら、握りしめて。我慢、しないで?」
「っ、はい」
「ん……っ、く…………」
ぬぷり、と先端が埋め込まれ、ぬちぬちと前後しながら熱くて固いモノがゆっくりと奥へと進んで来ます。
途中でミリリと引き裂かれるような痛みを感じ、眉間に皺が寄り、ボタボタと涙が出てしまいました。
「ミラベル……ごめん、痛いよな? 今日はここまでにしておこう?」
「はい、いいえ……いえ、痛いです、でも、お願いです、最後まで。私が、したいのです。テオ様が、欲しいんです」
「ミラベル……あぁ、君は、なんて強いんだ。んっ、そして綺麗だ」
テオ様が息を乱しながらも、微笑み、キスし、頬を擦り合わせ、気を紛らわせて下さいました。
そうして少し時間をかけながら、最奥の場所にゴツリと当たるまでにテオ様の剛直が埋め込まれました。
「ミラベル、頑張ったね。ありがとう」
「……は、いっ」
額に汗をかき、少し堪えたような表情のテオ様が、労るように私の頬を撫でて下さいました。
重なり合い、繋がり、昂り、体温を分け合う事が、こんなにも多幸感を生むのだと知りませんでした。
苦しみや痛みはありましたが、それ以上に幸せな気持ちが勝った事に驚きました。
テオ様には言えませんでしたが、前世での初体験はただただ痛いだけのものだったのでちょっと不安だったのです。
もしかしたら、心から愛し合う二人がお互いに高め合う事が大切なのかもしれない……なんて、ぼぉっとする頭で考えました。
初めてだから、とテオ様はゆっくりと動き緩やかな快楽のみを味わうように腰を動かし、出ていかれました。
お腹のうえに勢い良く白濁を飛ばしたあとは、私の体を丁寧に清めてくださいました。
全てが終わったあとは、二人で抱きしめ合い、テオ様の甘い囁きと匂いに包まれて、穏やかに眠りにつきました。
いま、間違いなく、人生で一番幸せな瞬間です。
――――テオ様、愛しています。ずっとお側にいさせて下さいね?
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