厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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120:和ませてくれました。

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 晩餐会はいつも陛下たちと食事をしている場所ではなく、王城の大広間で行われました。
 大広間は陛下が謁見などされる場所で、ダンスやパーティーホールとしても使われています。

 大広間には大量の円卓が並べられており、そこの上座にある横長いテーブルに、陛下と王妃殿下、王太子ご夫妻、私達が横一列で座りました。

「各地よりよく集まってくれた。我が一族に名を連ねる予定のミラベル・アップルビー伯爵令嬢だ。婚約式は滞りなく終わった。これより一年の間、王族に名を連ねるに恥ずかしくない者かどうか、各々で見定めてくれ」
「「はっ!」」

 というのは、建前、だそうで、基本は和気あいあいとした晩餐会になるとは聞いています。
 が、こちらに鋭い視線を向けヒソヒソと囁く声も一定数あるように感じられました。

「ん、ミラベル、この蕪のやつ美味いぞ」
「えー」

 蕪は食感が少し苦手なのですが……。

「あら、美味しいですわね!」
「だろう?」

 蕪をオリーブやブラックペッパーなどでソテーしたもの、ミニトマトにモッツァレラチーズを挟んだものなど、とてもシンプルな前菜でしたが、素材の味や良さが生かされており、とても美味しかったです。

 いつものようにモッサモサと食べたら駄目! と自分に言い聞かせつつ、ゆっくりと前菜を味わっていると、テオ様がフッと息を漏らして破顔されました。
 一瞬、会場がザワッと騒がしくなり、直ぐに静かになりました。

「ふ、ふくくく……セオドリックが皆の前で笑うと、こうなるのか」

 王太子殿下が堪らずといった風に笑いだされました。
 何が面白いのかと思っていましたら、テオ様を挟んだ向こう側にいらっしゃる王太子妃殿下が小さな声で教えて下さいました。

「セオドリック殿下はミラベル様がいらっしゃらない時は、いつも真顔なのですよ」
「えぇぇ?」
「……義姉上」
「あら? ごめんなさい?」

 王太子妃殿下がクスクスと笑いながら、王太子殿下と何やらにこやかに話されていました。
 テオ様はというと、ちょっと唇を尖らせていらっしゃいました。恥ずかしかったらしいです。

「私、笑顔のテオ様が好きですよ?」
「っ! ん!」
「煩いです」
「煩い言うな」
「ふふっ……」

 こんな日でも、テオ様はやっぱり通常運転で、私を和ませて下さいました。

 

 晩餐会は順調に進み、デザートの時間になりました。
 デザートは大サロンに移動し、お酒やジュースなども含め、立食になります。

「今宵は、我が赤き果実の領地で開発された菓子を用意した。ユピテルの恵みと赤き果実の叡智に感謝し、食すが良い!」

(超意訳:アップルビー領の様々な食材を使い、デザートを用意しました。皆様の御口に合うかはわかりませんが、ご堪能いただけると幸いです)

 かなり無理矢理に意訳しましたが、テオ様は満足そうな顔なので良しとしました。

「ミラベル様、お初にお目にかかります。私、テラウザー侯爵家のシャロンと申します。あちらで少しお話しませんこと?」
「まぁ、お誘いありがとう存じます。もちろんですわ」

 金髪巻毛で可愛らしいピンクのドレスを召されているシャロン様に、サロンの奥の方に四人固まってお話しされている女性たちの所で話さないかと誘われました。

 とうとう、この時がやって来たのですね。
 不肖ミラベル! 女子トークたるものを頑張ってみたいと思います!


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