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145:天元突破している。
しおりを挟む判定結果に一人プチプチと文句を言いましたが、全員に無視されました。
全員で顔を洗い、ケアをしてもらい、そろそろベッドに入ることにしました。
「お嬢様、私どもはこれで失礼いたします」
「うん、ありがとうね」
ザラ達はまた控えの間に移動しましたが、手にメイク道具を持ってニコニコしていたので、あちらはリジーが計画していた『メイク講座』を開くようです。
「はぁぁぁ、楽しかったですわ! ……んふふふ」
ヘレナ様がポテンとベッドに寝転がりつつ、また笑いだされました。
どうされたのかとお伺いすると、私の画伯具合が天元突破しているのがツボっている、とのことでした。
「……今日の、過去最高の出来でしたのに」
「「ブフッ!」」
三人同時に吹き出されてしまいました。
明日からちょっとずつ練習しよう、と心に決めました。
四人でベッドに寝転がって、色々とお話しました。
どこそこのお菓子が美味しい、あそこの宝石店はとても珍しいものがある、あの角のレストランの味が変わった。
悲しいかな、外出をほとんどしない私は、その話題に一切参加は出来ませんでしたが、聞いているだけでも楽しかったです。
「どの店も行ってみたいです」
「ぜひ、行かれてみてください。侍女に紹介用のカードを用意させておきますわね」
流石、王都在住の上位の方々です。
まさかの紹介制のお店でした。
「そういえば――――」
話題は様々な方向へ飛び、何時までも笑い声が耐えませんでした。
そうやってお話している内に、徐々にとろんとなりだし、一人また一人と寝落ちしていきました。
「フギャッ⁉ いったぁぃぃぃ……」
顔面にかなりの衝撃を受け、目を覚ましましたら、ベリンダ様の足が私の顔の横にありました。
――――はい?
「んん…………っ、どうされましたのぉ?」
アシュリー様がこしこしと目を擦りながらむくりと起き上がられました。
「ベリンダ様の足に蹴られたようです」
「…………足に? え? 何故ベリンダ様は逆さまを向いていらっしゃいますの?」
それは私も気になります。
四人仲良く、川の字よろしく並んで眠りましたのに。アシュリー様、ヘレナ様、私、ベリンダ様の並びで。
「本当に寝相が悪くていらっしゃいますのね……。ミラベル様、私の横にいらっしゃいませ。まだ余裕がありますわ」
「はい、ありがとうございます」
アシュリー様のご厚意で、横に寝させてもらいました。
大きめのベッドで良かったわね、こんなトラブルもパジャマパーティーの面白さのひとつかしらね? なんて小さな声で笑いながら、また眠りに就きました。
「う……ゲホッゲホゲホッ! っなぁにぃ⁉ ちょっと⁉」
「うぅぅん…………ヘレナさま? どうされました?」
「もう……今度はなによぉ……」
今度はヘレナ様が叫ばれ、どうしたのかと確認しようとしていましたら、アシュリー様も起きてしまいました。
「おもたいぃぃ。何ですの? 何でベリンダ様は私のお腹を枕にされてますのぉ? 退かして下さいぃぃ」
「「うわぁ……」」
ヘレナ様のお腹に、横向きのうつ伏せで伸し掛かって、よだれまでも垂らしていらっしゃいました。
うんしょうんしょと、ベリンダ様の腕を引っ張り、ヘレナ様から退かしましたが、ベリンダ様は全く起きませんでした。
「寝相が酷いのレベルを超えていらっしゃいますわね……」
「びっくりするくらいに起きませんね?」
「はぁ…………助かりました」
ふと、窓の外を見ると、空が白み、もうすぐで太陽が顔を出す時間のようでした。
これはもう眠らずに、ベリンダ様から避難しておきましょう、という結論に至りました。
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