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糸崎の日記 一
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8月8日 内田君幽霊日記(始まり)多分
内田優輝 享年二十歳
まさか内田君が死ぬなんて思ってもいなかった。きっと想像したくなかったんだろう。しかも、まだ若かったから。
お葬式から少し経ったころ、驚くことが起きる。内田君から電話がかかってきた。スマホの画面見たときは驚いたがきっと、内田母がかけたんじゃないかと思い慌てて電話を取った。
『モシモシ、糸崎です。』『いとちゃん、今日予定ある?無かったらこっち来てさ、慎吾と飲もーよ。』
あんまり普通だったから、そのまま受け答えをした。そしてその後、真っ先に慎吾に電話をかけた。
『慎吾!ねぇ、内田君から電話かかってきた!?』
『うん…かかってきたよ…』
『大丈夫?元気なさそうだけど。』
『いや、これは最近の疲れだから大丈夫。それよりも、糸崎は飲み、行く?』
『えっと、行く…』『そっか。俺もだ。』
『慎吾…内田君、アパートにいると思う?』
『いると思う、断言出来ないけど。』
『分かった。じゃあ、アパートで。またね。』
そして、アパートの扉の前にやって来た。恐る恐るインターホンをならす。そしたら、当たり前の様に内田君が出て来た。
「いらっしゃい。今日は焼き鳥とビールがあるよ!あ、部屋はガンガンクーラーつけてるからね。入って入って。」
「あぁぁ、涼しい…」
多分、涼しかったのは幽霊もいたからだなと思う。
「慎吾は?」「まだ来てない。大丈夫かな?」
この時どうすればいいのか分からなくて、頭の中でお経唱えてた。そしたら、内田君が
「んー?なんか喉乾いたなー。」と言い出した。私は何食わぬ顔して(焼き鳥は一本つまみ食いしてた)「クーラーかけて乾燥したんじゃない?先に乾杯しちゃう?」と言った。あぁ、お経とかすごく効くんだと、感心した。内田君が先に乾杯するかしないか悩んでいたら、チャイムがなった。
内「よぉ、慎吾!久しぶりだなぁ。最近、忙しかったんだって?」
慎「ハハッ、まあな。」
内「さあ、座って座って。」
糸「やっほー、慎吾。会いたかったよ。でもそれ以上に内田君が会いたがってたよー。」
慎「え!マジで?なんだ、連絡くれればすぐ行くのに」
内「いや、いとちゃん…何を慎吾に吹き込んでんの?」
糸「えぇ?そうじゃないの?だって内田君慎吾にあって話がしたいって言いよったやん?」
内「そうだけどさぁ…」
慎「おい、お前ら。焼き鳥全部食っちまうぞー」
糸・内「アーッ!」
そこからは焼き鳥のねぎまが美味しかったり、鴨の塩気が足りなかったり、酔いが回ってきたりであんまり覚えていない。
でも、内田君はもう死んでいる事は絶対的に覚えてる。彼の事が好きだから。
彼は私と慎吾の前で焼き鳥を食べた。ビールと酎ハイも呑んだ。クーラーを自分でつけて涼んだ。私達を出迎えてくれた。私に電話を寄越してくれた。今日はどんな事があったか教えてくれた。そっと手を触れた。暖かかった。
何が、一体なんの未練があって、この世に留まっているのか。私はそれを知らなきゃな~。
帰る時、彼は私達を見送ってくれた。本当は私達が彼を見送らなきゃいけないのに。
「じゃあね~。これで明後日からも頑張れるよぉ。」
「んじゃ、気を付けて帰れよ。寄り道せずになぁ。」
「内田またなー!焼き鳥ありがとう」
内田君が気を付けて帰れよと言ったので、夜難に遭わない呪文を唱えながら帰った。
内田君が呻いた気がした。
内田優輝 享年二十歳
まさか内田君が死ぬなんて思ってもいなかった。きっと想像したくなかったんだろう。しかも、まだ若かったから。
お葬式から少し経ったころ、驚くことが起きる。内田君から電話がかかってきた。スマホの画面見たときは驚いたがきっと、内田母がかけたんじゃないかと思い慌てて電話を取った。
『モシモシ、糸崎です。』『いとちゃん、今日予定ある?無かったらこっち来てさ、慎吾と飲もーよ。』
あんまり普通だったから、そのまま受け答えをした。そしてその後、真っ先に慎吾に電話をかけた。
『慎吾!ねぇ、内田君から電話かかってきた!?』
『うん…かかってきたよ…』
『大丈夫?元気なさそうだけど。』
『いや、これは最近の疲れだから大丈夫。それよりも、糸崎は飲み、行く?』
『えっと、行く…』『そっか。俺もだ。』
『慎吾…内田君、アパートにいると思う?』
『いると思う、断言出来ないけど。』
『分かった。じゃあ、アパートで。またね。』
そして、アパートの扉の前にやって来た。恐る恐るインターホンをならす。そしたら、当たり前の様に内田君が出て来た。
「いらっしゃい。今日は焼き鳥とビールがあるよ!あ、部屋はガンガンクーラーつけてるからね。入って入って。」
「あぁぁ、涼しい…」
多分、涼しかったのは幽霊もいたからだなと思う。
「慎吾は?」「まだ来てない。大丈夫かな?」
この時どうすればいいのか分からなくて、頭の中でお経唱えてた。そしたら、内田君が
「んー?なんか喉乾いたなー。」と言い出した。私は何食わぬ顔して(焼き鳥は一本つまみ食いしてた)「クーラーかけて乾燥したんじゃない?先に乾杯しちゃう?」と言った。あぁ、お経とかすごく効くんだと、感心した。内田君が先に乾杯するかしないか悩んでいたら、チャイムがなった。
内「よぉ、慎吾!久しぶりだなぁ。最近、忙しかったんだって?」
慎「ハハッ、まあな。」
内「さあ、座って座って。」
糸「やっほー、慎吾。会いたかったよ。でもそれ以上に内田君が会いたがってたよー。」
慎「え!マジで?なんだ、連絡くれればすぐ行くのに」
内「いや、いとちゃん…何を慎吾に吹き込んでんの?」
糸「えぇ?そうじゃないの?だって内田君慎吾にあって話がしたいって言いよったやん?」
内「そうだけどさぁ…」
慎「おい、お前ら。焼き鳥全部食っちまうぞー」
糸・内「アーッ!」
そこからは焼き鳥のねぎまが美味しかったり、鴨の塩気が足りなかったり、酔いが回ってきたりであんまり覚えていない。
でも、内田君はもう死んでいる事は絶対的に覚えてる。彼の事が好きだから。
彼は私と慎吾の前で焼き鳥を食べた。ビールと酎ハイも呑んだ。クーラーを自分でつけて涼んだ。私達を出迎えてくれた。私に電話を寄越してくれた。今日はどんな事があったか教えてくれた。そっと手を触れた。暖かかった。
何が、一体なんの未練があって、この世に留まっているのか。私はそれを知らなきゃな~。
帰る時、彼は私達を見送ってくれた。本当は私達が彼を見送らなきゃいけないのに。
「じゃあね~。これで明後日からも頑張れるよぉ。」
「んじゃ、気を付けて帰れよ。寄り道せずになぁ。」
「内田またなー!焼き鳥ありがとう」
内田君が気を付けて帰れよと言ったので、夜難に遭わない呪文を唱えながら帰った。
内田君が呻いた気がした。
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