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第二十六話
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――翌日、昼休み。
オレはかなり久しぶりに竹林へと来ていた。
例の心地好いベストスポットで昼食を取るためだ。
そしてもう一つ……。
「……んにゃ? お~ひっさしぶりだにゃ~、リューくん!」
「やはりいたか猫娘」
「だからウーナンにゃ!」
今度は熟睡していたわけではなさそうだ。
相変わらず猫缶を開けて、決して豪勢とは言えない食事をとっている。
オレがベンチに腰を下ろすと、グイグイッと距離を近づけてきた。
「ねえねえ、あの時からぜんっぜん来なかったにゃ。何かあった?」
「別に。ただサボってただけだ」
「サボッ!? い~けないんだいけないんだぁ、せ~んせ~に言ったぁろ~」
「黙れ。鼻にわさびを突っ込むぞ」
「そんなことしたら鼻がツーン地獄にゃ!? よくもまあそんにゃあくどいことを平気で口にできるにゃ!?」
オレはジロリと彼女を睨みつける。
「な、なんにゃ? ……はっ、まさかこの猫缶を!? ダ、ダメにゃ! これを取られたらボクのご飯がにゃいにゃ!」
取られまいと両腕で必死に隠すウーナン。
「別にそんな質素なものいらん」
「はんっ、猫缶をバカにするにゃ! これ一個にどれだけの栄養が入っているか! これこそ、究極の栄養補給を体現した最強の料理の形にゃ!」
「……バカなの?」
「バカッ!?」
「ていうか究極なのか最強なのかどっちかにしろ。それに猫缶を料理のカテゴリーに入れるな。そして猫缶は猫にこそ栄養満点かもしれんが、人間には合わん。以上のことからお前は究極で最強のバカに決定した」
「グハァァァッ!?」
ガックシと膝から崩れて地面に四つん這いになる猫もどき娘。
「ぐす……酷いにゃ……猫缶は……ロマンにゃのにぃ」
どこらへんがロマンなのか分からんが、コイツの人生にとっては欠かせない代物ではあるようだ。
「……そんなクソどうでもいいことは置いておいてだ」
「クソどうでもいいこと!? マジで辛辣じゃにゃい!?」
「いいから聞け。お前、昨日の夕方……どこにいた?」
「へぁ? 夕方? ん~何でそんにゃこと聞くの?」
「黙って答えろ」
オレはジッとウーナンの瞳を見つめる。
「昨日は……散歩してたかにゃ」
「散歩……だと?」
「いつもの日課にゃ」
「日課……ねぇ」
瞳に揺らぎはない。嘘を言っているなら、少しは反応するものだが……。
「まどろっこしいことは止めだ。もう直接的に聞く」
「ん?」
「お前は――――――――魔人か?」
ストレートな質問。
一体どう答えるつもりか。そして何が起きても対処できるように身構える。
すると、ウーナンがニィ……っと口角を上げた。
「君は…………どう思う?」
直後、彼女から得体の知れないオーラが発せられたのを感じて、即座にその場から飛び退いた。
ベンチの上ではウーナンはニヤニヤと、何が楽しいのか笑みを浮かべたまま、ゆっくりと地面に立つ。
もしかしたらいきなり襲ってくる可能性もあると踏んでいた……が、ウーナンはクルリと踵を返し、オレに背中を向けた。
「にゃぁ……任務が終わるまで楽しめそうだにゃ」
「任務……だと?」
「うにゃにゃ、ちょっち口が滑ったにゃ! じゃあリューくん、〝新人祭〟……楽しみにしてるにゃ! バハハーイ!」
そう言葉を発した瞬間、オレは背後に何かの気配を感じて振り向く。
そこにはボコッと地面が不自然に盛り上がった跡があった。
「……ちっ、また逃げられたか」
再度ウーナンがいた場所を振り返ると、すでにそこにはもう彼女の姿はなかった。
オレは盛り上がった地面に近づいて痕跡を調べてみる。
「……魔物のニオイ……だな」
それは嗅ぎ慣れた存在のニオイであった。
あのタイミングでの魔物の登場。
明らかにウーナンが魔物を使役していることは事実だ。
オレは溜め息を漏らすと、再びベンチへと戻り昼食をとる。
そして食べながら、これから面倒なことが起こりそうな予感に辟易するのであった。
オレはかなり久しぶりに竹林へと来ていた。
例の心地好いベストスポットで昼食を取るためだ。
そしてもう一つ……。
「……んにゃ? お~ひっさしぶりだにゃ~、リューくん!」
「やはりいたか猫娘」
「だからウーナンにゃ!」
今度は熟睡していたわけではなさそうだ。
相変わらず猫缶を開けて、決して豪勢とは言えない食事をとっている。
オレがベンチに腰を下ろすと、グイグイッと距離を近づけてきた。
「ねえねえ、あの時からぜんっぜん来なかったにゃ。何かあった?」
「別に。ただサボってただけだ」
「サボッ!? い~けないんだいけないんだぁ、せ~んせ~に言ったぁろ~」
「黙れ。鼻にわさびを突っ込むぞ」
「そんなことしたら鼻がツーン地獄にゃ!? よくもまあそんにゃあくどいことを平気で口にできるにゃ!?」
オレはジロリと彼女を睨みつける。
「な、なんにゃ? ……はっ、まさかこの猫缶を!? ダ、ダメにゃ! これを取られたらボクのご飯がにゃいにゃ!」
取られまいと両腕で必死に隠すウーナン。
「別にそんな質素なものいらん」
「はんっ、猫缶をバカにするにゃ! これ一個にどれだけの栄養が入っているか! これこそ、究極の栄養補給を体現した最強の料理の形にゃ!」
「……バカなの?」
「バカッ!?」
「ていうか究極なのか最強なのかどっちかにしろ。それに猫缶を料理のカテゴリーに入れるな。そして猫缶は猫にこそ栄養満点かもしれんが、人間には合わん。以上のことからお前は究極で最強のバカに決定した」
「グハァァァッ!?」
ガックシと膝から崩れて地面に四つん這いになる猫もどき娘。
「ぐす……酷いにゃ……猫缶は……ロマンにゃのにぃ」
どこらへんがロマンなのか分からんが、コイツの人生にとっては欠かせない代物ではあるようだ。
「……そんなクソどうでもいいことは置いておいてだ」
「クソどうでもいいこと!? マジで辛辣じゃにゃい!?」
「いいから聞け。お前、昨日の夕方……どこにいた?」
「へぁ? 夕方? ん~何でそんにゃこと聞くの?」
「黙って答えろ」
オレはジッとウーナンの瞳を見つめる。
「昨日は……散歩してたかにゃ」
「散歩……だと?」
「いつもの日課にゃ」
「日課……ねぇ」
瞳に揺らぎはない。嘘を言っているなら、少しは反応するものだが……。
「まどろっこしいことは止めだ。もう直接的に聞く」
「ん?」
「お前は――――――――魔人か?」
ストレートな質問。
一体どう答えるつもりか。そして何が起きても対処できるように身構える。
すると、ウーナンがニィ……っと口角を上げた。
「君は…………どう思う?」
直後、彼女から得体の知れないオーラが発せられたのを感じて、即座にその場から飛び退いた。
ベンチの上ではウーナンはニヤニヤと、何が楽しいのか笑みを浮かべたまま、ゆっくりと地面に立つ。
もしかしたらいきなり襲ってくる可能性もあると踏んでいた……が、ウーナンはクルリと踵を返し、オレに背中を向けた。
「にゃぁ……任務が終わるまで楽しめそうだにゃ」
「任務……だと?」
「うにゃにゃ、ちょっち口が滑ったにゃ! じゃあリューくん、〝新人祭〟……楽しみにしてるにゃ! バハハーイ!」
そう言葉を発した瞬間、オレは背後に何かの気配を感じて振り向く。
そこにはボコッと地面が不自然に盛り上がった跡があった。
「……ちっ、また逃げられたか」
再度ウーナンがいた場所を振り返ると、すでにそこにはもう彼女の姿はなかった。
オレは盛り上がった地面に近づいて痕跡を調べてみる。
「……魔物のニオイ……だな」
それは嗅ぎ慣れた存在のニオイであった。
あのタイミングでの魔物の登場。
明らかにウーナンが魔物を使役していることは事実だ。
オレは溜め息を漏らすと、再びベンチへと戻り昼食をとる。
そして食べながら、これから面倒なことが起こりそうな予感に辟易するのであった。
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