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第四十一話
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「ねえ、ほんとーにあのバジリスクに傷をつけられるの?」
まったく信じていない感じの声音が、私の背後から聞こえてくる。
「だから私を信じてって言ってるでしょ! 信じる者は救われるのよ!」
「いやだってさぁ……魔法の発動に時間がかかるから、その分、魔物に襲われないように守れって……何、お姫様気分にゃの?」
そう、この魔法の発動はまだ慣れていないし、集中する分、完全な無防備になる。その時に攻撃を受けたら一貫の終わりだ。
「ああもう! もしちゃんと守ってくれたらクリュウの弱みとか教えてあげるから!」
「マジで!? うにゃにゃ! まっかせるにゃ! 全力で守護するにゃよぉぉ!」
……まあ、アイツの弱みなんて知らないんだけどね。
私は深呼吸をして意識を集中させる。
右手をバジリスクに向かって上げ、左手で右手首を支えるように持つ。
……正直言って、発動できるかは分からない。
いや、いまだにこの魔法は成功したことがない。だから十中八九失敗してしまうだろう。
けど十回に一回は成功するかもしれないのだ。
ならばこの土壇場で、その一回を持ってくればいいだけ。
魔力の残量だって恐らく失敗している余裕はない。
ぶっつけ本番、必ず一発で成功しないといけない。
…………緊張するわね。
脳裏に失敗した時の映像が蘇ってくる。
ダメよ! こんなイメージじゃ、絶対に失敗するわ!
クリュウは言ってた。魔法はイメージだと。
常に成功を思い描け――。
それが口を酸っぱくして教えられた言葉。
「……まずは魔力放出」
右手から魔力を放出する。
「次に……それを留める」
そのままだと流れていく魔力を、一定の形――球体状に留める。
「……くっ!?」
この維持だけでも難しい。少しでも気を抜いたらすぐに形が歪み散ってしまう。
ここまでは修練でも辿り着けた。だが問題はここから。
詠唱とともに、魔力の形態を変化させていくのである。
「セイル・オフ……ディヒーヌス……バル……エン」
その時、魔力の形が歪になり四散しようとしてしまう。
すぐに歯を食いしばりながら、魔力を留める。
ああもう! 難しいわね、ったく!
まるで両手で違う文字を書き続けているような困難さだ。
「ドー……ラド……グリッツァ……ゼシル・グレイド……」
詠唱もようやく半分。そして魔力の塊もまた、イメージ通りの形に変化しようとしている。このまま集中すれば……。
その時、バジリスクが私の魔力の高まりに気づいたのか、尻尾についた針を私目掛けて飛ばしてきた。
「させないにゃっ! モグちゃん、グラちゃん!」
私の目前に現れたドリルモグラたちが、巨大な針を掴んで受け止めてくれた。そしてウーナンと一緒にグーサインを見せてくる。
はは……感謝するわよ、ウーナン。
ちゃんと守ってくれたんだ。ならそれに応えるのが勇者よね!
「アッバーゼド……ファ……ルス」
しかしガクンと膝が落ちそうになる。
もうちょっとでしょ! しっかりしなさいよ私ぃっ!
最後の力を振り絞って体勢を保つ。だがその直後、視界がやたらクリーンになり、身体の虚脱感も消える。
それどころか力が湧いてくるような感じだ。
よく分からないけどこれならイケそうな気がする。
必ず成功させてみせるわ! だから見てて――ミミッ!
天国にいるであろう大親友に誓った。
まったく信じていない感じの声音が、私の背後から聞こえてくる。
「だから私を信じてって言ってるでしょ! 信じる者は救われるのよ!」
「いやだってさぁ……魔法の発動に時間がかかるから、その分、魔物に襲われないように守れって……何、お姫様気分にゃの?」
そう、この魔法の発動はまだ慣れていないし、集中する分、完全な無防備になる。その時に攻撃を受けたら一貫の終わりだ。
「ああもう! もしちゃんと守ってくれたらクリュウの弱みとか教えてあげるから!」
「マジで!? うにゃにゃ! まっかせるにゃ! 全力で守護するにゃよぉぉ!」
……まあ、アイツの弱みなんて知らないんだけどね。
私は深呼吸をして意識を集中させる。
右手をバジリスクに向かって上げ、左手で右手首を支えるように持つ。
……正直言って、発動できるかは分からない。
いや、いまだにこの魔法は成功したことがない。だから十中八九失敗してしまうだろう。
けど十回に一回は成功するかもしれないのだ。
ならばこの土壇場で、その一回を持ってくればいいだけ。
魔力の残量だって恐らく失敗している余裕はない。
ぶっつけ本番、必ず一発で成功しないといけない。
…………緊張するわね。
脳裏に失敗した時の映像が蘇ってくる。
ダメよ! こんなイメージじゃ、絶対に失敗するわ!
クリュウは言ってた。魔法はイメージだと。
常に成功を思い描け――。
それが口を酸っぱくして教えられた言葉。
「……まずは魔力放出」
右手から魔力を放出する。
「次に……それを留める」
そのままだと流れていく魔力を、一定の形――球体状に留める。
「……くっ!?」
この維持だけでも難しい。少しでも気を抜いたらすぐに形が歪み散ってしまう。
ここまでは修練でも辿り着けた。だが問題はここから。
詠唱とともに、魔力の形態を変化させていくのである。
「セイル・オフ……ディヒーヌス……バル……エン」
その時、魔力の形が歪になり四散しようとしてしまう。
すぐに歯を食いしばりながら、魔力を留める。
ああもう! 難しいわね、ったく!
まるで両手で違う文字を書き続けているような困難さだ。
「ドー……ラド……グリッツァ……ゼシル・グレイド……」
詠唱もようやく半分。そして魔力の塊もまた、イメージ通りの形に変化しようとしている。このまま集中すれば……。
その時、バジリスクが私の魔力の高まりに気づいたのか、尻尾についた針を私目掛けて飛ばしてきた。
「させないにゃっ! モグちゃん、グラちゃん!」
私の目前に現れたドリルモグラたちが、巨大な針を掴んで受け止めてくれた。そしてウーナンと一緒にグーサインを見せてくる。
はは……感謝するわよ、ウーナン。
ちゃんと守ってくれたんだ。ならそれに応えるのが勇者よね!
「アッバーゼド……ファ……ルス」
しかしガクンと膝が落ちそうになる。
もうちょっとでしょ! しっかりしなさいよ私ぃっ!
最後の力を振り絞って体勢を保つ。だがその直後、視界がやたらクリーンになり、身体の虚脱感も消える。
それどころか力が湧いてくるような感じだ。
よく分からないけどこれならイケそうな気がする。
必ず成功させてみせるわ! だから見てて――ミミッ!
天国にいるであろう大親友に誓った。
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