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「……相変わらずツナギのその力は不思議」
ムトにはこういう能力を持っているということは教えている。
ただヤタにも言ってないように、異世界出身だということは黙っているが。
素早く地面に《クラフト紋》を描き、その上に石材と木材を同時に乗せる。
直後に《クラフトメニュー》が表れ、作成できる道具の名前が記された。
その中で石の剣と石の槍、石の盾をそれぞれ二つずつ作る。
槍と斧は、持ち手の部分が木材だからまだ軽いが、剣と盾はすべてが石で作り上げられていることからかなり重い。その分耐久度と威力は他の武器よりも高いが。
作った装備品に触れると、装備するのか収納するのか選択肢が出るので、収納をクリックすると、持っていたものがその場から消失し、インベントリに収納される。
「よし、とりあえず石の槍だけを装備するだけでいいよね」
リーチも長いし比較的軽いので扱いやすい。
「ピィピィ!」
「え? もしかしてイチも一緒に行くの?」
「ピィ!」
当然と言わんばかりに胸を張るイチ。いや、張る胸はないがそんな感じに見えている。
まあ確かに魔物を連れてダンジョンにも行けたはずだから大丈夫だと思うけど……。
「よし、じゃあ行くか」
危なかったら逃げればいいしね。
「待って、ツナギ」
「ん? どうかした、ムト?」
「ムトも行く」
「え? え~っと……」
チラリとヤタを見てつい判断を仰いでしまう。
「今のお主のレベルだとここから供にダンジョンへ連れていける魔物は一体だけ。しかし同じ魔物でもムトは立場が違うから、恐らくは【箱庭】の魔物として認識されないだろう」
「ということは……?」
「供に行けるとは思う」
「そっか……ムト、本当に行くつもり?」
「ん……ダメ?」
実際のところムトは強い。
見た目は十歳児だが、大岩を素手で軽く砕くこともできる。
前に口から炎を吐いた時は驚いて腰を抜かしてしまったなぁ。
しかもその炎にぶち当たった大木は一瞬で灰になったし。
多分今の彼女ならダンジョンレベル80以上でも問題なく攻略できると思う。
何せ幼いとはいえ伝説の〝五天竜〟の一翼なのだから。
「……分かった。でもできれば僕の指示には従ってね」
「ん、了解」
これで命の心配はほぼほぼなくなったので、僕も安心してダンジョンへ向かうことができる。
「ニンとサブは、【箱庭】の警備を頼むな」
「「ピィ!」」
うんうん、素直で良い子に育ってる育ってる。親としては嬉しいもんだ。
「一応言っておくが、吾輩はここから出ることはできぬからな」
「そっか。分かった」
「それともう一つ助言しておく。それは〝リターンゲート〟のことだ」
「……何それ?」
当然のごとく知ってるけどね。
「向こうについたら分かると思うが、転移した場所には〝リターンゲート〟と呼ばれる、ここと向こうを繋ぐゲートが設置される。しかしながらそれを見ることができ発動できるのは管理人だけだ」
「なるほどなるほど」
「〝リターンゲート〟に触れて【箱庭】と口にすればここに戻って来られる。覚えておくように」
「オッケー。他には?」
「今のところそれくらいか。あとは実地研修ということで、精々多くを学んでくるのだな。まあムトとイチがついているので安心はしているが」
どうもヤタの僕に対する信用度が低い気がする。
僕だって一人でもこの程度のダンジョンくらい大丈夫だと思うし……多分。
よく考えれば生身では当然ながら初めての経験なので、やっぱり緊張はしてるけど。
「準備ができたら、祠に触れてダンジョンへ向かうのだ。イチとムトはツナギの身体に触れるのだ。転移するまでは決して離してはならぬぞ」
忠告に対し、イチとムトがそれぞれ返事をする。
「――よし! じゃあ行くぞ。――【始まりの森】!」
その瞬間、僕たち三人の姿が【箱庭】から消失した。
ムトにはこういう能力を持っているということは教えている。
ただヤタにも言ってないように、異世界出身だということは黙っているが。
素早く地面に《クラフト紋》を描き、その上に石材と木材を同時に乗せる。
直後に《クラフトメニュー》が表れ、作成できる道具の名前が記された。
その中で石の剣と石の槍、石の盾をそれぞれ二つずつ作る。
槍と斧は、持ち手の部分が木材だからまだ軽いが、剣と盾はすべてが石で作り上げられていることからかなり重い。その分耐久度と威力は他の武器よりも高いが。
作った装備品に触れると、装備するのか収納するのか選択肢が出るので、収納をクリックすると、持っていたものがその場から消失し、インベントリに収納される。
「よし、とりあえず石の槍だけを装備するだけでいいよね」
リーチも長いし比較的軽いので扱いやすい。
「ピィピィ!」
「え? もしかしてイチも一緒に行くの?」
「ピィ!」
当然と言わんばかりに胸を張るイチ。いや、張る胸はないがそんな感じに見えている。
まあ確かに魔物を連れてダンジョンにも行けたはずだから大丈夫だと思うけど……。
「よし、じゃあ行くか」
危なかったら逃げればいいしね。
「待って、ツナギ」
「ん? どうかした、ムト?」
「ムトも行く」
「え? え~っと……」
チラリとヤタを見てつい判断を仰いでしまう。
「今のお主のレベルだとここから供にダンジョンへ連れていける魔物は一体だけ。しかし同じ魔物でもムトは立場が違うから、恐らくは【箱庭】の魔物として認識されないだろう」
「ということは……?」
「供に行けるとは思う」
「そっか……ムト、本当に行くつもり?」
「ん……ダメ?」
実際のところムトは強い。
見た目は十歳児だが、大岩を素手で軽く砕くこともできる。
前に口から炎を吐いた時は驚いて腰を抜かしてしまったなぁ。
しかもその炎にぶち当たった大木は一瞬で灰になったし。
多分今の彼女ならダンジョンレベル80以上でも問題なく攻略できると思う。
何せ幼いとはいえ伝説の〝五天竜〟の一翼なのだから。
「……分かった。でもできれば僕の指示には従ってね」
「ん、了解」
これで命の心配はほぼほぼなくなったので、僕も安心してダンジョンへ向かうことができる。
「ニンとサブは、【箱庭】の警備を頼むな」
「「ピィ!」」
うんうん、素直で良い子に育ってる育ってる。親としては嬉しいもんだ。
「一応言っておくが、吾輩はここから出ることはできぬからな」
「そっか。分かった」
「それともう一つ助言しておく。それは〝リターンゲート〟のことだ」
「……何それ?」
当然のごとく知ってるけどね。
「向こうについたら分かると思うが、転移した場所には〝リターンゲート〟と呼ばれる、ここと向こうを繋ぐゲートが設置される。しかしながらそれを見ることができ発動できるのは管理人だけだ」
「なるほどなるほど」
「〝リターンゲート〟に触れて【箱庭】と口にすればここに戻って来られる。覚えておくように」
「オッケー。他には?」
「今のところそれくらいか。あとは実地研修ということで、精々多くを学んでくるのだな。まあムトとイチがついているので安心はしているが」
どうもヤタの僕に対する信用度が低い気がする。
僕だって一人でもこの程度のダンジョンくらい大丈夫だと思うし……多分。
よく考えれば生身では当然ながら初めての経験なので、やっぱり緊張はしてるけど。
「準備ができたら、祠に触れてダンジョンへ向かうのだ。イチとムトはツナギの身体に触れるのだ。転移するまでは決して離してはならぬぞ」
忠告に対し、イチとムトがそれぞれ返事をする。
「――よし! じゃあ行くぞ。――【始まりの森】!」
その瞬間、僕たち三人の姿が【箱庭】から消失した。
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