30 / 45
27話 前進
しおりを挟む
「ベガ、方の二匹も蹴散らして! 姉上、分断もかねた攻撃魔術を! レオンは敵の矢を撃ち落としながら、削っていって!」
パーティーに指示を出す。
だけでなく僕は、
「はああぁぁっ!」
ゴブリンの首筋に突き。
ブロードソードが、紫の血にまみれて貫通する。
「GYOPYUUUUUッ!」
そのまま、死体となったそのゴブリンごと突き進み、奥のゴブリンにもブロードソードを突き刺した。
傷は浅い。
でも十分だ。
ブロードソードの柄に、短杖を触れさせる。
「《トニトルス》」
金属の刀身を伝い、剣先から雷が放出。
「ABABABABABABAB──ッ!」
奥のゴブリンは、泡を吹いて気絶した。
「こっちは大丈夫! そっちは!?」
周りを見ると、ゴブリンの死骸が積み重なっていた。
剣で斬られた痕が残るゴブリン。
矢が幾つも刺さったゴブリン。
地面から生えた岩の槍に貫かれたゴブリン。
僕のも含めて、総数十三匹程度。
普通の冒険者パーティーなら、数的に苦戦しそうなものだ。
だけど僕らはそれを、ものの一分足らずで倒しきった。
「的確な指示のおかげで、誰ひとり怪我は負ってないよ、イオ。順調だね」
ベガの言う通り、ここまで順調に進んできた。
というか、前進は撤退に比べ、比較的安全だ。
普通は逆なんだけど、このダンジョンの敵主力は、あろうことか僕らの後方にいる。
なら、必然的に前方が手薄になるわけで。
撤退よりむしろ、進撃する方が安全だ。
「おそらくダンジョンボスは、僕らが攻めてくることは考慮していないと思う。常識的に考えて、この状況下で奥へ突き進むなんて、正気の沙汰じゃないからね」
「……あ、自覚あったんだ?」
意外だった、と驚きを見せるベガ。
「あるに決まってるでしょ。ぶっちゃけ、戦闘狂か自殺志願者しか採らないよ、こんな判断」
だからこそ、《ガンマ・グラミ》の人達は止めようとしてくれたわけだし、僕らについてこなかった。
それが正常だ。
僕らの判断は、常軌を逸しているのだ。
「だけど……いや、だからこそ、攻めてくるなんて考えられないはず。なまじ頭の良い生き物ほど、"非合理的"な判断は理解出来ないからね」
酒場にエールが無いからといって、違うお酒を注文したり別の酒場に行ったり、というのは理解できる。
だけど、エールが無いからって、急に陽気なダンスを踊り始める人の事は、理解しがたい。
暗くじめじめしたダンジョンで出入り口を塞がれて、敵も大量にいる。
命が危うい。
もちろん死にたくない。
一刻も早く脱出したい。
そんな状況で、逃げるでも耐えるでも諦めるでもなく"攻める"なんて、踊り始める人と同様に、イカレているとしか思えない。
だけどそれが、勝利するカギだ……!
「まれに俺、イオが恐ろしく思えるぜ。なんつーか、底の知れない井戸を覗き込んでる気分っつーか、どこまでも物が沈み込んでく沼を見てる気分っつーか……」
「レオン、それ褒めてるの?」
あんまり、好意的な例えには聞こえないんだ……
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁっぁあッ!!」
突如、ダンジョン内に悲鳴が響き渡った。
「どうするのかしら、イオ……って。言わなくても、分かりきったことね」
「うん!」
声のした方へと、僕らは駆けた。
パーティーに指示を出す。
だけでなく僕は、
「はああぁぁっ!」
ゴブリンの首筋に突き。
ブロードソードが、紫の血にまみれて貫通する。
「GYOPYUUUUUッ!」
そのまま、死体となったそのゴブリンごと突き進み、奥のゴブリンにもブロードソードを突き刺した。
傷は浅い。
でも十分だ。
ブロードソードの柄に、短杖を触れさせる。
「《トニトルス》」
金属の刀身を伝い、剣先から雷が放出。
「ABABABABABABAB──ッ!」
奥のゴブリンは、泡を吹いて気絶した。
「こっちは大丈夫! そっちは!?」
周りを見ると、ゴブリンの死骸が積み重なっていた。
剣で斬られた痕が残るゴブリン。
矢が幾つも刺さったゴブリン。
地面から生えた岩の槍に貫かれたゴブリン。
僕のも含めて、総数十三匹程度。
普通の冒険者パーティーなら、数的に苦戦しそうなものだ。
だけど僕らはそれを、ものの一分足らずで倒しきった。
「的確な指示のおかげで、誰ひとり怪我は負ってないよ、イオ。順調だね」
ベガの言う通り、ここまで順調に進んできた。
というか、前進は撤退に比べ、比較的安全だ。
普通は逆なんだけど、このダンジョンの敵主力は、あろうことか僕らの後方にいる。
なら、必然的に前方が手薄になるわけで。
撤退よりむしろ、進撃する方が安全だ。
「おそらくダンジョンボスは、僕らが攻めてくることは考慮していないと思う。常識的に考えて、この状況下で奥へ突き進むなんて、正気の沙汰じゃないからね」
「……あ、自覚あったんだ?」
意外だった、と驚きを見せるベガ。
「あるに決まってるでしょ。ぶっちゃけ、戦闘狂か自殺志願者しか採らないよ、こんな判断」
だからこそ、《ガンマ・グラミ》の人達は止めようとしてくれたわけだし、僕らについてこなかった。
それが正常だ。
僕らの判断は、常軌を逸しているのだ。
「だけど……いや、だからこそ、攻めてくるなんて考えられないはず。なまじ頭の良い生き物ほど、"非合理的"な判断は理解出来ないからね」
酒場にエールが無いからといって、違うお酒を注文したり別の酒場に行ったり、というのは理解できる。
だけど、エールが無いからって、急に陽気なダンスを踊り始める人の事は、理解しがたい。
暗くじめじめしたダンジョンで出入り口を塞がれて、敵も大量にいる。
命が危うい。
もちろん死にたくない。
一刻も早く脱出したい。
そんな状況で、逃げるでも耐えるでも諦めるでもなく"攻める"なんて、踊り始める人と同様に、イカレているとしか思えない。
だけどそれが、勝利するカギだ……!
「まれに俺、イオが恐ろしく思えるぜ。なんつーか、底の知れない井戸を覗き込んでる気分っつーか、どこまでも物が沈み込んでく沼を見てる気分っつーか……」
「レオン、それ褒めてるの?」
あんまり、好意的な例えには聞こえないんだ……
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁっぁあッ!!」
突如、ダンジョン内に悲鳴が響き渡った。
「どうするのかしら、イオ……って。言わなくても、分かりきったことね」
「うん!」
声のした方へと、僕らは駆けた。
3
あなたにおすすめの小説
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる