最強勇者、最弱種族の為にスローライフを

一条おかゆ

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第四話 ド変態オーク

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「まずは助けてくれた事を、感謝するわ」

 少女は動く馬車の中で、スクナへと上品にお辞儀した。

 その少女はさらさらとしたセミロングの金髪に、幼いが端正な顔付きだ。
 更にフリルのあしらわれたワンピース風の白いドレスも相まって「ザ・お嬢様」といった風だ。
 そして少女の身長は130cm程で、スクナよりも多少高い……。

「いえいえ。こちらこそ帝都までこんないい馬車に乗せてもらえるなんて、ありがたい限りですよ」

 助けたお礼として、スクナは少女と同乗で、帝都まで連れて行って貰える事となった。
 だからスクナは少女と向かい合った席に座っている。

「にしてもあんな大きなオーク達を倒すなんて、流石小指の勇者様ね」

「ありがとうございます……でも、あのオーク達は弱い個体ですよ」

「そうなの?」

「そうです。だって強い個体なら……」

 スクナは言い淀む。

「どうかしたの? 別に言いにくい事でも言っていいわよ」

「その……オークの強い個体は……男性器を露出させてるんです」

「え? ……ええっ!?」

 あまりの衝撃に、一瞬少女の思考が停止した。
 だが言われた言葉を脳内で再確認すると、彼女は驚きをあらわにした。

「基本的にはオスしかいないオークにとって、男性器っていうのは一つのシンボルなんですよ。だからそれをあえて露出させる事は、オークの戦士階級しか許されないんですよ」

「そ、そうなのね……っ」

「それよりもっと強い個体だと……」

 スクナは再び言い淀む。

「つ、強い個体だと……?」

 だが少女は興味津々だ。
 だからスクナは続きを伝えた。

「俗に言うおちんぽケースを付けています」

「お、おちん……っていうのは?」

「まず多種族のメスの手足に鎖を付けて、リュックみたいな形にするんですよ。で、女性器にバックで挿入しながら、身体の前面に背負うんです。それがおちんぽケースです」

「な、なんでそんな事を?」

「そうすれば肉の盾になるからですよ。だからおちんぽケースに選ばれた女の子は、オークからの快楽と死への恐怖を同時に受けて、すぐに頭が壊れちゃうんですよ」

「……ごくっ」

 少女は生唾を飲み込む。
 その瞳には底知れない恐怖が巣くっている。

「ご主人様が動く度にお腹を抉るような快楽が襲いかかって来て、いざ戦闘となれば柔肌を鋭い剣がかすめるんですからね。狂わない方がおかしいで……」

「も、もうっ大丈夫! 大丈夫ですっ!」

 少女は頭をぶんぶんと横に振りながら、手を前に突き出した。
 これ以上聞くのは精神衛生上よろしくない、と判断したのだろう。

「ご、ごめんなさい! オーク王と戦ってきたからそういうのよく見てて……。女の子に話すような内容じゃなかったですね……」

「い、いいのよ、私が聞いたんだから……」

「……」

「……」

 そうして流れる気まずい空気。
 それを打開すべく、スクナは話題を変えた。

「……そういえば、なんで帝都に向かってるんですか?」

「ぼ、冒険者になりたくて」

 スクナと全く同じ目的。
 それを聞き、スクナは一度少女の身体を見た。

 平坦で華奢な身体に、小さな背丈。
 こんな体格で何が出来るというのか、とつい言ってしまいそうになるが、人間にとっては貧弱でもプーミリアにとってはこれが普通の体格なのだ。
 だからスクナも責めたりはしない。
 代わりに、

「貴族だというのに、どうして冒険者になりたいんですか?」

 疑問をぶつけた。
 それに対して少女はきっぱりと答えた。

「強くなりたい……いや、強くならなきゃいけないの」

 スクナは始め、彼女の事を高飛車なお嬢様と思った。
 だが違う。
 今の彼女の瞳は、野心に燃える若者のものだ。

 だからスクナは、彼女の事を一人前の人間として扱う事にした。
 そして、名を尋ねた。

「失礼ですが、名を聞かせて貰っても宜しいでしょうか?」

「リーヌよ」
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