腹黒御曹司との交際前交渉からはじまるエトセトラ

真波トウカ

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(は、はじめての時、本当にあれが入ったの?)
 なにか別の生き物のように膨張した隼人の自身が、自分の体の中に埋め込まれていたのはちょっと信じがたかった。
「そんなに見られちゃ少し照れるな」
「あ……」
 麻由ははしたない視線を向けていたことに気づいて、慌てて顔を背けた。
「いいさ。俺だけ君の体を堪能したんじゃフェアじゃない」
 隼人は自らの下着を脱ぎさると、麻由の手をとってそっと自身に添えさせた。
 手のひらの中で熱いものがぴくんと動く。
「はぁ……っ」
 隼人が切なげな吐息を漏らすと同時に、熱杭の先から透明な液が流れ出た。
 添えた手に隼人の手が重なり軽く上下に動かされるとぐちぐちと粘ついた音がする。
 なにかに耐えるように眉根を寄せる隼人の表情はやはり目がそらせないくらい扇情的だった。
「これが今から君の中に入るんだ」
 耳元で掠れた声でささやかれ、またお腹の奥がずくんと疼いた。
 隼人は自身にゴムの被膜をかぶせると、まだ濡れそぼっている秘部に先端をあて、なじませるように軽くなぞる。
「麻由、つかまってて」
 行き場のない手は隼人の背に回される。男性らしい、広く硬い背中の感触に胸を高鳴らせていると熱いものが中に割り入ってきた。
「はぁ……っ」
 圧迫感はあるが痛みはない。かわりにじわじわと深い快感が広がっていく。
 隘路は隼人を離すまいときつく締め付けた。
「麻由」
 口づけをされると、なんだか泣きたくなった。体以上に心を満たされたような気がした。
 隼人は律動を始める。
 自身の先を麻由の奥に当て、小刻みに押し上げる。そうされると麻由の頭は真っ白になって、なにも考えられなくなった。
「あ、ああっ……隼人さんっ、好き……っ」
「っ、あんまり煽るな」
 隼人は律動を早めると、大きな動きで猛る自身を打ち付ける。
(隼人さんも、気持ちいい?)
 余裕がなさそうに歯を食いしばる表情に胸がきゅうっと切なくなった。
「あ、も、はああぁぁっ」
 最奥を突かれ、深くへ落ちていくような快感とともに麻由は達した。
「っく」
 麻由の中がきつく収縮し、隼人も限界を迎える。
(一緒に、いけた……)
 熱いものが弾ける感覚が嬉しくて、麻由は小さく微笑む。
 まだ繋がったまま、隼人が覆い被さってくる、その重みすら愛おしかった。
「麻由、愛してる」
 倦怠感で眠りに落ちそうになる瞬間、そう言われた気がした。薄く開いたまぶたの向こうの隼人はとても優しい顔をしていた。
 

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