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―レッド・ブラットの兄妹編―
襲撃
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ビルはミアの話に心が痛くなったと同時に思い出す。両親が殺されたあの日を。
「……俺も、目の前で父さんと母さんを殺されたんだ。その時に2人からマリアを守ってくれ、って。だから、俺、アイツを守って来た。親戚は良い人達ばかりじゃなかったし。……マリアの血を使って金儲けしようとする奴や、虐められたりもした」
思った事を素直に言葉にしようとする姿にミアは静かに聞いた。誰も頼れず、大人さえも彼等を利用しようとした。
両親の死を見ても、まだ子供の体と心で必死に妹を守ろうとしている。唯一の家族を。
「……正直、死んで良かったって思う奴も居たけど……それでも、誰も居ないのが俺は……辛い……ッ。なあ、この気持ちどうしたらいいんだよ!父さんと母さんに会いたい……ッ、抱き締めてほしい……!」
必死に唇を噛み締め涙を堪えていたが、ビルの瞳からは涙が止まる事は無かった。
「……そうね、会いたいわね。よく頑張った。大丈夫、私達も、マリアちゃんも貴方の味方よ」
ミアは優しくビルを抱き締めると頭を、撫でた。自分が母親にされた様に優しく、とても優しく。
ビルは落ち着いた気持ちになりながら、問い掛けた。
その様子をアパタイトバードが静かに見ていた、見守る様に。
「……憎いか?」
「……ええ、とっても」
――――
―――――
「で、これはどうなってんの?……なんか既視感あるんだけど」
ミアは泣き止んだビルと共に、兄妹の家へと戻った。2人の視界に映ったものは、アパタイトバードと何処か似ていた。
マリアの顔は乙女そのもので、ギルに抱き着いている姿は懐いていると言っても良かった。
「いや~、マリアちゃんギルくんの事気に入っちゃったみたい。でもその気持ち分かるよ~!カッコイイもんねー!」
「ギルさん!私と、結婚してください!」
「え~、マリアちゃんまだ結婚出来る歳じゃないよ。……後、俺今手を出したら犯罪だからねえ……」
困った様に笑うギルに顔が良いのは罪だと、2人のやり取りを見ていたが隣で呆然と立っていたビルが、駆け寄るとギルからマリアを引き剥がす。
「マリアに手出すな!女たらし!」
「え、俺傷付く」
「お兄ちゃんー!邪魔しないで!」
「マリア!お前、俺と結婚したいって言ってただろ!何でだよ!」
「だって……お兄ちゃんよりも、カッコイイんだもん……」
「……なッ!」
明らかにショックを受けているビルの姿に、不思議そうな顔をするマリアを見ていた大人3人は、ビルがシスコンなのだろうと笑う。
微笑ましい光景にミアは安心した。学校には彼が求めてるものが必ず、手に入るとミアは思っていた。1人で大切な人を守る覚悟と勇気に、ミアは必ず2人を守らなくてはと改めて感じた。
「動物にも子供にも好かれて大変ね、ギル」
「全く、罪な男だね~。俺ってば」
「……自分で言わないで」
呆れた様に溜息を吐き出すと、兄妹に今回の事を話す。
「ビルは大体の話は知ってる?」
「何でこの血が受け継がれてるのか、とマリアの血の事は聞いた。だ他の事もまだあったんだ、きっと。だけどそれを聞く前に、死んだから他は分からない」
「……そうね、なら簡単に説明するとね?今、マリアちゃんの血が狙われてる。探し回ってるのよ、貴方達の居場所を」
「……それは何となく気付いてた」
「でしょうね。場所を移動してたくらいだもの。……ここからが肝心なんだけど、貴方達を安全な場所まで連れて行きたいの」
ミアは真剣な表情でビルとマリアに話をする。全力で守るつもりだが、何があるか分からない。しっかりと話して対応出来る様にしなければならない、とミアは真剣に見つめ返すビルと、少し不安そうなマリアを見つめた。
「移動術を使いたいんだけど、マリアちゃんはまだ9歳で移動術を使うと体に負担が大きいわ。……だから、箒で飛んで目的地まで向かう事になるの。絶対に、最後まで送り届けるから、2人も怖がらずに信用してくれるかしら?」
ミアの言葉に2人は顔を見合わせ、力強く頷いた。
ビルは特にミアを信用している様子で、ギルもエミリアも安心した様に顔を合わせていた。
「よし、良い子ね!ビルは魔法使えるみたいだから、杖をきちんと持っておくのよ」
「ああ、分かった」
「マリアちゃんはギルくんの箒に乗ろっか!」
「え! 本当!? やったー!」
エミリアの言葉にマリアは飛び跳ね、喜ぶとビルがつまらなさそうな表情を浮かべるのでミアとギルは思わず笑ってしまう。
「笑うなよ……」
恥ずかしいのか頬を薄く赤く染め、顔を逸らす姿にミアとギルは再び笑いそうになるのを堪えた。
「移動は速い方が良いわね、2人とも必要な物このトランクの中に入れていいから準備してもらえるかしら?」
ミアの言葉に頷く2人は早速準備しようとした、その時だった。
「ギィエエエエエエェエエエエッ!」
アパタイトバードの激しい鳴き声が聞こえた。
「な、なに!?」
「アパタイトバードよ!ギル、エミリア!このまま中に居てその2人を守って!」
ミアは慌てて外へと飛び出すと、アパタイトバードが激しく暴れて怒っていた。どうしたのかと近寄ろうとした時だった、鼻の置くが痛くなる臭いに気付いた。
「……来たわね。何で場所バレたのかしら。……って、それどころじゃないわ!ギル!エミリア!移動する準備すぐにして!」
中に居る2人に声を掛けるとミアは杖を構えながら、アパタイトバードを撫で落ち着かせるように撫でた。
「お願い、アパタイトバード……。あの兄妹を守る為に協力してくれる?」
優しくアパタイトバードに問い掛けると、静かに広げていた翼を畳み大人しくなる。良い子だと再び撫でてやれば、突然大きな揺れを感じた。
「……っ!」
何が起きているのか確認しようと辺りを見回すと、真っ赤な炎と共に空間の歪みが見えた瞬間、魔法が解けた。
「やっと見つけた……稀血」
「アンタ達もしつこいわね!」
目が合った瞬間2人の魔法と魔術がぶつかり合う。
「げっ!何人いるの、これ~!」
「大体15人くらいじゃない?ミアちゃんどうする?」
「……守るに決まってるわ。隙を作ってなんとか逃げましょう。アパタイトバードのスピードなら付いて来れない筈」
ギルとエミリアはビルとマリアを庇うように出て来ては、杖を構えて辺りを見回す。
白いローブを羽織った集団に囲まれている。どうやら、魔術の炎からは守れなかった様にはしていなかったみたいだ。恐らく、魔法使いに狙われると思っていたのだろう。
3人はビルとマリアを守るように、円形に立つと空に浮かぶ魔術師と地面に立つ魔術師達からの攻撃を防いでいく。
瞬間移動の様に目の前に現れたと同時に攻撃が飛んでくるのを見ては、膝を勢い良く顔面に打ち付けるように入れてやると、杖を魔術が飛んでくる方向に向け攻撃を防いだ。
「え、ミアちゃんそれは男前過ぎない?」
「も~!流石ミア~!」
気絶したのか寝転がったまま動かない魔術師を魔法で浮かせると、空を飛ぶ魔術師に投げては衝突させた。
2人の気楽な様子に少し溜息を吐きつつ、15人だった魔術師が移動の魔術でも使っているのだろう、湧いて出てくる様子にどうするか考える。
「消し飛べ!」
「”ブロー・ヴェイ”!」
エミリアは魔術師に攻撃を当てるものの、人数の多さに忙しなく周りを見渡す。
「もー!多すぎ!」
「キリが無いね~。ミアちゃん急がないともっと増えるよ、コイツ等」
「分かってるわよ。……ギルとエミリアはビル達と一緒にアパタイトバードに乗って」
「ミアちゃんはどうする気だい?」
ギルはミアの横目を真剣に見つめて問い掛ける。何を考えているかは、薄々気付いているが。
そんな様子をマリアは不安そうに見つめ、ビルの腕を強く掴む。マリアを安心させるように笑みを浮かべたビルは頭を撫でてやる。
「私がアイツ等引き寄せるわ。隙を見て移動術使うから安心して」
「それなら俺も残るよ!1人じゃ危険だ……!」
「ギル。その子達を守らなきゃいけないのは分かってるわよね?……2人を1人で守るより、2人で守った方が良いでしょ?」
ミアの言い分は最もであり、ギルにも分かっていたが心配だった。
次々に増える魔術師を1人で相手にしていれば、隙が出来るかは分からない。いくら強いミアでもギルは心配だった。
「……ね?」
小さい子供に言い聞かせる様にミアはギルを見つめた。
「……分かったよ」
素直に引き下がるギルにミアは小さく笑った。
「私が道を開くわ!ギルとエミリアは防御しながらアパタイトバードに乗って!」
「分かった!ビルくん、マリアちゃん付いて来て!」
「俺が攻撃するからエミリアちゃん、防御頼んだよ!」
各自走り出すとミアは杖先から炎を出し、大きく杖を回せば魔術師の前を勢い良く通り抜けていく。その隙にエミリアは防御魔法で透明な壁を作り出す。
「”ポータ”!」
素早く走り抜けると翼を広げ、魔術師達を払うアパタイトバードの元へと駆け寄ればビルとマリアをアパタイトバードの背中へと乗せようとした。
「そう簡単には行かせない」
アパタイトバードの頭上に現れた魔術師の攻撃が飛んで来ると、エミリアはビルとマリアを庇うように前に立つ。
「”スターチ”!」
ギルはその姿を確認すると、相手していた魔術師を飛び越えて魔法を飛ばした。アパタイトバードの頭上に居た魔術師は石になり、そのまま落ちて来るのをアパタイトバードは避けた。
「ギルくんありがとう……助かったよ~」
「ミアちゃんが何とかしてくれてるうちに行こう」
ギルは背後で戦っているミアを横目で見ながらエミリアに告げると、マリアをアパタイトバードの背に乗せた。
腕の無い魔術師が不敵な笑みを浮かべていた事には誰も、気付かずにいた。
「……俺も、目の前で父さんと母さんを殺されたんだ。その時に2人からマリアを守ってくれ、って。だから、俺、アイツを守って来た。親戚は良い人達ばかりじゃなかったし。……マリアの血を使って金儲けしようとする奴や、虐められたりもした」
思った事を素直に言葉にしようとする姿にミアは静かに聞いた。誰も頼れず、大人さえも彼等を利用しようとした。
両親の死を見ても、まだ子供の体と心で必死に妹を守ろうとしている。唯一の家族を。
「……正直、死んで良かったって思う奴も居たけど……それでも、誰も居ないのが俺は……辛い……ッ。なあ、この気持ちどうしたらいいんだよ!父さんと母さんに会いたい……ッ、抱き締めてほしい……!」
必死に唇を噛み締め涙を堪えていたが、ビルの瞳からは涙が止まる事は無かった。
「……そうね、会いたいわね。よく頑張った。大丈夫、私達も、マリアちゃんも貴方の味方よ」
ミアは優しくビルを抱き締めると頭を、撫でた。自分が母親にされた様に優しく、とても優しく。
ビルは落ち着いた気持ちになりながら、問い掛けた。
その様子をアパタイトバードが静かに見ていた、見守る様に。
「……憎いか?」
「……ええ、とっても」
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「で、これはどうなってんの?……なんか既視感あるんだけど」
ミアは泣き止んだビルと共に、兄妹の家へと戻った。2人の視界に映ったものは、アパタイトバードと何処か似ていた。
マリアの顔は乙女そのもので、ギルに抱き着いている姿は懐いていると言っても良かった。
「いや~、マリアちゃんギルくんの事気に入っちゃったみたい。でもその気持ち分かるよ~!カッコイイもんねー!」
「ギルさん!私と、結婚してください!」
「え~、マリアちゃんまだ結婚出来る歳じゃないよ。……後、俺今手を出したら犯罪だからねえ……」
困った様に笑うギルに顔が良いのは罪だと、2人のやり取りを見ていたが隣で呆然と立っていたビルが、駆け寄るとギルからマリアを引き剥がす。
「マリアに手出すな!女たらし!」
「え、俺傷付く」
「お兄ちゃんー!邪魔しないで!」
「マリア!お前、俺と結婚したいって言ってただろ!何でだよ!」
「だって……お兄ちゃんよりも、カッコイイんだもん……」
「……なッ!」
明らかにショックを受けているビルの姿に、不思議そうな顔をするマリアを見ていた大人3人は、ビルがシスコンなのだろうと笑う。
微笑ましい光景にミアは安心した。学校には彼が求めてるものが必ず、手に入るとミアは思っていた。1人で大切な人を守る覚悟と勇気に、ミアは必ず2人を守らなくてはと改めて感じた。
「動物にも子供にも好かれて大変ね、ギル」
「全く、罪な男だね~。俺ってば」
「……自分で言わないで」
呆れた様に溜息を吐き出すと、兄妹に今回の事を話す。
「ビルは大体の話は知ってる?」
「何でこの血が受け継がれてるのか、とマリアの血の事は聞いた。だ他の事もまだあったんだ、きっと。だけどそれを聞く前に、死んだから他は分からない」
「……そうね、なら簡単に説明するとね?今、マリアちゃんの血が狙われてる。探し回ってるのよ、貴方達の居場所を」
「……それは何となく気付いてた」
「でしょうね。場所を移動してたくらいだもの。……ここからが肝心なんだけど、貴方達を安全な場所まで連れて行きたいの」
ミアは真剣な表情でビルとマリアに話をする。全力で守るつもりだが、何があるか分からない。しっかりと話して対応出来る様にしなければならない、とミアは真剣に見つめ返すビルと、少し不安そうなマリアを見つめた。
「移動術を使いたいんだけど、マリアちゃんはまだ9歳で移動術を使うと体に負担が大きいわ。……だから、箒で飛んで目的地まで向かう事になるの。絶対に、最後まで送り届けるから、2人も怖がらずに信用してくれるかしら?」
ミアの言葉に2人は顔を見合わせ、力強く頷いた。
ビルは特にミアを信用している様子で、ギルもエミリアも安心した様に顔を合わせていた。
「よし、良い子ね!ビルは魔法使えるみたいだから、杖をきちんと持っておくのよ」
「ああ、分かった」
「マリアちゃんはギルくんの箒に乗ろっか!」
「え! 本当!? やったー!」
エミリアの言葉にマリアは飛び跳ね、喜ぶとビルがつまらなさそうな表情を浮かべるのでミアとギルは思わず笑ってしまう。
「笑うなよ……」
恥ずかしいのか頬を薄く赤く染め、顔を逸らす姿にミアとギルは再び笑いそうになるのを堪えた。
「移動は速い方が良いわね、2人とも必要な物このトランクの中に入れていいから準備してもらえるかしら?」
ミアの言葉に頷く2人は早速準備しようとした、その時だった。
「ギィエエエエエエェエエエエッ!」
アパタイトバードの激しい鳴き声が聞こえた。
「な、なに!?」
「アパタイトバードよ!ギル、エミリア!このまま中に居てその2人を守って!」
ミアは慌てて外へと飛び出すと、アパタイトバードが激しく暴れて怒っていた。どうしたのかと近寄ろうとした時だった、鼻の置くが痛くなる臭いに気付いた。
「……来たわね。何で場所バレたのかしら。……って、それどころじゃないわ!ギル!エミリア!移動する準備すぐにして!」
中に居る2人に声を掛けるとミアは杖を構えながら、アパタイトバードを撫で落ち着かせるように撫でた。
「お願い、アパタイトバード……。あの兄妹を守る為に協力してくれる?」
優しくアパタイトバードに問い掛けると、静かに広げていた翼を畳み大人しくなる。良い子だと再び撫でてやれば、突然大きな揺れを感じた。
「……っ!」
何が起きているのか確認しようと辺りを見回すと、真っ赤な炎と共に空間の歪みが見えた瞬間、魔法が解けた。
「やっと見つけた……稀血」
「アンタ達もしつこいわね!」
目が合った瞬間2人の魔法と魔術がぶつかり合う。
「げっ!何人いるの、これ~!」
「大体15人くらいじゃない?ミアちゃんどうする?」
「……守るに決まってるわ。隙を作ってなんとか逃げましょう。アパタイトバードのスピードなら付いて来れない筈」
ギルとエミリアはビルとマリアを庇うように出て来ては、杖を構えて辺りを見回す。
白いローブを羽織った集団に囲まれている。どうやら、魔術の炎からは守れなかった様にはしていなかったみたいだ。恐らく、魔法使いに狙われると思っていたのだろう。
3人はビルとマリアを守るように、円形に立つと空に浮かぶ魔術師と地面に立つ魔術師達からの攻撃を防いでいく。
瞬間移動の様に目の前に現れたと同時に攻撃が飛んでくるのを見ては、膝を勢い良く顔面に打ち付けるように入れてやると、杖を魔術が飛んでくる方向に向け攻撃を防いだ。
「え、ミアちゃんそれは男前過ぎない?」
「も~!流石ミア~!」
気絶したのか寝転がったまま動かない魔術師を魔法で浮かせると、空を飛ぶ魔術師に投げては衝突させた。
2人の気楽な様子に少し溜息を吐きつつ、15人だった魔術師が移動の魔術でも使っているのだろう、湧いて出てくる様子にどうするか考える。
「消し飛べ!」
「”ブロー・ヴェイ”!」
エミリアは魔術師に攻撃を当てるものの、人数の多さに忙しなく周りを見渡す。
「もー!多すぎ!」
「キリが無いね~。ミアちゃん急がないともっと増えるよ、コイツ等」
「分かってるわよ。……ギルとエミリアはビル達と一緒にアパタイトバードに乗って」
「ミアちゃんはどうする気だい?」
ギルはミアの横目を真剣に見つめて問い掛ける。何を考えているかは、薄々気付いているが。
そんな様子をマリアは不安そうに見つめ、ビルの腕を強く掴む。マリアを安心させるように笑みを浮かべたビルは頭を撫でてやる。
「私がアイツ等引き寄せるわ。隙を見て移動術使うから安心して」
「それなら俺も残るよ!1人じゃ危険だ……!」
「ギル。その子達を守らなきゃいけないのは分かってるわよね?……2人を1人で守るより、2人で守った方が良いでしょ?」
ミアの言い分は最もであり、ギルにも分かっていたが心配だった。
次々に増える魔術師を1人で相手にしていれば、隙が出来るかは分からない。いくら強いミアでもギルは心配だった。
「……ね?」
小さい子供に言い聞かせる様にミアはギルを見つめた。
「……分かったよ」
素直に引き下がるギルにミアは小さく笑った。
「私が道を開くわ!ギルとエミリアは防御しながらアパタイトバードに乗って!」
「分かった!ビルくん、マリアちゃん付いて来て!」
「俺が攻撃するからエミリアちゃん、防御頼んだよ!」
各自走り出すとミアは杖先から炎を出し、大きく杖を回せば魔術師の前を勢い良く通り抜けていく。その隙にエミリアは防御魔法で透明な壁を作り出す。
「”ポータ”!」
素早く走り抜けると翼を広げ、魔術師達を払うアパタイトバードの元へと駆け寄ればビルとマリアをアパタイトバードの背中へと乗せようとした。
「そう簡単には行かせない」
アパタイトバードの頭上に現れた魔術師の攻撃が飛んで来ると、エミリアはビルとマリアを庇うように前に立つ。
「”スターチ”!」
ギルはその姿を確認すると、相手していた魔術師を飛び越えて魔法を飛ばした。アパタイトバードの頭上に居た魔術師は石になり、そのまま落ちて来るのをアパタイトバードは避けた。
「ギルくんありがとう……助かったよ~」
「ミアちゃんが何とかしてくれてるうちに行こう」
ギルは背後で戦っているミアを横目で見ながらエミリアに告げると、マリアをアパタイトバードの背に乗せた。
腕の無い魔術師が不敵な笑みを浮かべていた事には誰も、気付かずにいた。
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