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――闇の魔法具編――
梅雨
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魔女の経営する喫茶店、スカーレットは今日も店を開けていた。しかし、外は生憎の雨模様だ。2週間の内、1週間以上は雨だった気がするとミアは窓から外を少し覗いた。
特に今日は雨量が酷く、激しく叩き付けるが如く降り続ける雨に暫く常連客も来ないのではないか、と考えながらミアは魔法薬を調合していた。
ミアの膝には丸まった看板猫、オスカーが居た。黒い毛並みを撫でながらミアは小さく笑った。
オスカーは雨の匂いを察したのか、ここ2週間店に居座り続けている。
雨が振り続ける前は、常連客で賑わっていたがやはり雨だと外に出たくなくなるのだろう。ミアは静かな店内に少し寂しさを覚えるものの、ギルの声に窓から目線を逸らす。
「雨凄いねえ。……お客さんも来ないねえ」
「梅雨だもの、仕方無いわ。それより、魔法薬はちゃんと覚えたかしら?」
「……あー、大体は」
「じゃあ、これは?」
ミアはテーブルの奥に置いていた魔法薬の瓶を手に取ると、ギルに渡す。
稀血の兄妹との件以降、ミアはギルに魔法薬をしっかりと教え込んでいた。
作り方もそうだが匂いや色で半別出来る様に、かなり厳しく教えたと自分でも思っていた。しかし、魔法薬に関しては正しい知識が無ければ作れもしない上に、大事な時に使う事が出来ないのだ。
「……んー、ゲンショウの匂いと竜の鱗、後はユニコーンの皮膚かな? って事は、これは透明薬だね」
「正解。……匂いで分かるようになってきたわね」
「そりゃ~ねえ? あんなに厳しく教えられたら、嫌でも覚えるよ~。……マジで鼻おかしくなるから」
ギルは思い出すだけで嫌になるが、ミアはまずは素材になるものから匂いを嗅がせ覚えさせながら、魔法薬によって必要な材料も同時に覚えさせたのだ。
ミアはそれくらいしても大丈夫だと分かっていた。ギルはやる気が無いだけで、覚えはとても速く正直教えがいはある。
学生時代キングだっただけはある、と思うもののあまり記憶が無いので何とも言えないのが本音だった。
「まあ、弟子になるって言うんならそれくらいは簡単に出来ないと、ダメよ~」
「……ねえ、ちょっと楽しんでない?」
「さあ?どうでしょう?」
ギルは溜息を零すものの、小さく笑った。何だかんだ文句を言いながらも、丁寧に教えるのだからミアの性格は優しいだけじゃなく、真面目なのだとギルは改めて思う。
そして、ミアはいつも振り回されているのだからこれくらいは良いだろう、と笑った。
「……ま、弟子で良かったか」
「ん? 何か言った?」
「いいや、なーんにも」
ギルが小さく呟いた声はミアに届く事は無かった。
「そう言えば、校長からはまだ何も知らせは来ないの?」
「来ないのよねえ。……光の魔法が掛かった書物が数冊もあるんだもの。いくら先生でも時間掛かるわ。……無害なものかも分からないんだし」
「ま、気長に待つしかない訳だね~」
ギルが暇そうに外を見つめている姿を横目で見ると、気長に待つ程ゆっくり出来る訳ではないのだ。死の使いは恐らく、不老不死の薬に必要な素材を全て手に入れいる筈だ。
そんな物が彼等の手にあるのならとても危険な状況なのは確かだ。終わりの見えない戦いは、何れ彼等に軍配が上がる。そうなった時の事を考えるだけで恐ろしい、とミアは小さく息を吐き出した。
「でも、変よね」
「何が?」
「だって、あの件から死の使いだけじゃなくて、闇の魔術師が関係する事件が何も起きてないのよ?」
薄暗い店内でミアは静かに話す。響くのは雨音だけだった。
ミアは新聞を毎朝読んでいるが、彼等の事件は何も聞かなくなったのだ。それが何を意味するのか、ミアには少し分からなかった。
不老不死の薬を作り使ったのなら、既に事件が沢山起こっているのではないかと考えていた。だが、その逆で全く何も無く、静か。まるで嵐の前の静けさの様で、ミアは嫌な予感がしていた。
「言われてみれば、そうだよねえ。……薬作るの失敗したとかだったら良いのにね」
「流石にそれは平和過ぎない?」
ミアは小さく笑うとオスカーを抱き上げ、薬草の入った棚を見ると何種類か量が少なくなっていた。どれも必要なものであり、店の外で育てているものでもあった。
「ねえ、ギル。外にある薬草取ってきてもらってもいいかしら?」
「ああ、勿論。量はどのくらいかい?」
「そうね、この瓶にいっぱい入れてもらえる?」
「分かったよ」
ギルは瓶を4個程受け取ると白のレインコートを羽織り、外へと出た。
ミアは見届けると再び座りテーブルを見る。今、調合しているのは治療薬もそうだが、独自にある魔法薬を作っていた。今後必要になるものだと、ミアは考えている。
「……やっぱりダメね。材料が違うのかしら? この本に書いてある匂いにならないわ」
光魔法と表紙に記載された分厚い本を見ながらミアは深い溜息を吐き出す。
この本はエリザベスから特別に譲り受けた本であり、闇魔法である死の呪文を1度だけ防げる魔法薬の作り方が乗っている。問題なのは、あまりにも古い本の為、材料の記載されている部分が消えてしまっているのだ。
「甘い匂いで、味は苦い……。材料が分からないとダメだわ。はあ、どうしよう」
ミアは今作り終えた魔法薬の匂いを嗅ぎ、小指に液体を付けると舐めた。記載されたように苦い味ではなく、とても甘い味に本来は何を入れているのかと頭を抱える様な思いだった。
「ねえ、オスカー何の材料がいるか知らない?」
膝の上から見つめてくるオスカーに問い掛けるものの、ミアは小さく笑った。
「何てね、分かるわけないわよね」
クスクスと可笑しそうに笑うとオスカーは、頭を撫でる手に擦り寄ってくる。可愛らしい姿に笑みを浮かべたまま、窓の外を眺めた。
その時だった、扉が開き鈴の音が響く。ギルが帰って来たのだろうと振り向くと、そこに居たのは顔に火傷の痕を残した男に左腕でしっかりと、首に回され捕らえられていたギルだった。
ギルの頭には杖が突き当てられており、当の本人はいつもの緩い笑みを浮かべている。
「オイッ!動くなッ!」
「……お客さん、ってわけじゃなさそうね」
「うるさいッ!動くな!」
「ミアちゃんごめんね~。捕まっちゃった~」
「弟子になるつもりないでしょ、アンタ」
「黙れッ!!」
「うわっ、苦し……」
緊迫した空気、ではなくいつも通りの2人に男は怒った表情になりながら少し動揺した。
ミアが慌てないのには理由があった。男の腕は震えており、あまりにも脅迫の慣れてなさから死の使いではなさそうだと考える。
男の顔は火傷の痕が額から斜めにあり、杖を持つ手にも火傷の痕が見えた。
「……一応その人うちの従業員だから離してもらえないかしら?」
「いいから黙って従え!……お前、魔女なんだろ?何でも依頼を聞いてくれるそうだな」
「ええ、そうだけど。……魔女ってやめてほしいんだけど」
「これを開けろ」
男はミアに向かって何かを投げると、それを両手で取る。手の中にあったのは黒に近い深い赤紫色の、丸み帯びた少し大きめのロケットペンダントだった。
そして、ミアは直ぐに気付いた。闇の魔法が掛かったペンダントだと言う事に。目の前の男を見つめながら厄介な物を持ってこられたのではないか、と小さく息を吐いた。
外は相変わらずの激しい雨で、店内に響き続けていた。
特に今日は雨量が酷く、激しく叩き付けるが如く降り続ける雨に暫く常連客も来ないのではないか、と考えながらミアは魔法薬を調合していた。
ミアの膝には丸まった看板猫、オスカーが居た。黒い毛並みを撫でながらミアは小さく笑った。
オスカーは雨の匂いを察したのか、ここ2週間店に居座り続けている。
雨が振り続ける前は、常連客で賑わっていたがやはり雨だと外に出たくなくなるのだろう。ミアは静かな店内に少し寂しさを覚えるものの、ギルの声に窓から目線を逸らす。
「雨凄いねえ。……お客さんも来ないねえ」
「梅雨だもの、仕方無いわ。それより、魔法薬はちゃんと覚えたかしら?」
「……あー、大体は」
「じゃあ、これは?」
ミアはテーブルの奥に置いていた魔法薬の瓶を手に取ると、ギルに渡す。
稀血の兄妹との件以降、ミアはギルに魔法薬をしっかりと教え込んでいた。
作り方もそうだが匂いや色で半別出来る様に、かなり厳しく教えたと自分でも思っていた。しかし、魔法薬に関しては正しい知識が無ければ作れもしない上に、大事な時に使う事が出来ないのだ。
「……んー、ゲンショウの匂いと竜の鱗、後はユニコーンの皮膚かな? って事は、これは透明薬だね」
「正解。……匂いで分かるようになってきたわね」
「そりゃ~ねえ? あんなに厳しく教えられたら、嫌でも覚えるよ~。……マジで鼻おかしくなるから」
ギルは思い出すだけで嫌になるが、ミアはまずは素材になるものから匂いを嗅がせ覚えさせながら、魔法薬によって必要な材料も同時に覚えさせたのだ。
ミアはそれくらいしても大丈夫だと分かっていた。ギルはやる気が無いだけで、覚えはとても速く正直教えがいはある。
学生時代キングだっただけはある、と思うもののあまり記憶が無いので何とも言えないのが本音だった。
「まあ、弟子になるって言うんならそれくらいは簡単に出来ないと、ダメよ~」
「……ねえ、ちょっと楽しんでない?」
「さあ?どうでしょう?」
ギルは溜息を零すものの、小さく笑った。何だかんだ文句を言いながらも、丁寧に教えるのだからミアの性格は優しいだけじゃなく、真面目なのだとギルは改めて思う。
そして、ミアはいつも振り回されているのだからこれくらいは良いだろう、と笑った。
「……ま、弟子で良かったか」
「ん? 何か言った?」
「いいや、なーんにも」
ギルが小さく呟いた声はミアに届く事は無かった。
「そう言えば、校長からはまだ何も知らせは来ないの?」
「来ないのよねえ。……光の魔法が掛かった書物が数冊もあるんだもの。いくら先生でも時間掛かるわ。……無害なものかも分からないんだし」
「ま、気長に待つしかない訳だね~」
ギルが暇そうに外を見つめている姿を横目で見ると、気長に待つ程ゆっくり出来る訳ではないのだ。死の使いは恐らく、不老不死の薬に必要な素材を全て手に入れいる筈だ。
そんな物が彼等の手にあるのならとても危険な状況なのは確かだ。終わりの見えない戦いは、何れ彼等に軍配が上がる。そうなった時の事を考えるだけで恐ろしい、とミアは小さく息を吐き出した。
「でも、変よね」
「何が?」
「だって、あの件から死の使いだけじゃなくて、闇の魔術師が関係する事件が何も起きてないのよ?」
薄暗い店内でミアは静かに話す。響くのは雨音だけだった。
ミアは新聞を毎朝読んでいるが、彼等の事件は何も聞かなくなったのだ。それが何を意味するのか、ミアには少し分からなかった。
不老不死の薬を作り使ったのなら、既に事件が沢山起こっているのではないかと考えていた。だが、その逆で全く何も無く、静か。まるで嵐の前の静けさの様で、ミアは嫌な予感がしていた。
「言われてみれば、そうだよねえ。……薬作るの失敗したとかだったら良いのにね」
「流石にそれは平和過ぎない?」
ミアは小さく笑うとオスカーを抱き上げ、薬草の入った棚を見ると何種類か量が少なくなっていた。どれも必要なものであり、店の外で育てているものでもあった。
「ねえ、ギル。外にある薬草取ってきてもらってもいいかしら?」
「ああ、勿論。量はどのくらいかい?」
「そうね、この瓶にいっぱい入れてもらえる?」
「分かったよ」
ギルは瓶を4個程受け取ると白のレインコートを羽織り、外へと出た。
ミアは見届けると再び座りテーブルを見る。今、調合しているのは治療薬もそうだが、独自にある魔法薬を作っていた。今後必要になるものだと、ミアは考えている。
「……やっぱりダメね。材料が違うのかしら? この本に書いてある匂いにならないわ」
光魔法と表紙に記載された分厚い本を見ながらミアは深い溜息を吐き出す。
この本はエリザベスから特別に譲り受けた本であり、闇魔法である死の呪文を1度だけ防げる魔法薬の作り方が乗っている。問題なのは、あまりにも古い本の為、材料の記載されている部分が消えてしまっているのだ。
「甘い匂いで、味は苦い……。材料が分からないとダメだわ。はあ、どうしよう」
ミアは今作り終えた魔法薬の匂いを嗅ぎ、小指に液体を付けると舐めた。記載されたように苦い味ではなく、とても甘い味に本来は何を入れているのかと頭を抱える様な思いだった。
「ねえ、オスカー何の材料がいるか知らない?」
膝の上から見つめてくるオスカーに問い掛けるものの、ミアは小さく笑った。
「何てね、分かるわけないわよね」
クスクスと可笑しそうに笑うとオスカーは、頭を撫でる手に擦り寄ってくる。可愛らしい姿に笑みを浮かべたまま、窓の外を眺めた。
その時だった、扉が開き鈴の音が響く。ギルが帰って来たのだろうと振り向くと、そこに居たのは顔に火傷の痕を残した男に左腕でしっかりと、首に回され捕らえられていたギルだった。
ギルの頭には杖が突き当てられており、当の本人はいつもの緩い笑みを浮かべている。
「オイッ!動くなッ!」
「……お客さん、ってわけじゃなさそうね」
「うるさいッ!動くな!」
「ミアちゃんごめんね~。捕まっちゃった~」
「弟子になるつもりないでしょ、アンタ」
「黙れッ!!」
「うわっ、苦し……」
緊迫した空気、ではなくいつも通りの2人に男は怒った表情になりながら少し動揺した。
ミアが慌てないのには理由があった。男の腕は震えており、あまりにも脅迫の慣れてなさから死の使いではなさそうだと考える。
男の顔は火傷の痕が額から斜めにあり、杖を持つ手にも火傷の痕が見えた。
「……一応その人うちの従業員だから離してもらえないかしら?」
「いいから黙って従え!……お前、魔女なんだろ?何でも依頼を聞いてくれるそうだな」
「ええ、そうだけど。……魔女ってやめてほしいんだけど」
「これを開けろ」
男はミアに向かって何かを投げると、それを両手で取る。手の中にあったのは黒に近い深い赤紫色の、丸み帯びた少し大きめのロケットペンダントだった。
そして、ミアは直ぐに気付いた。闇の魔法が掛かったペンダントだと言う事に。目の前の男を見つめながら厄介な物を持ってこられたのではないか、と小さく息を吐いた。
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