魔女の喫茶店

たからだから

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――interlude――

宿題は山積み

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 暑さからネクタイを緩ませては、図書室で静かに宿題をするのはビルだ。友人と共に宿題を始めたのはいいものの、集中力が途切れてしまい羽根ペンを投げる様に机に置いた。
 図書室内は魔法のおかげがとても涼しく快適であり、正直寝そうだ。
「おいビル。もう止めたのかよ」
「……だって魔法薬分かんねえ」
「まあ、確かに難しいよなあ。それに、ビルの場合は転入してきたから学ぶ事多いしな」
 黒髪で色黒の友人は転入して来た初日に話し掛けてくれ、仲良くなった。とても明るくムードメーカーの様な存在で、いつも笑わせてくれる。
 ミアが言っていた通り、毎日が楽しくも勉強に悩まされている。実技は得意なのだが。
「そう言えばあの、魔女と知り合いなんだろ?」
「ああ、ミアの事? 知り合いって言うか、まあ、恩人だな」
「どんな人なんだー?」
 友人、アラン・マーに問い掛けられるとビルは少し照れ臭そうに話す。本人に聞かれるのではないから、素直に本音で話しても良いだろう、とビルは考え口を開く。

「……めちゃくちゃ綺麗で、カッコイイんだよ。強いし、俺もああなりてえって……。んだよ、その目は!」
 ニヤリ、と笑うアランに思わず大声を出してしまえば宙に浮いた本が頭に落下してくる。
 奥に座る図書室担当の教師によるものだろうと思えば、小さく息を吐き出した。

 オキザリス魔法学校の図書室は棚にある本当は別に、宙に無数の本が浮いている。
 タイトルが消えてしまった物、タイトルが無いものは迷子の本として天井付近で浮かんでいるのだ。
 ビルは初めて見た時とても驚いたのを今でも覚えている。
「へえ、シスコンビルくんも他の女に興味持つんだなあ。……てか、俺魔女めっちゃ怖い奴かと思ってたわ」
「……全然怖くねえよ」
 小声で話すアランは興味津々、と言った顔でありビルは少し恥ずかしくなる。異性としての好きは正直分からないが、目指すものはミアである。妹を守る為にも、ミアの手助けする為にも。
「俺にも今度会わせてくれよ!」
「……何でだよ」
「だって超優秀な魔女だろ? 俺も教わりてえよ」
「気が向いたらな」
 小さく笑うビルにアランは拗ねた表情を見せると、更にビルは笑った。
 そんなビルにアランもつられて笑うと、ビルは再び羽根ペンを手に取り、羊皮紙に文字を書いていく。

「あ、お兄ちゃんが真面目に勉強してる」
「……マリア、何しに来たんだよ」
「私もお兄ちゃんと一緒で、宿題しに来たの。後1つで終わるんだよー!」
「流石マリアだな」
「……ほんとビルってマリアちゃんに甘いよな~」
 アランの呆れた表情にビルは少しだけ睨むと、マリアの背後に居る人物を見ては思い切り睨み付けた。
「……マリア、何でソイツが居るんだよ」
「え? 一緒に勉強しよって言うから、一緒に来たんだよ?」
 何故怒っているのか分からず、不思議そうに首を傾げるマリアの後ろでは気まずそうに目を逸らす男の子が居た。
 転入早々マリアに一目惚れだと告白したマリアの同級生であり、断られても諦めない人物でビルは近寄るなと忠告していた。
 マリア本人は良いお友達として接している様だがあわよくば、を狙っているのだろう。一瞬にして不機嫌になったビルを見たアランは可笑しそうに笑っていた。

「じゃあね! お兄ちゃんも勉強頑張ってねー!」
 大きく手を振りながら奥の席に座るマリアを見ていれば再び頭上から本が1冊落下してきた。
「……って! 何で俺なんだよ……」
「アイツ凄いよなあ。フラれたってのに、お友達でいれるんだから」
「……叶わない恋とでも思ってるんだろ」
「へえ、相手知ってんの?」
 アランの問い掛けにビルはプラチナブロンドの色男を思い出しては、頬杖を着く。
 ミアの恋人ではなく、弟子だと言う男は明らかにミアに好意があるとビルですら分かっていた。色男でも落とせない女が居るのか、と。
 あまり恋愛は詳しい訳ではないが、それだけはビルに分かっていた。
「……ムカつく程イケメン」
「ビルも充分カッコイイぜ」
「……おう」
 嬉しそうな顔をせず、涼しい顔で流す様に頷いたビルにアランは苦笑いを浮かべた。カッコイイ、イケメンだと同級生達は口を揃えて言うものの本人は自覚が無いのか、興味が無いのか特に反応を示さない。
「まあ、マリアちゃんも何れは男作るんだしビルも魔女を頑張って射止めろよー」
「……そんなんじゃねえって」

 ビルは再び羽根ペンを走らせると、手を止めては悩む。やはり、魔法薬については苦手だ。材料を覚えるのもそうだが、匂い等分かる訳が無いと深い溜息を吐いた。
 大きな窓から見える空はとても綺麗で、ミアに手紙を送り教わろうかと考える。
 この前送った手紙の返事も送らなければ、と小さく笑っては別の宿題をする事に決めた。
「なあ、夜になったら学校探索行かね?」
「……賛成」
「おし! 決まりだな! ……バレねえようにしないとな」
「悪知恵はアランが1番得意なものだろ」
「へへ、俺はそう言うの大好きなんだよ」
 得意気に笑うアランにビルは笑うと、夏休みが終わる前にミアに会おうと手紙の内容を考えていた。


 魔女裁判の新聞が出たのはこの数日後だった
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