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「様子を見られると仰るが、見てどうなされる」
甘粕景持の言葉に、それは・・・・・と実乃は詰まる。
景虎もその通りだと思う。
こちらが動かなければ、武田信玄はいくらでも待つだろう。
待って事態が悪化するのは、こちらなのだ。
グッと顔を伏せる実乃を、冷めた目で景持は見つめる。
北条高広や斎藤朝信ら武将連中は、奉行であり輝虎の側近だった実乃を嫌っていた。
景持も同じで実乃を嫌っている。
だが景持は実乃より、もっと嫌いな相手がいる。
輝虎は末席に座る河田長親に目をやる。
景持が一番嫌っている相手。それは勿論、輝虎が京から連れて来たきた、美童の寵臣である。
その長親が、暗い表情で顔を伏せていた。
一年前に輝虎は、浪人隊を作れと長親に命じた。
直ぐに長親は上方に向かい、親類縁者を中心に百人ほどの浪人を連れてきた。
城の離れたところに長屋を建てて彼らを住まわせ、更に鉄砲を買い揃え、調練もしている。
調練を見るに浪人たちはなかなか使えそうだし、長親もそれなりに優秀だ。
勿論、実際の戦さになってみないと分からないが、それなりに期待はできそうだ。
しかしまだ兵の数も鉄砲も、揃っているとは言い難い。
輝虎は長親に五百人集めろと命じたが、一千人くらい集めれそうだ。
だがそれも数年かかる。
長親にすれば後二年、いや一年があれば、自分たちだけで繁長を討ち取ってみせますと言えただろうに、その猶予がない。
甘粕景持の言葉に、それは・・・・・と実乃は詰まる。
景虎もその通りだと思う。
こちらが動かなければ、武田信玄はいくらでも待つだろう。
待って事態が悪化するのは、こちらなのだ。
グッと顔を伏せる実乃を、冷めた目で景持は見つめる。
北条高広や斎藤朝信ら武将連中は、奉行であり輝虎の側近だった実乃を嫌っていた。
景持も同じで実乃を嫌っている。
だが景持は実乃より、もっと嫌いな相手がいる。
輝虎は末席に座る河田長親に目をやる。
景持が一番嫌っている相手。それは勿論、輝虎が京から連れて来たきた、美童の寵臣である。
その長親が、暗い表情で顔を伏せていた。
一年前に輝虎は、浪人隊を作れと長親に命じた。
直ぐに長親は上方に向かい、親類縁者を中心に百人ほどの浪人を連れてきた。
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しかしまだ兵の数も鉄砲も、揃っているとは言い難い。
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だがそれも数年かかる。
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