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東京の風
それは突然に
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それは突然だった。
僕は、東京都内に住む高校生だ。
名前はまだ、無い。
いや、無い訳じゃなく名乗りたくない。それが正解。
僕が住む街に、一陣の風が吹いたのはその時だった。
僕は登校途中で、目の前の砂塵を避けるように、腕で顔を隠していたんだ。
風が止んで、腕の間からゆっくり目を開けて見ると、黒ずくめの大男が立ってたんだ。
長身だが筋肉質ではなく、スラッとしていた。
目が合うと、男は首を垂れた。
グーにした右手を地面に付けてひざまづいた。最敬礼のポーズ。
僕だってそれくらい解る。
それから男の口から発せられた言葉が衝撃的だった。
「王様、迎えに参りました」
何がなんだか分からなかった。
僕が王様⁉︎
何のコト?
この人は?
なんで僕が?
僕は咄嗟にこう考えた。
どっきり?
そんな僕を尻目に、男はこう続けた。
「突然で申し訳ございません。しかし、時間がありません。行動して頂かないと東京が滅亡します」
なんだ⁉︎
左話が突飛過ぎないかい?
どっきりにしてもスケールが大き過ぎる。
僕は今1番知りたい事を訊いた。
「何故、僕なんだい?何故、僕の所へ来たの?」
男は苦悶の表情を浮かべる。
男は答える。
「何故と申されてもですね、選ばれた……選んだ方に訊いてみないとそれは判りかねますね」
選ばれた?
僕は選ばれたという事なの?
何をすれば?
東京を救える?
言葉が出ていた。
「何をすればいい?」
男は説明する。
「地震のメカニズムはご存知ですか?地底にあるプレートが動く事で地震は起きます。東海地方で大規模な地震が近々あると噂されてますね。それで我が研究チームが観測したところ、極地的な直下型地震が起こるであろう結果が出ました」
恐る恐る訊いてみた。
「まさか、その場所は?」
「えぇ、東京です」
なんて事だ。
血の気が引いた。
研究チーム?この人達はなんだ?
ニュースにもなってないこんな情報を突然言われても。
「その地震と僕が何の関係があるのさ?」
男は真顔である。
「東京の王である、貴方様が東京を救うのです。いや、地震を止めるのです」
なんとまぁ壮大な話だこと。
一介の高校生である僕に何が出来るってんだい?
頭が混乱してきた。
「突然選ばれた僕に何をどうしろと言うんだい?」
僕の問いに。
「安心してください。貴方様は独りではございません。貴方様には
3人の執事と13人の近衛兵団、それに約3万人の一般兵がついております」
真剣に向き合い、真っ直ぐな眼で見つめられると本気なのが伝わってくる。
そんなに護衛の者がいると思うとまんざらでもない。
気がのってきた。
「余は何をすれば良い?」
「はっ!申し遅れました。私は第1執事のダムドと申します。これからお見知りおきを。ダムドとお呼びください」
見た目は日本人なのに、なんとも西洋な名前なんだ、ヘンなところを感心していると。
「先程、時間がありませんと申しました。王の帰還を宣言したのです。それに、敵が呼応しました。
こちらに進軍してきています。逃げましょう」
潔し!
感心してられない。なんとも急な話で、敵まで存在するとは。
僕達は逃げる事にした。
逃げる道すがら大変な事を思いだした。
登校途中だった!
その事をダムドに伝えると、あっさり。
「その件なら、もう学校に連絡してあります」
と、こんな感じだ。
一体全体、何て説明すればすんなり話が通るのだろう。その事に関しては。
「まぁ、王様が戻ってきたのでその辺は大丈夫です」
と、なんとも言えない答え。
僕が王様たって、政府もこの東京の都知事にだって、連絡というか面識すらない。一大ニュースって事もないのだから、実感はまるでない。
そんな事を思っていると、先回りされましたね、と抑揚なく言うので呆気にとられた。
しかし、前方をよく見ると明らかに異質な事が分かった。
敵?そんな存在が実際にいる事が理解できた。
刀を持っている人が何人かいるのだった。
すれ違う歩行者や並走している人も、それについて騒ぎたてる事もない。見えてない?
こんな街中で白昼堂々と?
そんな時。
「ここは一般兵に動いてもらいましょう」とダムド。
黒ずくめの襟を指で摘むと口元に寄せる。小声で何かを呟いた。
すると、何人かの者たちが動いた。刀を持った者に近づいたかと思うと、その腕を抑えつけて奪おうとした。
それが数ヵ所で起こった。
と、1人の女が叫び声を上げた。
それまで無関心だった者たちが、一斉に騒ぎだし辺りが騒然となった。
「この隙に行きましょう」
その場を後にした。
あの状態は何だったのか?
休憩のため、入った公園のベンチにて。
「貴方様を中心に、一種のシールドが出来ています。半径5メートルほどになりますか。その外にいる場合だと、周りの者達はそういった存在に気がつきません。こちらの者たちと接触した為、周りの者たちにも気がつかれてしまいましたね。しかし、あの敵達も行動には覚えがないはずです。彼らも操られていたのです。記憶には残らないので、何故刀を持っていたのか追求されるでしょうね。シールドですが、この先もう少し大きくなると思います。それも貴方の成長によります。頑張ってください」
ダムドの語り口調は、耳障りが良かった。理解もしやすかった。
ただ、抑揚がない(執事の立場上抑えているのだろうが)のと、他人事の様に聞こえるのがちょっと嫌だった。
あと、言葉の裏にある昏い感情も気になった。
「地震の事なんだけど、止める事なんて可能なのかい?」
僕の問いに。
「霊獣はご存知ですか?大きな存在ですが、それが大陸プレートの根幹に居座ってまして、それがかなり影響してます」
「それって!◯面の者じゃない⁉︎」
「違います。漫画の読み過ぎですよ」
たしなめられてしまった。
研究チームが送って来た画像があります。
何処に隠していたのか、脇腹からノート型パソコンを取り出した。
起動音と共にパソコンが鼓動した気がした。
画面には、地層のようなモノが2つ重なり合う画像が出ていた。
2つが合わさりあった所に、小さな点があった。
「これは?」
僕の問いにダムドが答える。
「それが、霊獣です。その重なり合った所で地震のパワーを蓄えているわけです。それが外れた時、戻る力により地震が起きる。が、その霊獣の存在がその時期を早めている、とみています。そして、やっていただきたい事は」
ダムドが見つめてくるので、思わず見返してしまう。
「霊獣の除去です」
やっぱり。
「僕はどうすればいい?」
ダムドは答える。
「実は、もう照準は合っているのですよ」
よく見ると小さな十字マークが霊獣の所に合っている。
「どういう事?君たちは一体何者なんだい?」
「私共は、東京の王をサポートする者です。それ以上でもそれ以下でもありません」
ダムドは冷静だ。そう感じる。
「霊獣だけを破壊するレーザーみたいなモノですね。それがもう発射出来るようにしてあります。しかしながら、それを発射する権限は我々には無いのです。それを出来るのは王である、貴方様だけなのです。その為に私は此処に来たのです」
そういう事か。
率直な疑問をぶつけてみた。
「それは選ばれた僕が、僕しか出来ない事は解ったよ。しかし、地震の事は今に始まった事じゃないでしょ。それに対応は出来た筈。それが今、何故このタイミングで行われようとしているのかが解らないんだ」
この時初めて、ダムドの表情が曇った気がした。
「とても申し上げにくいのですが、前任者は失敗したのです」
ダムドは続ける。
「前の王はやり遂げられなかったのです」
「何故?」
率直に疑問が出た。
沈黙の後。
「暗殺されました。先程の様な敵にです」
何てことだ。
血の気が引いた。先程見たはずなのに、どこか他人事の様な気がしていた。
王ななるという事は、そういう危険が伴うという事なのだ。
即ち、僕も暗殺もしくは襲われる可能性があるという事だ。
ゾッとした。
夏の朝。
「こんな事を伝えていいのか」
ダムドの語りはこうだ。
「前任の王は心配なさってました。東京の地震を止めるその際、
その余波が何処か違う場所に起きるのではないか、と言うのです」
なるほど。
そういう考え方も出来る。そこまで心配できるなら、かなり人間ができた人だったろう。
そこでまた、疑問が湧き上がる。
「本当のところはどうなんだい?
地震を止めたら、他の地域に影響が出たりするの?」
ダムドは押し黙る。
そして。
「それは私共にも判りかねます。
どのような結果になるかは予測不能です」
「どんなシステムか知らないけど、君たちの科学力は凄い。それが予測出来ない事なんてあるのかい?多分、無責任なんじゃない?
他人の事は関係ないっていうか、無関心。踏み潰しても構わない感じが嫌だ」
その答えがダムドの口から語られる事は無かった。
ダムドの首から血が噴き出していた。
僕は、東京都内に住む高校生だ。
名前はまだ、無い。
いや、無い訳じゃなく名乗りたくない。それが正解。
僕が住む街に、一陣の風が吹いたのはその時だった。
僕は登校途中で、目の前の砂塵を避けるように、腕で顔を隠していたんだ。
風が止んで、腕の間からゆっくり目を開けて見ると、黒ずくめの大男が立ってたんだ。
長身だが筋肉質ではなく、スラッとしていた。
目が合うと、男は首を垂れた。
グーにした右手を地面に付けてひざまづいた。最敬礼のポーズ。
僕だってそれくらい解る。
それから男の口から発せられた言葉が衝撃的だった。
「王様、迎えに参りました」
何がなんだか分からなかった。
僕が王様⁉︎
何のコト?
この人は?
なんで僕が?
僕は咄嗟にこう考えた。
どっきり?
そんな僕を尻目に、男はこう続けた。
「突然で申し訳ございません。しかし、時間がありません。行動して頂かないと東京が滅亡します」
なんだ⁉︎
左話が突飛過ぎないかい?
どっきりにしてもスケールが大き過ぎる。
僕は今1番知りたい事を訊いた。
「何故、僕なんだい?何故、僕の所へ来たの?」
男は苦悶の表情を浮かべる。
男は答える。
「何故と申されてもですね、選ばれた……選んだ方に訊いてみないとそれは判りかねますね」
選ばれた?
僕は選ばれたという事なの?
何をすれば?
東京を救える?
言葉が出ていた。
「何をすればいい?」
男は説明する。
「地震のメカニズムはご存知ですか?地底にあるプレートが動く事で地震は起きます。東海地方で大規模な地震が近々あると噂されてますね。それで我が研究チームが観測したところ、極地的な直下型地震が起こるであろう結果が出ました」
恐る恐る訊いてみた。
「まさか、その場所は?」
「えぇ、東京です」
なんて事だ。
血の気が引いた。
研究チーム?この人達はなんだ?
ニュースにもなってないこんな情報を突然言われても。
「その地震と僕が何の関係があるのさ?」
男は真顔である。
「東京の王である、貴方様が東京を救うのです。いや、地震を止めるのです」
なんとまぁ壮大な話だこと。
一介の高校生である僕に何が出来るってんだい?
頭が混乱してきた。
「突然選ばれた僕に何をどうしろと言うんだい?」
僕の問いに。
「安心してください。貴方様は独りではございません。貴方様には
3人の執事と13人の近衛兵団、それに約3万人の一般兵がついております」
真剣に向き合い、真っ直ぐな眼で見つめられると本気なのが伝わってくる。
そんなに護衛の者がいると思うとまんざらでもない。
気がのってきた。
「余は何をすれば良い?」
「はっ!申し遅れました。私は第1執事のダムドと申します。これからお見知りおきを。ダムドとお呼びください」
見た目は日本人なのに、なんとも西洋な名前なんだ、ヘンなところを感心していると。
「先程、時間がありませんと申しました。王の帰還を宣言したのです。それに、敵が呼応しました。
こちらに進軍してきています。逃げましょう」
潔し!
感心してられない。なんとも急な話で、敵まで存在するとは。
僕達は逃げる事にした。
逃げる道すがら大変な事を思いだした。
登校途中だった!
その事をダムドに伝えると、あっさり。
「その件なら、もう学校に連絡してあります」
と、こんな感じだ。
一体全体、何て説明すればすんなり話が通るのだろう。その事に関しては。
「まぁ、王様が戻ってきたのでその辺は大丈夫です」
と、なんとも言えない答え。
僕が王様たって、政府もこの東京の都知事にだって、連絡というか面識すらない。一大ニュースって事もないのだから、実感はまるでない。
そんな事を思っていると、先回りされましたね、と抑揚なく言うので呆気にとられた。
しかし、前方をよく見ると明らかに異質な事が分かった。
敵?そんな存在が実際にいる事が理解できた。
刀を持っている人が何人かいるのだった。
すれ違う歩行者や並走している人も、それについて騒ぎたてる事もない。見えてない?
こんな街中で白昼堂々と?
そんな時。
「ここは一般兵に動いてもらいましょう」とダムド。
黒ずくめの襟を指で摘むと口元に寄せる。小声で何かを呟いた。
すると、何人かの者たちが動いた。刀を持った者に近づいたかと思うと、その腕を抑えつけて奪おうとした。
それが数ヵ所で起こった。
と、1人の女が叫び声を上げた。
それまで無関心だった者たちが、一斉に騒ぎだし辺りが騒然となった。
「この隙に行きましょう」
その場を後にした。
あの状態は何だったのか?
休憩のため、入った公園のベンチにて。
「貴方様を中心に、一種のシールドが出来ています。半径5メートルほどになりますか。その外にいる場合だと、周りの者達はそういった存在に気がつきません。こちらの者たちと接触した為、周りの者たちにも気がつかれてしまいましたね。しかし、あの敵達も行動には覚えがないはずです。彼らも操られていたのです。記憶には残らないので、何故刀を持っていたのか追求されるでしょうね。シールドですが、この先もう少し大きくなると思います。それも貴方の成長によります。頑張ってください」
ダムドの語り口調は、耳障りが良かった。理解もしやすかった。
ただ、抑揚がない(執事の立場上抑えているのだろうが)のと、他人事の様に聞こえるのがちょっと嫌だった。
あと、言葉の裏にある昏い感情も気になった。
「地震の事なんだけど、止める事なんて可能なのかい?」
僕の問いに。
「霊獣はご存知ですか?大きな存在ですが、それが大陸プレートの根幹に居座ってまして、それがかなり影響してます」
「それって!◯面の者じゃない⁉︎」
「違います。漫画の読み過ぎですよ」
たしなめられてしまった。
研究チームが送って来た画像があります。
何処に隠していたのか、脇腹からノート型パソコンを取り出した。
起動音と共にパソコンが鼓動した気がした。
画面には、地層のようなモノが2つ重なり合う画像が出ていた。
2つが合わさりあった所に、小さな点があった。
「これは?」
僕の問いにダムドが答える。
「それが、霊獣です。その重なり合った所で地震のパワーを蓄えているわけです。それが外れた時、戻る力により地震が起きる。が、その霊獣の存在がその時期を早めている、とみています。そして、やっていただきたい事は」
ダムドが見つめてくるので、思わず見返してしまう。
「霊獣の除去です」
やっぱり。
「僕はどうすればいい?」
ダムドは答える。
「実は、もう照準は合っているのですよ」
よく見ると小さな十字マークが霊獣の所に合っている。
「どういう事?君たちは一体何者なんだい?」
「私共は、東京の王をサポートする者です。それ以上でもそれ以下でもありません」
ダムドは冷静だ。そう感じる。
「霊獣だけを破壊するレーザーみたいなモノですね。それがもう発射出来るようにしてあります。しかしながら、それを発射する権限は我々には無いのです。それを出来るのは王である、貴方様だけなのです。その為に私は此処に来たのです」
そういう事か。
率直な疑問をぶつけてみた。
「それは選ばれた僕が、僕しか出来ない事は解ったよ。しかし、地震の事は今に始まった事じゃないでしょ。それに対応は出来た筈。それが今、何故このタイミングで行われようとしているのかが解らないんだ」
この時初めて、ダムドの表情が曇った気がした。
「とても申し上げにくいのですが、前任者は失敗したのです」
ダムドは続ける。
「前の王はやり遂げられなかったのです」
「何故?」
率直に疑問が出た。
沈黙の後。
「暗殺されました。先程の様な敵にです」
何てことだ。
血の気が引いた。先程見たはずなのに、どこか他人事の様な気がしていた。
王ななるという事は、そういう危険が伴うという事なのだ。
即ち、僕も暗殺もしくは襲われる可能性があるという事だ。
ゾッとした。
夏の朝。
「こんな事を伝えていいのか」
ダムドの語りはこうだ。
「前任の王は心配なさってました。東京の地震を止めるその際、
その余波が何処か違う場所に起きるのではないか、と言うのです」
なるほど。
そういう考え方も出来る。そこまで心配できるなら、かなり人間ができた人だったろう。
そこでまた、疑問が湧き上がる。
「本当のところはどうなんだい?
地震を止めたら、他の地域に影響が出たりするの?」
ダムドは押し黙る。
そして。
「それは私共にも判りかねます。
どのような結果になるかは予測不能です」
「どんなシステムか知らないけど、君たちの科学力は凄い。それが予測出来ない事なんてあるのかい?多分、無責任なんじゃない?
他人の事は関係ないっていうか、無関心。踏み潰しても構わない感じが嫌だ」
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