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13.美麗!友人トーク!
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第二審査の順番を待ち、更紗たちは控え室で待機していた。
音楽を聴いて心を落ち着けていた更紗はそろそろ準備をしようと目を開ける。外したイヤホンをスマホとまとめてカバンに押し込んだ。そのまま更紗は、後ろで椅子に座っている二人を振り返る。
「二人とも今日は一緒に出てくれてありがとう」
「美羽を差し置いて更紗の友達として紹介される人なんているわけないし」
「元はと言えば私が原因だからねー」
「ていうかお礼を言うのはまだ早いって。勝負はこれからなんだよ」
美羽は気合を入れて制服を整える。いつも愛らしいが、今日はそれ以上だ。
緊張した様子もなく飄々とした態度を崩さない瑠奈も、いつも通り人間離れした美しさを孕んでいる。
制服姿の二人の間に、第一審査で着た道着姿の更紗が加わる。
「更紗は着替えないの?」
「うん。何着てても良いらしいから。第三審査でどうせ水着に着替えるし」
美羽は道着姿の更紗に首を傾げたが、更紗は事前に第二審査での服装を確認していた。
「どうせなら一足早く水着で出ちゃえば?その方がインパクトあると思うよー」
あはは、と笑いながらそう言って、瑠奈は立ち上がった。瑠奈は更紗の前に右手を差し出す。
「今日は私のせいで……ううん、違うね。私のために戦ってくれてありがとう。私友達いないからさ、こんな風に誰かが自分のために立ち上がってくれるなんて思ってなかったんだ」
「天空さん……」
瑠奈が差し出す右手を握り返そうとした時、部屋のドアがトトトンと軽やかに鳴らされた。
「袖に待機お願いします!」
「は、はい!」
スタッフに呼ばれて慌てて動き出す。三人は揃って控え室を後にした。
二番目の出場者の友人トークが終わり、佳世が取り巻きの二人を連れて舞台に出てきた。
「黒川先輩慕われてるね」
「先輩すごいバイタリティだからね。色んな場面で生徒たちを助けてるんだよ」
友人トークで佳世とともに出てきたのは透空学園の三年生だ。彼女たちが話す佳世の印象は、更紗が噂で聞いていたものに近い。
親衛隊の存在で一番迷惑を被ることになった瑠奈も、佳世が生徒たちから慕われていることは知っていた。
けれど、更紗も引く気はない。いくら生徒のためでも締め付けがきつすぎる。それに今回の一件で佳世がしたことは許せなかった。
(なんの罪もない道鋏くんに怪我をさせてしまうところだった)
更紗は、更紗自身を狙ったところまでは許せた。でも無関係な人が巻き込まれたところは許せない。
佳世たちが話す姿を袖から見ていた更紗の肩がとんとんと叩かれる。
「なんでしょうか?」
振り向くとそこには先ほど呼びに来たスタッフがいた。
「すみません如月さん、それで出るのはちょっと……」
「え?」
スタッフの視線は更紗の着ている道着に向いていた。
「第二審査に衣装の指定はないって聞いたんですが?」
「はい。第一審査でドレスとか着た人はそっちの方が見栄えするんで、それでいいんですが……」
言わんとすることを理解した。派手な衣装ならば続けてそれを着ていて問題ないが、道着の場合には着替えて欲しいと言うわけだ。
「ど、どうしよう。私、他に衣装持って来てないんですけど」
「第一審査で着ていた制服で大丈夫ですよ。ほら、黒川さんも制服で出てますし」
スタッフが示した先では制服姿の佳世が第二審査を受けているところだ。
「そうか!制服!」
控え室に置いてある制服を思い浮かべて更紗は急いで近くにいる美羽と瑠奈に声をかけた。
「私、着替えてくるね」
「今から!?」
「うん!私の順番最後だから間に合うと思うし」
ひらひらと手を振って更紗は控え室へと走って向かう。
数分で控え室に着いた。電気がつけっぱなしになっていて申し訳なかったが、こうして戻ってきたので良しとしよう。
机の上に畳まれている制服を手に取り着替え始めた。
「こんな綺麗に畳んだ覚えないんだけど……美羽か天空さんがやってくれたのかな?」
せっかく整えてもらったのに心苦しいが、更紗も急いでいたので手早く着替えた。
紺のセーラーを整え、姿見の前で一回転する。
「うん。よし、これで大丈夫だよね」
汚れや服が折れていないかを確認して、更紗は再び舞台袖へと向かう。と、数歩進んで引き返す。
「電気電気っと」
きちんと電気を消して、今度こそ舞台袖へ行くのだった。
「更紗更紗!もうすぐ順番回ってくるよ!」
美羽によると十番目の審査が始まったばかりとのことだ。
更紗と美羽、瑠奈の三人は互いの服におかしいところがないかをチェックし合い、舞台に出る準備を整える。三人ともが十分すぎるほど制服を着こなしていた。
それから程なくして、十番組のトークが終わりを迎えた。
「では最後の十一番の方々、お願いします!」
司会の声が会場全体に響き渡り、更紗は美羽たちと頷き合って舞台に歩み出る。
その途端、会場が歓声に湧いた。
美を競うコンテストの主役たちの中においても異質の存在感を放つ美女・更紗。その隣に並ぶ二人の友人は、更紗とは違った造形でありながら、どちらも更紗と遜色ない美形だった。
ふわふわとした雰囲気を持ち、笑顔を浮かべれば背後に花が見える超絶美少女の美羽。
おとぎ話に描かれる人ならざるものが実在したら、きっとこのような姿だろうとしみじみ思わせる瑠奈。
「あ……あぁ……」
司会者までも言葉を失ってうっとりしている。
舞台中央の椅子の前に立ち、更紗は司会者に声を掛ける。
「よろしくお願いします」
「あ……ああ、よろしくね。す、座ってください」
我に返った司会者が着席を促し、更紗たちは椅子に座る。
「自己紹介の時に言ってたのって本当のことだったんだ」
「はい、そうなんです。二人とも信じられないくらい美人で……」
「いやいやー、美人って言ったら如月さんの方が美人でしょー。ずっと見つめてたくなっちゃう!」
隣に座っていた瑠奈が更紗の顔に手を添え冗談めかしてそう言うと、会場からは割れんばかりの悲鳴が上がった。
「うっわー、コンテスト史上最高の絵面ですね。ここは天国かな」
更紗と瑠奈を一枚の絵画に収めるとすると、おそらく天国やそれに準ずるタイトルがつくことになるだろう。
「あぁ、いけないいけない。見とれてる場合じゃないですね。では質問です。如月さんと白鳥さんは幼馴染と聞いていますが、どんな子供時代を過ごしたんですか?」
ようやく友人トークらしい流れを取り戻し、名指しされた美羽は満面の笑みを浮かべた。
「美羽はいっつも更紗と一緒でした。こう見えても更紗は運動神経良くて活動的だから、けっこう公園とかで遊んでましたよ」
「そうそうたしか……」
美羽がジャングルジムを気に入って家に持って帰ろうとしたり、と無意識に思い出を話そうとして言葉を止めた。
(これ、普通のエピソードじゃないよね……)
ジャングルジムを家に持って帰ろうと美羽は地面から引き抜こうとした。しかし当時の美羽の力ではビクともせず、美羽の願いは叶わなかった。
(もしかして今だったら……)
「どうかしましたか如月さん?」
遠い目をしていた更紗に司会者の声がかかる。
「い、いいえ。美羽はジャングルジムが好きで、よく一緒にてっぺんまで登ってました」
「そうだった、そうだった。美羽、ジャングルジム大好きで思わず……」
美羽はそこで言葉を止めた。つい今しがた更紗がしたのと同じ反応を見せたのだ。
(あ、美羽も思い出したみたい)
「毎日公園通っちゃったんだよね、美羽」
固まった美羽を助けるため、更紗が言葉を続けて美羽に目配せする。
ハッとした美羽は大きくうんと頷いた。
余計なことを言えば減点になる。そんな危うい場面をなんとか乗り越えて、更紗はホッと胸を撫で下ろす。だが――。
――~♪~♪~♪
「な……」
とても馴染みある音楽が更紗の耳に届いた。
思わず音の出どころであるスカートのポケットへと目をやった。
(なんでスマホが鳴ってるの――――!?)
音楽を聴いて心を落ち着けていた更紗はそろそろ準備をしようと目を開ける。外したイヤホンをスマホとまとめてカバンに押し込んだ。そのまま更紗は、後ろで椅子に座っている二人を振り返る。
「二人とも今日は一緒に出てくれてありがとう」
「美羽を差し置いて更紗の友達として紹介される人なんているわけないし」
「元はと言えば私が原因だからねー」
「ていうかお礼を言うのはまだ早いって。勝負はこれからなんだよ」
美羽は気合を入れて制服を整える。いつも愛らしいが、今日はそれ以上だ。
緊張した様子もなく飄々とした態度を崩さない瑠奈も、いつも通り人間離れした美しさを孕んでいる。
制服姿の二人の間に、第一審査で着た道着姿の更紗が加わる。
「更紗は着替えないの?」
「うん。何着てても良いらしいから。第三審査でどうせ水着に着替えるし」
美羽は道着姿の更紗に首を傾げたが、更紗は事前に第二審査での服装を確認していた。
「どうせなら一足早く水着で出ちゃえば?その方がインパクトあると思うよー」
あはは、と笑いながらそう言って、瑠奈は立ち上がった。瑠奈は更紗の前に右手を差し出す。
「今日は私のせいで……ううん、違うね。私のために戦ってくれてありがとう。私友達いないからさ、こんな風に誰かが自分のために立ち上がってくれるなんて思ってなかったんだ」
「天空さん……」
瑠奈が差し出す右手を握り返そうとした時、部屋のドアがトトトンと軽やかに鳴らされた。
「袖に待機お願いします!」
「は、はい!」
スタッフに呼ばれて慌てて動き出す。三人は揃って控え室を後にした。
二番目の出場者の友人トークが終わり、佳世が取り巻きの二人を連れて舞台に出てきた。
「黒川先輩慕われてるね」
「先輩すごいバイタリティだからね。色んな場面で生徒たちを助けてるんだよ」
友人トークで佳世とともに出てきたのは透空学園の三年生だ。彼女たちが話す佳世の印象は、更紗が噂で聞いていたものに近い。
親衛隊の存在で一番迷惑を被ることになった瑠奈も、佳世が生徒たちから慕われていることは知っていた。
けれど、更紗も引く気はない。いくら生徒のためでも締め付けがきつすぎる。それに今回の一件で佳世がしたことは許せなかった。
(なんの罪もない道鋏くんに怪我をさせてしまうところだった)
更紗は、更紗自身を狙ったところまでは許せた。でも無関係な人が巻き込まれたところは許せない。
佳世たちが話す姿を袖から見ていた更紗の肩がとんとんと叩かれる。
「なんでしょうか?」
振り向くとそこには先ほど呼びに来たスタッフがいた。
「すみません如月さん、それで出るのはちょっと……」
「え?」
スタッフの視線は更紗の着ている道着に向いていた。
「第二審査に衣装の指定はないって聞いたんですが?」
「はい。第一審査でドレスとか着た人はそっちの方が見栄えするんで、それでいいんですが……」
言わんとすることを理解した。派手な衣装ならば続けてそれを着ていて問題ないが、道着の場合には着替えて欲しいと言うわけだ。
「ど、どうしよう。私、他に衣装持って来てないんですけど」
「第一審査で着ていた制服で大丈夫ですよ。ほら、黒川さんも制服で出てますし」
スタッフが示した先では制服姿の佳世が第二審査を受けているところだ。
「そうか!制服!」
控え室に置いてある制服を思い浮かべて更紗は急いで近くにいる美羽と瑠奈に声をかけた。
「私、着替えてくるね」
「今から!?」
「うん!私の順番最後だから間に合うと思うし」
ひらひらと手を振って更紗は控え室へと走って向かう。
数分で控え室に着いた。電気がつけっぱなしになっていて申し訳なかったが、こうして戻ってきたので良しとしよう。
机の上に畳まれている制服を手に取り着替え始めた。
「こんな綺麗に畳んだ覚えないんだけど……美羽か天空さんがやってくれたのかな?」
せっかく整えてもらったのに心苦しいが、更紗も急いでいたので手早く着替えた。
紺のセーラーを整え、姿見の前で一回転する。
「うん。よし、これで大丈夫だよね」
汚れや服が折れていないかを確認して、更紗は再び舞台袖へと向かう。と、数歩進んで引き返す。
「電気電気っと」
きちんと電気を消して、今度こそ舞台袖へ行くのだった。
「更紗更紗!もうすぐ順番回ってくるよ!」
美羽によると十番目の審査が始まったばかりとのことだ。
更紗と美羽、瑠奈の三人は互いの服におかしいところがないかをチェックし合い、舞台に出る準備を整える。三人ともが十分すぎるほど制服を着こなしていた。
それから程なくして、十番組のトークが終わりを迎えた。
「では最後の十一番の方々、お願いします!」
司会の声が会場全体に響き渡り、更紗は美羽たちと頷き合って舞台に歩み出る。
その途端、会場が歓声に湧いた。
美を競うコンテストの主役たちの中においても異質の存在感を放つ美女・更紗。その隣に並ぶ二人の友人は、更紗とは違った造形でありながら、どちらも更紗と遜色ない美形だった。
ふわふわとした雰囲気を持ち、笑顔を浮かべれば背後に花が見える超絶美少女の美羽。
おとぎ話に描かれる人ならざるものが実在したら、きっとこのような姿だろうとしみじみ思わせる瑠奈。
「あ……あぁ……」
司会者までも言葉を失ってうっとりしている。
舞台中央の椅子の前に立ち、更紗は司会者に声を掛ける。
「よろしくお願いします」
「あ……ああ、よろしくね。す、座ってください」
我に返った司会者が着席を促し、更紗たちは椅子に座る。
「自己紹介の時に言ってたのって本当のことだったんだ」
「はい、そうなんです。二人とも信じられないくらい美人で……」
「いやいやー、美人って言ったら如月さんの方が美人でしょー。ずっと見つめてたくなっちゃう!」
隣に座っていた瑠奈が更紗の顔に手を添え冗談めかしてそう言うと、会場からは割れんばかりの悲鳴が上がった。
「うっわー、コンテスト史上最高の絵面ですね。ここは天国かな」
更紗と瑠奈を一枚の絵画に収めるとすると、おそらく天国やそれに準ずるタイトルがつくことになるだろう。
「あぁ、いけないいけない。見とれてる場合じゃないですね。では質問です。如月さんと白鳥さんは幼馴染と聞いていますが、どんな子供時代を過ごしたんですか?」
ようやく友人トークらしい流れを取り戻し、名指しされた美羽は満面の笑みを浮かべた。
「美羽はいっつも更紗と一緒でした。こう見えても更紗は運動神経良くて活動的だから、けっこう公園とかで遊んでましたよ」
「そうそうたしか……」
美羽がジャングルジムを気に入って家に持って帰ろうとしたり、と無意識に思い出を話そうとして言葉を止めた。
(これ、普通のエピソードじゃないよね……)
ジャングルジムを家に持って帰ろうと美羽は地面から引き抜こうとした。しかし当時の美羽の力ではビクともせず、美羽の願いは叶わなかった。
(もしかして今だったら……)
「どうかしましたか如月さん?」
遠い目をしていた更紗に司会者の声がかかる。
「い、いいえ。美羽はジャングルジムが好きで、よく一緒にてっぺんまで登ってました」
「そうだった、そうだった。美羽、ジャングルジム大好きで思わず……」
美羽はそこで言葉を止めた。つい今しがた更紗がしたのと同じ反応を見せたのだ。
(あ、美羽も思い出したみたい)
「毎日公園通っちゃったんだよね、美羽」
固まった美羽を助けるため、更紗が言葉を続けて美羽に目配せする。
ハッとした美羽は大きくうんと頷いた。
余計なことを言えば減点になる。そんな危うい場面をなんとか乗り越えて、更紗はホッと胸を撫で下ろす。だが――。
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