勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ

文字の大きさ
4 / 5

4話 sideアレン

ようやく‥‥ようやくだ。

ようやくアンジーに会える!!

魔王討伐を終えて最初に思ったのはアンジーのことだった。

可愛い可愛い幼馴染のアンジェラ。

アンジー呼びは俺だけの特権だ。

アンジーはちゃんと待っててくれているだろうか?

5年越しのプロポーズは絶対に成功させないとな‥‥。

会うのを楽しみにして帰ってから待っていたのは王族との謁見やら祝いのパーティーやら表彰やらで全然自由な時間が取れなかった。

パーティーではいろんな女が言い寄ってきてうんざりした。

俺にはアンジーしかいないのに‥‥。

滞在している王城を勝手に抜け出すわけにも行かなくて直接アンジーに会うことができなかった。

だからせめて手紙を送ることにした。

毎日手紙を書いてそれを騎士の人に渡してアンジーに届けてもらう。

何度手紙を送っても返事がもらえないことに焦燥を募らせる。

どうして‥‥?アンジー。

帰還を祝うパレードのあった日から3日後。

国王陛下へ謁見することになった。

「皆のもの。よくやった。よくぞ魔王を打ち果たしてくれた。その活躍を讃え褒美をとらせよう。何か希望はあるか?」

褒美‥‥。なんだろ?何か特別欲しいものがあるわけでも‥‥。

次々と仲間が褒美をもらう中、ついに俺の番が来た。

「勇者アレンよ。そなたは何を望む?」

「そうですね‥‥。近々結婚式を挙げる予定なので彼女が憧れていたクレメンス教会を会場として貸していただけないでしょうか?」

「ほう、いいだろう。勇者の結婚とはめでたい。国をあげて祝わなければな。」

「ありがとうございます。」

クレメンス教会はこの国で1番大きく、美しい教会だ。

ステンドグラスがふんだんに使われ、光溢れる聖堂は言葉にも現し難い美しさを誇る。

この教会では結婚式を執り行うこともあるがそれは多額の寄付金を支払える貴族だけ。

平民の女の子にとって憧れの場所だ。

幼い頃、アンジーと一緒に街に来た時この教会を見てアンジーが目を輝かせていたのを思い出して褒美に教会での結婚式を望んだ。

謁見の日、勇者パーティーが褒美に何を望んだのかは誰もが知るところとなった。

特にアレンが結婚式の会場を望んだことで多くの女性から悲鳴が上がった。

あれから数日経ったある日。

「アレン。話があるの‥‥。ちょっと一目に触れないところでいいかしら?」

「どうした?セレーナ。」

話しかけてきたのは聖女セレーナ。

話がしたいと言った彼女についていく。

「あの‥‥あのっ!!私、あなたのことが好きです!!」

顔を真っ赤にして話す彼女は誰が見ても愛らしい乙女である。

恋人もいない男なら速攻落ちただろう‥‥。

「ありがとう。でもごめんな。俺には結婚を望む相手がいる。」

「はい‥‥。わかっていたことです。魔王討伐の旅の最中もしょっちゅう私たちに彼女さんの話をしていましたからね‥‥。この恋に決着をつけたかったんです。ありがとう。これでキッパリと諦められました。私は次の恋を探します。どうかお幸せにね。」

「ああ、ありがとう。」

「あの一ついいかしら?」

「なんだ??」

「お節介かもしれないけれどどうしても気になって‥‥。あなたが結婚を望む相手は幼馴染の彼女さんよね?」

「?ああ、そうだが?」

「あの‥‥今街中で噂になっているのよ。あなたが結婚相手に王女様を望んだと。」

「はっ?!」

「誰もがあなたは王女様と結婚すると思ってるわよ?」

「何を言って‥‥。そんなわけないじゃないか?!俺が望むのはアンジーだけだ!!」

「王女様はあなたに本気で恋をしているようで‥‥。噂を流しているのも王女様による意図的なものだと思うの。それに今市井で流行っている劇も勇者と王女の大恋愛の話だもの。大丈夫?おかしなことがあったりしたんじゃない?」

「いや、まさか!!でも‥‥そういえばアンジーに送っていた手紙から返事が届いたことは一度もない。」

「それって!!王女様が妨害しているのではなくて?」

「そんな‥‥。アンジーはじゃあ今どこに?!」

「パーティーなんか出なくていいわ!私たちがなんとかする。あなたは愛しのアンジー?の元へ行ってあげて!!何か誤解があるかもしれない‥‥取り返しがつかなくなる前に!!」

「ありがとう!!」

慌ててアンジーの行方を探る。

そしてアンジーがもうすでにこの国にいないことを知ると彼女を求めて馬を走らせる。
感想 1

あなたにおすすめの小説

幼馴染と結婚したけれど幸せじゃありません。逃げてもいいですか?

恋愛
 私の夫オーウェンは勇者。  おとぎ話のような話だけれど、この世界にある日突然魔王が現れた。  予言者のお告げにより勇者として、パン屋の息子オーウェンが魔王討伐の旅に出た。  幾多の苦難を乗り越え、魔王討伐を果たした勇者オーウェンは生まれ育った国へ帰ってきて、幼馴染の私と結婚をした。  それは夢のようなハッピーエンド。  世間の人たちから見れば、私は幸せな花嫁だった。  けれど、私は幸せだと思えず、結婚生活の中で孤独を募らせていって……? ※ゆるゆる設定のご都合主義です。  

私だけが家族じゃなかったのよ。だから放っておいてください。

恋愛
 男爵令嬢のレオナは王立図書館で働いている。古い本に囲まれて働くことは好きだった。  実家を出てやっと手に入れた静かな日々。  そこへ妹のリリィがやって来て、レオナに助けを求めた。 ※このお話は極端なざまぁは無いです。 ※最後まで書いてあるので直しながらの投稿になります。←ストーリー修正中です。 ※感想欄ネタバレ配慮無くてごめんなさい。 ※SSから短編になりました。

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た

青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。 それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。 彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。 ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・ ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。 キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。 けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。 セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。 キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。 『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』 キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。   そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。 ※ゆるふわ設定 ※ご都合主義 ※一話の長さがバラバラになりがち。 ※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。 ※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛
 私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。  私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。  だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。  今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。  彼は心は自由でいたい言っていた。  その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。  友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。  だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。 ※このお話はハッピーエンドではありません。 ※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです

しーしび
恋愛
「結婚しよう」 アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。 しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。 それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・

〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。

藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。 但し、条件付きで。 「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」 彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。 だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。