人魚姫は鬼畜な王子様を短剣で刺さない

楓子(かえでこ)

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本編

9。翌週

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 あの後少し休んだら、先生は車で家まで送ってくれた。
 先生は続きはお風呂の後でと言ったけれど、わたしがもう無理ならば何もしてこないんだなと思った。

 ”今日を踏まえても、この関係を続けたいか?”
 車内でそう聞かれて、わたしは頷いた。

 家から一本離れた通りで車が止まる。
 先生がわたしの首の後ろを触るから、何だろうと思ったら、引き寄せられてキスをした。おやすみと言われ、車を降りる。
 わたしが家の門を開けるとき、車はまだあって、わたしが自分の部屋に上がって窓の外を見たときは、もうなかった。

 そうして、色んな意味でわたしのモヤモヤした生活は終わり、徐々にもとの学園生活が戻ってきた。

 朝登校して、クラスの子たちと授業を受けて、昼にみんなでランチを食べる。週の半分は午後からゼミが入っていた。
 ゼミ生は計十五人。単独行動をする人が多いから、あまり個々に関わることはないけれど、特に仲良くしてもらってる先輩が六人いる。四年生の小沢くん、高山くん、足立くんに、英里香さん。そして三年生の林くんと、華さん。

 小沢くんはいつも積極的に発言する、面白いゼミ長。高山くんは熱心に先生の話を聞いて、何かあるとすぐ助けてくれる優しい努力家さん。足立くんは”だるい”が口癖だけど、やるときはやる先輩。林くんは、わたしにとっては先輩だけど、いわゆる後輩キャラらしい。いつもいじられている。

 英里香さんと華さんは、築島ゼミにいる唯一の女性陣。二人はサークルも一緒らしく、休み時間になると雑誌を広げておしゃべりしてる。とてもおしゃれ。特に英里香さんは香水メーカーの研究所に入りたいみたいで、わたしに合う香水を勧めてくれる。
 わたしはファッションはあまり分からないけれど、よく蛍ちゃんもおいでよと言ってもらえて、仲間に入れてもらう。

 先輩たちは優しいし、築島先生は尊敬するかっこいい先生だし、研究は面白い。だからゼミはとても楽しい。

 そして翌週。いつもと同じようにゼミを受けた後、築島先生に”白井くん、残ってくれ”と言われて、先輩たちが帰ったあと一人で残った。

「きみは……先日の回復に、一体何日要するんだ?」
「え?」
 回復にって……

「あの、身体は大丈夫、です。元気で、どこも異常なしです」
 わたしがそう答えると、雲行きが怪しくなった。
 えっとぉ……

「では身体は平気なのに、丸一週間も僕を焦らしていたということか」
「えっ、いや……っ、」
 もしかして……先生はずっとわたしが回復するのを待ってたの? そして、わたしは自己申告しなくちゃいけなかったの?
 そんなこと、考えもしなかった。


 * * *
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