人魚姫は鬼畜な王子様を短剣で刺さない

楓子(かえでこ)

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本編

10。ーリビング

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 先日と同じ要領で先生の家に行った。
 車を降りて、手首を引っ張られてリビングに入る。ポイと放られるように、ソファに座らされた。

「えっとぉ……」
「上をすべて脱げ」
 先生はそう言い残して奥の部屋へ歩んだ。

 なにが起こるのかわからなかったけど、わたしは大人しく従った。ブラウスのボタンを順番に外す。
 わたしが脱ぎ切らないうちに、先生は中身が透明なボトルを手にして戻って来た。そして、すぐにソファに押し倒される——先生が上に乗ってきた。残りの服は乱雑に脱がされて、先生はボトルの中身をわたしの胸に垂らした。

 トロリとした冷たい液体にひやっとしたけど、わたしはまず自由の確保をしようと、上を向いて、バンザイした状態で腕に絡まっていた服と下着を取ろうと奮闘した。やっと取れて自分の手を解放できたころ、硬いものが胸に挟まれていた。

「一回出さなきゃ、気が収まらないっ」
 まだ全然状況についていけなくて、ただ起こるに任せた。身体の上を往復するヌメヌメした感触が鮮明だった。

 覗き込むように先生の動きを見て、わたしの胸でも寄せるとこんなことができるんだぁとか、先生は気持ちいいのかなぁとか、そういうことが頭をよぎった。
 先生は左右から胸を押さえていて、その手で両方の乳首を触られる。一方的が急に相互的になって、身体がムズムズした。
 顔を上げると、先生はわたしのことを見ていた。鋭い視線で、裁かれているみたいな気がした。

「せんせい……」
「逝くぞ……目を瞑っていろ」
 そう言われて、きゅっとつぶる。その後すぐに、顔に暖かいものがかかった。反射的に声が出そうになったけど堪えた。目と同様に、口も開けないほうがいいと思ったから。
 先生の動きは、ゆっくりになっていった。

「顔にかけるのが顔射——征服欲を満たすのに適している」
 いっぱい液体がついて、まだ目を開けられなかったけれど、先生の声や漂ってくる雰囲気が柔らかくなったのがわかった。
 少しして、顔をぬぐわれる。目を開けると、先生がわたしを拭いていて、ティッシュボックスを渡された。先生はまたどこかに行った。

「どんな感じだ」
「べちょべちょ……」
「少し舐めてみろ」
「……、にがい……」
 先生はキッチンの流しのところにいて、ふっと笑った。

「徐々にだが、その味にも慣れてもらう」
 わたしがティッシュで自分を拭いていると、先生はお湯で絞ったタオルを持って戻って来て、引き継いでくれた。さっぱりした。

「先生……」
「ベッドに移ろう」


 * * *
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