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番外編
1。ミッション
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「蛍ちゃん! 任務がありますっ」
「はいっ!」
蛍は元気よく返事をした。
先輩たちに頼られている。フフフ。気分は兵隊さんだ。
何を任されるんだろう。次の薬毒物による有害作用発現メカニズム解析の担当かなぁ。それとも、結晶多形を含む医薬品製剤の設計図を任されるのかも。
「築島先生を学会まで連れて行ってください!」
「はいっ! ……はい?」
なんか想像とだいぶ違うことを言われた気がする。
「次の金曜日に、先生が出席しなきゃいけない学会があるんだ」
「でも三、四年生は来週末までテスト期間なんだよ」
「蛍ちゃんたち二年生は、木曜日で終わりだよね? だから僕たちの代わりに、先生を学会まで連れて行ってほしいんだ」
「別に白井くんに連れて行ってもらわなくても、一人で行けるのだが」
築島はそこで初めて口を挟んだ。
「えーと、先生? 前回の学会を”面倒になった”といって当日サボったのは、どこの誰ですか?」
彼はぷいっと横を向く。
そこで蛍はこっそり先輩に聞いた。
”……学会って、そんな風に休んでいいんですか?”
”いや、築島先生だからかろうじて許されてるけど、本来絶対参加”
「先生、さすがに連続で欠席はまずいですから」
「蛍ちゃん、頼めるかな?」
事情はだいたい飲み込めた。
「はい!」
そして彼女はまた元気よく返事をした。
「ありがとう、助かるよ~」
「でもそれが終わったら、ハロウィンパーティだから」
「ハロウィン、ぱーてぃ?」
蛍は首を傾げる。なにやら楽しそうな響きだ。
「そう。テストお疲れさまも兼ねて、一足お先に仮装パーティー!」
「ゲームをしたり、お菓子食べたり、」
「おかし……!」
「とにかく飲んで騒げりゃ何でもいいんだけど」
「足立の家でやるんだ。こいつ結構ボンボンでさ。家、大きいんだ」
「親がいま旅行中でさ」
「ま、この中でいちばーん大きいのは、先生の家ですけど、」
英里香はちらりと横を見る。
「来るな」
視線を受けて、築島は睨み返した。
「蛍ちゃんも、来れるよね?」
「はい!」
ゼミ生の全員参加が決まって、一同は輪を崩した。
「蛍ちゃん、なんか仮装ある~?」
全体の話し合いが終わって、足立は蛍に話しかけた。
「えっ? あ、そういえば……持ってないですね」
そうか。仮装パーティだから、仮装していくのか。
「俺もまだ買ってないんだ~ それで、俺コスチューム置いてある店知ってるから、この週末行ってみない?」
足立がそう誘うと、いつものメンバーは茶々を入れた。
「おまえテスト勉強いいのかよ」
「蛍ちゃんは直前に詰め込む必要ないだろうけど」
「俺はもういいのー」
「おまえのそれは、諦めだ」
「えっとぉ、」
蛍は迷いの色を見せた。仮装は欲しいけれど、築島先生と他の男の人と出掛けない約束をしている。
「ああ、もちろんみんなでね」
蛍の懸念を察知して、足立はそう付け足した。
無論、蛍以外の者は、その”みんな”は当日に来れなくなることを知っている。
他の男性陣は、わりと足立を応援しているので、その嘘に乗ってあげるつもりだ。築島はキレている。そして英里香と華は、これ以上楽しい状況はないという笑顔だ。
「それなら、」
蛍が答えようとした直前に、チャイムが鳴った。もうこんな時間かと、次に授業が控えている学生は慌て出す。
「足立くん……」
築島は足立を引き止めた。
「はい?」
「この間のレポートは書き直ったか?」
「えっ、いや、まだ……でもあれはテスト後でいいって先生が、」
ジロリと睨まれて、足立は閉口する。彼に勝ち目はない。
「月曜日まで待とう」
「は、はい」
足立がそそくさと退散すると、小沢たちに小突かれた。
「ばーか」
「テスト前に遊びに行こうとするからだよ」
「そんなまずかったかなぁ……あ、蛍ちゃん、ごめん。今週末はちょっときつくなっちゃったから、衣装は英里香ちゃんたちと買いに行ってくれる?」
「わかりました!」
せめて他の男と買いに行かないように仕向けるのが足立らしい。
* * *
「はいっ!」
蛍は元気よく返事をした。
先輩たちに頼られている。フフフ。気分は兵隊さんだ。
何を任されるんだろう。次の薬毒物による有害作用発現メカニズム解析の担当かなぁ。それとも、結晶多形を含む医薬品製剤の設計図を任されるのかも。
「築島先生を学会まで連れて行ってください!」
「はいっ! ……はい?」
なんか想像とだいぶ違うことを言われた気がする。
「次の金曜日に、先生が出席しなきゃいけない学会があるんだ」
「でも三、四年生は来週末までテスト期間なんだよ」
「蛍ちゃんたち二年生は、木曜日で終わりだよね? だから僕たちの代わりに、先生を学会まで連れて行ってほしいんだ」
「別に白井くんに連れて行ってもらわなくても、一人で行けるのだが」
築島はそこで初めて口を挟んだ。
「えーと、先生? 前回の学会を”面倒になった”といって当日サボったのは、どこの誰ですか?」
彼はぷいっと横を向く。
そこで蛍はこっそり先輩に聞いた。
”……学会って、そんな風に休んでいいんですか?”
”いや、築島先生だからかろうじて許されてるけど、本来絶対参加”
「先生、さすがに連続で欠席はまずいですから」
「蛍ちゃん、頼めるかな?」
事情はだいたい飲み込めた。
「はい!」
そして彼女はまた元気よく返事をした。
「ありがとう、助かるよ~」
「でもそれが終わったら、ハロウィンパーティだから」
「ハロウィン、ぱーてぃ?」
蛍は首を傾げる。なにやら楽しそうな響きだ。
「そう。テストお疲れさまも兼ねて、一足お先に仮装パーティー!」
「ゲームをしたり、お菓子食べたり、」
「おかし……!」
「とにかく飲んで騒げりゃ何でもいいんだけど」
「足立の家でやるんだ。こいつ結構ボンボンでさ。家、大きいんだ」
「親がいま旅行中でさ」
「ま、この中でいちばーん大きいのは、先生の家ですけど、」
英里香はちらりと横を見る。
「来るな」
視線を受けて、築島は睨み返した。
「蛍ちゃんも、来れるよね?」
「はい!」
ゼミ生の全員参加が決まって、一同は輪を崩した。
「蛍ちゃん、なんか仮装ある~?」
全体の話し合いが終わって、足立は蛍に話しかけた。
「えっ? あ、そういえば……持ってないですね」
そうか。仮装パーティだから、仮装していくのか。
「俺もまだ買ってないんだ~ それで、俺コスチューム置いてある店知ってるから、この週末行ってみない?」
足立がそう誘うと、いつものメンバーは茶々を入れた。
「おまえテスト勉強いいのかよ」
「蛍ちゃんは直前に詰め込む必要ないだろうけど」
「俺はもういいのー」
「おまえのそれは、諦めだ」
「えっとぉ、」
蛍は迷いの色を見せた。仮装は欲しいけれど、築島先生と他の男の人と出掛けない約束をしている。
「ああ、もちろんみんなでね」
蛍の懸念を察知して、足立はそう付け足した。
無論、蛍以外の者は、その”みんな”は当日に来れなくなることを知っている。
他の男性陣は、わりと足立を応援しているので、その嘘に乗ってあげるつもりだ。築島はキレている。そして英里香と華は、これ以上楽しい状況はないという笑顔だ。
「それなら、」
蛍が答えようとした直前に、チャイムが鳴った。もうこんな時間かと、次に授業が控えている学生は慌て出す。
「足立くん……」
築島は足立を引き止めた。
「はい?」
「この間のレポートは書き直ったか?」
「えっ、いや、まだ……でもあれはテスト後でいいって先生が、」
ジロリと睨まれて、足立は閉口する。彼に勝ち目はない。
「月曜日まで待とう」
「は、はい」
足立がそそくさと退散すると、小沢たちに小突かれた。
「ばーか」
「テスト前に遊びに行こうとするからだよ」
「そんなまずかったかなぁ……あ、蛍ちゃん、ごめん。今週末はちょっときつくなっちゃったから、衣装は英里香ちゃんたちと買いに行ってくれる?」
「わかりました!」
せめて他の男と買いに行かないように仕向けるのが足立らしい。
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