ピロトークを聴きながら

相沢蒼依

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黒猫との遭遇(郁也目線)

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「黒猫……黒猫、かぁ」

 リクエストを貰ってから会社に行く道すがら、黒猫を探すようになった。しかし探した時に限って、見当たらないものなんだ。

「いたっ! と思ったら牛柄だったりよぅ。ちゃんとした実物を見てから、描きたいのに」

 今日もぶらぶらしつつ、周りを見渡しながら帰宅途中、通りの向こう側に見覚えのある姿を見つけた。

 コンビニから出てきた涼一、手には大きめのビニール袋がしっかりと握られている。きっと執筆に行き詰まり、甘いものでも買いに出かけたな。

 目の前の信号が青になったので、追いかけるべく急いで渡り切り、声をかけようとした矢先に。

『どうしたの? そこから降りられないとか?』

 何故か木に向かって話しかける。声に釣られて上を見ると、ずっと探し続けていた黒猫がいるじゃないか!

『に゛……ゃあぁん!』

 黒猫らしい鳴き方で、涼一に向かって何かを訴えた。(黒猫らしい鳴き方については、ツッコミいれないでくれ)

 俺は音を立てないよう細心の注意を払い、カバンから愛用しているスケッチブックを取り出す。そして黒猫と愛しい恋人の姿を、急いでスケッチした。

『分かったよ。こっちにおいで、受け止めてあげるからさ』

 言いながら、両手を黒猫に向かって伸ばす涼一は、マジで天使のようだ。

 その優しい姿に、じわりと涙が滲んでしまうレベル――描いている絵がぼやけてしまったぞ。

『にゃあぁん!』

 一声鳴いたと思ったら、勢いよくジャンプして、涼一の頭の上に着地した。

 この貴重な姿も逃さないよう、急いでスケッチ!
 ((φ(・д・。)ホォホォ

 必死に描いてるのに無情にも黒猫は、素早く涼一の頭から降りると、

『に゛に゛ぁあぁん』

 黒猫らしい鳴き方でお礼を言い、長い尻尾を振りながら、(その尻尾の動きが、バイバイしてるみたいに見えた)通りの向こう側に消えて行った。

 描きかけの絵を見ながら、こっそりため息をつくと、同じようにため息をついた涼一。

『結局僕は、踏み台で終わってしまった……』

 なぁんて言いながら、肩を落して帰ろうとする。俺は迷うことなく、その背中に声をかけてやった。

「すっげぇトコに遭遇できた。ありがとな涼一」

 その声にすぐさま振り向いて、手元をじっと見てから、微妙な表情を浮かべる。

『……えっと。どうしてそこにいるの?』

「ちょうど帰るところで、目の前の救出劇を発見したからな。迷うことなく描かせてもらったぞ」

 描いたものを見せつけてやると、∑(゚∇゚|||)げーんっ!! なぁんていう顔をした。どうしてそんな、イヤそうな顔をするんだか……

「早速家に帰ったら、色を塗らなきゃな。忘れないように、記録しておかなければ」

「悪いけど今のこと、忘れてくれないかな。僕としては、記録してほしくないことだから」

「何を言ってんだ。優しい涼一の姿を残さないで、どうするんだ?」

 涼一の姿に天使の羽を描いてやって、微笑ましい絵に仕上げてやろうとしてるのに。

「ぜーったいにダメ! 描いたら絶交だからね!」

 ヾ(`◇')ダメッ!

 ガンコにダメダメばかり言ってきたので、しょうがなく黒猫をメインにして、かろうじて涼一の手だけ、描くことを許してもらった。

 テンションが少しだけ下がったせいで、アチコチ可笑しくなっているのは、目をつぶってほしい(涙)

 しかしセリフを入れたことによって、クオリティは上がった、かもな(笑)
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