16 / 83
act:意外な展開
1
しおりを挟む
次の日、部署へたどり着くのに、えらく時間がかかってしまった。
昨日あの鎌田を引きずり回し、きっと押し倒して凄いことをしたであろう女子社員! というワケの分からないレッテルを勝手にはりつけられた挙句に、同期やらいろんな人に質問攻めにあった。
「視野を広げなさいって、こういうことだったんだ……」
――今更ながら痛感。
みんなに何でもないことを言っても、なかなか信じてもらえなかった。だけどあの鎌田だから何もなく終わったんだろうと皆さん勝手に完結してくれた。これも普段の鎌田先輩の人徳なんだろう。
仕事がたまってるって宣告されているのに、いつもより出遅れて部署に入ると鎌田先輩は既に仕事モード全開だった。
「おはようございますぅ……」
ドキドキしながら挨拶する。
「おはようございます。コピーする書類を、デスクの上にまとめておきました。枚数も書いてあるので、今すぐにお願いします!」
テキパキと指示を出して電話をかけながらパソコンと格闘している鎌田先輩に、思わず見とれてしまった。
「……おはよう!」
後方からの声で、ハッと我に返る。
「あ、小野寺先輩、おはようございます……」
「山本さんってば、朝から噂の的だね」
コソッと話しかけてきた。
「ちょっと急ぎの用事があって、付き合ってもらっただけなんです」
忙しそうな素振りをして、デスクの上の書類をてきぱきと整理しつつ答えてみた。
「すみません、急ぎの仕事があるので失礼します」
そう言って、小野寺先輩のお喋りを切り抜けることに成功した。やれやれ――
昨日あの鎌田を引きずり回し、きっと押し倒して凄いことをしたであろう女子社員! というワケの分からないレッテルを勝手にはりつけられた挙句に、同期やらいろんな人に質問攻めにあった。
「視野を広げなさいって、こういうことだったんだ……」
――今更ながら痛感。
みんなに何でもないことを言っても、なかなか信じてもらえなかった。だけどあの鎌田だから何もなく終わったんだろうと皆さん勝手に完結してくれた。これも普段の鎌田先輩の人徳なんだろう。
仕事がたまってるって宣告されているのに、いつもより出遅れて部署に入ると鎌田先輩は既に仕事モード全開だった。
「おはようございますぅ……」
ドキドキしながら挨拶する。
「おはようございます。コピーする書類を、デスクの上にまとめておきました。枚数も書いてあるので、今すぐにお願いします!」
テキパキと指示を出して電話をかけながらパソコンと格闘している鎌田先輩に、思わず見とれてしまった。
「……おはよう!」
後方からの声で、ハッと我に返る。
「あ、小野寺先輩、おはようございます……」
「山本さんってば、朝から噂の的だね」
コソッと話しかけてきた。
「ちょっと急ぎの用事があって、付き合ってもらっただけなんです」
忙しそうな素振りをして、デスクの上の書類をてきぱきと整理しつつ答えてみた。
「すみません、急ぎの仕事があるので失礼します」
そう言って、小野寺先輩のお喋りを切り抜けることに成功した。やれやれ――
0
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお断りいたします。
汐埼ゆたか
恋愛
旧題:あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお受けいたしかねます。
※現在公開の後半部分は、書籍化前のサイト連載版となっております。
書籍とは設定が異なる部分がありますので、あらかじめご了承ください。
―――――――――――――――――――
ひょんなことから旅行中の学生くんと知り合ったわたし。全然そんなつもりじゃなかったのに、なぜだか一夜を共に……。
傷心中の年下を喰っちゃうなんていい大人のすることじゃない。せめてもの罪滅ぼしと、三日間限定で家に置いてあげた。
―――なのに!
その正体は、ななな、なんと!グループ親会社の役員!しかも御曹司だと!?
恋を諦めたアラサーモブ子と、あふれる愛を注ぎたくて堪らない年下御曹司の溺愛攻防戦☆
「馬鹿だと思うよ自分でも。―――それでもあなたが欲しいんだ」
*・゚♡★♡゚・*:.。奨励賞ありがとうございます 。.:*・゚♡★♡゚・*
▶Attention
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる