49 / 83
意外な一面 Wedding狂想曲(ラプソディ)
6(鎌田目線)3
しおりを挟む
***
「まったく――。君のしつこさには、ほとほと呆れました……」
現在寝室へ移動して、一緒に並んで布団に入る。ゲッソリした顔の俺を尻目に、とても嬉しそうな君の顔が傍にあった。
「うふふ。あんなに困った顔の正仁さんを見るのが、すっごく楽しくて」
「……俺、Mっ気ないです」
そう、淡々と答えるしかない。
あの後、名前を連呼して丁重にお引き取り願った。ゆえに手を出していません。
「せっかく名前で呼んでくれたのに、もう元に戻してるし」
「すみません、不器用な男なんで。使い分けがうまくできないんです」
君のことになると、冷静でいられなくなりますから。
「しかも欲求不満がたまってるくせに、変に我慢するし」
「一度決めたことは、とことん貫きたいんです」
これも君の綺麗な花嫁姿を見るためだ。尚更頑張らなければなるまい――
「んもぅ、堅いんだから」
「硬くない、断じて硬くありませんっ!」
俺が必死に言いきると、君は不思議そうに首を傾げる。
「頭がカタいっていう意味だったんだけど?」
「あ……?」
自分で墓穴を掘ってしまった……。かなり恥ずかしい――だが俺の顔を見てぽかんとしているということは、ナニが硬いのか分かっていないということだろう。あぶない、あぶない!
「あの正仁さん、聞いてみたいことがあるの」
「今日は質問のオンパレードですね、何でしょうか?」
暗闇の中、君の顔をじっと見つめてあげた。
「えっとですね、私のどこが良くて好きになったのかなって。それがずっと疑問だったんです」
「………」
驚いた――俺が思っていたことを、君も考えていたとは。一緒に暮らすと、考え方が似てくるのだろうか?
「正仁さん?」
「俺も同じことを考えていたので、ちょっと驚いただけです」
「そうだったんだ……」
「二人してマリッジブルーなんて、おかしな話ですね」
君の頭に手を乗せて、髪をゆっくりと撫でてあげる。
「君を意識し始めたのは確か、新人研修を行ってから半年後くらいでしょうか。他の新人が俺の元を去って行く中で、ひとり歯を食いしばって頑張っている姿に、無性にときめいてしまいました」
「だけどあのときは、めちゃくちゃ正仁さんを嫌ってました。新人イビりをしているように、感じてしまったから」
「君が自分の限界を作ることなく、ひた向きに努力を続ける姿は、俺の励みにもなったんですよ」
だから仕事とバンドという二足のわらじを、履きこなすことができたんだ。
「会社でカマキリのイメージだった正仁さんが、ライブでスポットライトを浴びて歌ってる姿を見た瞬間に、雷を打たれたようにビビっときました。意外な一面すぎて衝撃的だったなぁ」
大嫌いが前提条件だったのに、好きになってくれたなんて――
「それでは俺がバンドをやってなかったら、永遠に片想いのままだったんですね」
「多分……。よっぽど何かドキドキするようなアクシデントがない限り、きっと無理だと思います」
「時として運命の神様は、粋なことをしてくれます」
俺が嬉しそうに言うと、ちょっとだけ寂しげな笑みを浮かべた君。
「でもバンドが披露宴の演奏で最後なんて、勿体ないです……」
バンドメンバーのほとんどが役職についてしまい、仕事で手一杯となってしまったので、活動休止を余儀なくされた結果だった。
「話はそれくらいにして、もう寝なければ。夜更かしは、お肌の大敵ですよ」
頭を撫でている俺の手に、君は自分の手を重ねる。
「正仁さんもね、素敵な花婿姿が見たいです」
「その代わり、初夜は覚悟しておいて下さい。今までお預けをくらった分も、キッチリ返してもらいますから」
笑いながら告げたら、つられたように微笑み返し素直に頷く。昔も今も変わらない、素直な君が愛おしくて堪らない。
「私も……その、いろいろたまっているので宜しくお願いします」
「それじゃ手始めに、今日の復習からですね」
「へっ!?」
「しっかり教えて差し上げたんですから、マスターしていないと。俺の奥さんなんですから」
愛しいぬくもりを感じながら、この夜は呆気なく二人とも就寝したのだった。
「まったく――。君のしつこさには、ほとほと呆れました……」
現在寝室へ移動して、一緒に並んで布団に入る。ゲッソリした顔の俺を尻目に、とても嬉しそうな君の顔が傍にあった。
「うふふ。あんなに困った顔の正仁さんを見るのが、すっごく楽しくて」
「……俺、Mっ気ないです」
そう、淡々と答えるしかない。
あの後、名前を連呼して丁重にお引き取り願った。ゆえに手を出していません。
「せっかく名前で呼んでくれたのに、もう元に戻してるし」
「すみません、不器用な男なんで。使い分けがうまくできないんです」
君のことになると、冷静でいられなくなりますから。
「しかも欲求不満がたまってるくせに、変に我慢するし」
「一度決めたことは、とことん貫きたいんです」
これも君の綺麗な花嫁姿を見るためだ。尚更頑張らなければなるまい――
「んもぅ、堅いんだから」
「硬くない、断じて硬くありませんっ!」
俺が必死に言いきると、君は不思議そうに首を傾げる。
「頭がカタいっていう意味だったんだけど?」
「あ……?」
自分で墓穴を掘ってしまった……。かなり恥ずかしい――だが俺の顔を見てぽかんとしているということは、ナニが硬いのか分かっていないということだろう。あぶない、あぶない!
「あの正仁さん、聞いてみたいことがあるの」
「今日は質問のオンパレードですね、何でしょうか?」
暗闇の中、君の顔をじっと見つめてあげた。
「えっとですね、私のどこが良くて好きになったのかなって。それがずっと疑問だったんです」
「………」
驚いた――俺が思っていたことを、君も考えていたとは。一緒に暮らすと、考え方が似てくるのだろうか?
「正仁さん?」
「俺も同じことを考えていたので、ちょっと驚いただけです」
「そうだったんだ……」
「二人してマリッジブルーなんて、おかしな話ですね」
君の頭に手を乗せて、髪をゆっくりと撫でてあげる。
「君を意識し始めたのは確か、新人研修を行ってから半年後くらいでしょうか。他の新人が俺の元を去って行く中で、ひとり歯を食いしばって頑張っている姿に、無性にときめいてしまいました」
「だけどあのときは、めちゃくちゃ正仁さんを嫌ってました。新人イビりをしているように、感じてしまったから」
「君が自分の限界を作ることなく、ひた向きに努力を続ける姿は、俺の励みにもなったんですよ」
だから仕事とバンドという二足のわらじを、履きこなすことができたんだ。
「会社でカマキリのイメージだった正仁さんが、ライブでスポットライトを浴びて歌ってる姿を見た瞬間に、雷を打たれたようにビビっときました。意外な一面すぎて衝撃的だったなぁ」
大嫌いが前提条件だったのに、好きになってくれたなんて――
「それでは俺がバンドをやってなかったら、永遠に片想いのままだったんですね」
「多分……。よっぽど何かドキドキするようなアクシデントがない限り、きっと無理だと思います」
「時として運命の神様は、粋なことをしてくれます」
俺が嬉しそうに言うと、ちょっとだけ寂しげな笑みを浮かべた君。
「でもバンドが披露宴の演奏で最後なんて、勿体ないです……」
バンドメンバーのほとんどが役職についてしまい、仕事で手一杯となってしまったので、活動休止を余儀なくされた結果だった。
「話はそれくらいにして、もう寝なければ。夜更かしは、お肌の大敵ですよ」
頭を撫でている俺の手に、君は自分の手を重ねる。
「正仁さんもね、素敵な花婿姿が見たいです」
「その代わり、初夜は覚悟しておいて下さい。今までお預けをくらった分も、キッチリ返してもらいますから」
笑いながら告げたら、つられたように微笑み返し素直に頷く。昔も今も変わらない、素直な君が愛おしくて堪らない。
「私も……その、いろいろたまっているので宜しくお願いします」
「それじゃ手始めに、今日の復習からですね」
「へっ!?」
「しっかり教えて差し上げたんですから、マスターしていないと。俺の奥さんなんですから」
愛しいぬくもりを感じながら、この夜は呆気なく二人とも就寝したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
冷徹社長の「契約」シンデレラ~一夜の過ちから始まる溺愛ルート!? 嘘つきな私と不器用な御曹司のオフィスラブ~
藤森瑠璃香
恋愛
派遣社員の桜井美月は、ある夜、会社の懇親会で泥酔し、翌朝目覚めると隣には「氷の彫刻」と恐れられる若き社長・一条蓮がいた。まさかの一夜の過ち(実際には何もなかったが、美月は勘違い)に青ざめる美月に、蓮は「責任は取る。だがこれは恋愛ではない、契約だ」と、彼の抱えるある事情のため、期間限定で恋人のフリをするよう持ちかける。破格の報酬と蓮の真剣な様子に、美月は契約を受け入れる。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
数合わせから始まる俺様の独占欲
日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。
見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。
そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。
正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。
しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。
彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。
仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。
その卵焼き俺にも食わせろ!―ワンナイトラブから逃げたはずなのに、契約で縛られてました!?―
鷹槻れん
恋愛
新沼 晴永(にいぬま はるなが/36)は俺様上司として恐れられる鬼課長。
そんな彼に毎日のように振り回されるのが、犬猿の仲(だと彼女が勝手に思っている)部下の小笹 瑠璃香(こざさ るりか/28)だ。
飲み会の夜、酔ってふにゃふにゃになった瑠璃香を晴永がまんまと持ち帰り――翌朝待っていたのはワンナイトの証拠と契約結婚の書類!?
晴永には逃げようとする瑠璃香を逃がすつもりはないらしい!?
笑いと誤解と契約の、ドタバタラブコメディ!
○表紙絵は市瀬雪さんに依頼しました♥(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
花里 美佐
恋愛
★神崎 蓮 32歳 神崎造船副社長
『玲瓏皇子』の異名を持つ美しき御曹司。
ノースサイド出身のセレブリティ
×
☆清水 さくら 23歳 名取フラワーズ社員
名取フラワーズの社員だが、理由があって
伯父の花屋『ブラッサムフラワー』で今は働いている。
恋愛に不器用な仕事人間のセレブ男性が
花屋の女性の夢を応援し始めた。
最初は喧嘩をしながら、ふたりはお互いを認め合って惹かれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる