純愛カタルシス💞純愛クライシス

相沢蒼依

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番外編

自立するために7

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(これはもしや、どうしたら私が学くんから離れないかを確かめているのでは?)

 婚姻届を眺める学くんの横顔からは、その心情を窺い知ることはできない。ちょっとだけ髪を短くして、いつもより顔があらわになってるだけなのに、妙に整ったそれを見ているだけで、胸がときめくとか――。

 私、どんだけ学くんのことが好きなのよぉ! ってそうじゃなく!

 これからステップアップするために離れていく彼氏を見て、こうしてときめいてる場合じゃない。学くんが安心して旅立てるようにしなきゃダメなんだ。

「学くん、それ貸して」

 言いながらカバンからファイルを取り出し、膝の上に置いた。学くんは素直に婚姻届を渡してくれる。書き込まれた学くんの文字をしっかり読み込んだあとに、ペンを手にとった。

 妻になる人のところに自分の名前や、その他の部分にも必要事項を書き記していく。

 そしてすべて記入を終えて、ふたたび学くんの手に持たせた。

「私はいつでもお嫁に行く覚悟はできてる。だけど、学くんがもっともっと素敵になってからのほうがいいかなと思うんだ。それに見合うように、私もここで頑張りたいから!」

「美羽!」

 婚姻届を持つ、学くんの手が小刻みに震える。綺麗な一重まぶたの瞳が、潤んでいるように見えた。

「学くんが帰って来たら、一緒にそれを出しに行こうね」

「わかった。それまでこれは、俺が預かっておく」

「うまくまとまったところで、学くんの門出を祝わないといけないね。これから飲みに――」

 出したファイルをしまっていると、「飲みに行きたくない」と横であっさり断られてしまった。

「どうして? 私はお祝いしたいのに」

「お祝いするなら、違う方法でお願いしたいです」

 婚姻届を綺麗に畳んで、胸ポケットにしまった学くん。なぜか俯き加減でいるので、表情が窺えない。

「違う方法?」

「頼むから今夜だけでいいので、回数制限をなくしてくだしゃい!」

 両手を合わせて頼みこむ、ひどく神妙な学くんの顔つきは私の笑いを誘う。久しぶりに聞いた『くだしゃい』のせいもあるけれど。

 しかも本人は必死すぎて、そのことにも気づいていないらしい。

「どんだけ私とヤりたいの……」

「ただヤりたいだけじゃないんだって! 美羽の全部を記憶に焼きつけるために、ねっこり愛したいだけ」

 ととのった眉毛がしょんぼり感を示すように逆への字になり、泣き出しそうなくらいに瞳まで潤んでる様子は、まるで捨てられた子犬のよう。

「しょうがない、今夜だけだからね!」

「ありがとう美羽! 実は晩ごはんを、既に自宅で用意していてさ」

「……手際良すぎない?」

「だってふたりきりの時間を、一秒でも長く過ごすために、俺は頑張ったんだよ」

 抱きついたと思ったら、頬にちゅっとキスを落とされてしまった。

(まったく! いつも以上にスキンシップにはげむ学くんの寂しさに、ちゃんと向き合ってあげないといけないよね。それにひとりでここまで用意したり、いろいろ思考を巡らせたりして、頑張ってくれたんだし)

「私とイチャイチャしたければ、体からさっさと手を放す! 早く帰って一秒でも長く、私と一緒にいたいんでしょ?」

 今以上に素敵な男性になるであろう学くんと、三年後の結婚を目指して、ふたり仲良く腕を組み、微笑み合いながら一緒に帰路に着いたのでした。

愛でたし♡愛でたし

そしてラストは、あのカップルがうまいことしめてくれるはず!
明日の更新もお楽しみに!
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