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闇−151
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領民から届けられたタマゴはゆで卵としてツキヨとアレックスに朝食として供された。
「美味いなぁ。でも、ダンもたんぱく質の大切さを理解してくれていて……さすがだぜ」
10個目のゆで卵を食べ終えたアレックスはニコニコとしながらツキヨに筋肉の維持について熱く暑く厚く語っていたが、ツキヨも慣れたもので適時頷きながら窓から見える景色を眺めていた。
*
今日は昼前から、カトレア男爵家主催で屋敷敷地内で領民たちを招いて「ツキヨとアレックスのラブラブお披露目パーティー☆inエストシテ王国」(アレックス命名)が催される。
パーティーの内容は……
制限時間なしの一本勝負でバーリトゥード方式を採用。
*ドレスコードは局部さえ見えなければ良し。ポロリもあるよ!?
*お祝いしたい領民なら受精卵から先祖の霊まで大歓迎!暗殺者もようこそここへ遊ぼうよパラダイス!
*屋敷の敷地で歌って踊って叫んで告ってよし!
*軽食から肉料理、果物や菓子類も酒類飲物食べ放題の飲み放題ヨロレイヒー
*胸がトキメク出会いがあればなお良し!!
小規模でも領民が楽しんでほしい……という希望がなぜこの規模になったのかは不明だが、着地点は相変わらず『終わりよければ……』なのでツキヨも良しとした。
むしろ、諦めた。
*
朝食を終えてツキヨはフロリナ、ビクトリアの手を借りて王国式の礼装に見を包むが、久しぶりに会う人が多く、踊ったりすることも考えてエリは準礼装ほどまでではないようなドレスをデザインした。
フリルやドレープは減らし、レースは極細の糸を使用して緻密かつ繊細なものを編み惜しむことなく縫い付けた。
帝国式のコルセットのないドレスになれてしまったツキヨのためにコルセットも軽量化をし動きやすくした。
当然のことだが、オリエ布や糸はカトレア男爵領民の誇りと伝統文化継承のため帝国内の式と同じ最上級のものを使用した。
「王国式のドレスは久しぶり……でも、以前のものより動きやすくて楽な感じがして……」
姿見の中のツキヨはくるん!と一回転すると裾がふんわり優雅に舞う。
そのまま、フロリナがエスコートをするように椅子を勧められて座るとビクトリアが軽く化粧を直して、首飾りや耳飾りをつけ、最後に小ぶりなティアラを恭しく載せ固定された。
「ツキヨ様の王国式のドレス姿も本当に……に、人形のように愛らしく……あ、あぁ……失礼しますわ……ブッ!!!」
あの冷静なビクトリアがツキヨの前から離れると耐えきれず鼻血を噴き出した。
フロリナは既に貧血を起こし片隅で倒れている。
ツキヨも毎度の『儀式』に慣れてしまい今は特にツッコミも心配もしない、むしろ開かれている窓からは集まりだした領民たちの楽しそうな声がすることのほうが気になる。
友達や知り合い、見知った商店の店主、優しくしてくれた近所の人たち……早く会いたいと心待ちにしていた。
そんなツキヨの郷愁に浸ることを無視するように謎のつぶやきが耳にはいる。
「胸元のあいた帝国のドレスを見慣れてはいますが、敢えて布に隠されてしまったツキヨ様の白肌美肌柔肌艶肌もち肌湯上がりたまご肌……を思うと……あぁ……ん」
フロリナはお仕着せに隠されている、豊かな胸元を押さえながら立ち上がるがゆらりとふらつく。
「お人形……お人形……奥方様のお人形……カワイイカワイイイヒヒ」とビクトリアもブツブツと何事かを唱えながらツキヨのドレスの裾を整える。
バン!と部屋の扉が開くと王国式のドレスを身にまとったエリが現れた。
「その程度でふらつくなんてまだまだぁぁぁぁ゛ぁ゛ーーーーっ!!!!んんんんん゛っ!!!」
鼻の穴には血染めの布が詰められていた。
「おう!その程度で息も絶え絶えになるなんざ、帝国民としてなんたることよ!フッ……」
ババーン!と現れたエリのうしろから、スッと落ち着いた様子で現れたアレックスの鼻の穴と耳の穴に血染めの布がツッコまれていた。
そんな偉丈夫の出で立ちは銀髪は一つにまとめられ、服装はツキヨにあわせてエストシテ王国式の正装や準礼装ではなく、いつもより仕立てのよいシャツと黒地に刺繍が入ったベストにオリエ布のタイとチーフにトラウザーズといういつもと似たような服装――――ガタイが良すぎて繊細かつやや華奢なデザインの王国式の男性礼装が似合わなすぎてエリも諦めた結果だった。
アレックスもツキヨをべた褒めしていたが、あと3時間は褒め続けそうな事態になるとレオが一つにまとめた銀髪を掴みズルズルと屋敷の庭へ引っ張り出した。
それにつづいてツキヨもなにもなかったようにアレックスの左腕を持ち、領民の待つ庭の真ん中へゆっくりも歩みを進めた。
*
「わぁ!!!ツキヨちゃん!!!おめでとう!!」
「おめでとうございます!!!」
「まぁ、三国一の花嫁ってまさにこのことねぇ!」
このお披露目のために作られた舞台へ祝いの言葉や拍手で迎えられながら、二人は上がるとあとからマルセルもツキヨより一歩下がったところへ立つ。
「ツキヨおねーちゃん、きれー!!お姫さまだー!」
「ホントは俺、好きだったんだよぉぉぉぉぉ」
「俺もだよーぉぉぉ」
「カトレア男爵ばんざーい!エストシテ王国ばんざーい!」
時折、嘆き声が交じりつつも集まった領民は庭だけではなく、面した道や隣の収穫済みの畑に勝手に椅子やテーブルを持ち込み盛り上がっていた。
「あー……えぇと。領民のみんな、いつも忙しいのに僕の大切な娘とそして娘の大事なお婿さんのお祝いに駆けつけてくれてありがとう!」
マルセルが一歩前に出て、レオの魔気で声が皆に聞こえるようにして挨拶を始めた。
「ここまで、紆余曲折ありツキヨには本当に苦労をかけてしまい父親失格です。
でも、今は領民の皆が父と母となりツキヨはこうして最高のお婿さんを連れ晴れ姿を披露してくれました!!」
…
……
………。
二時間後。
「ツキヨは妻のオリエに似て……ううっ……苦労をかけた日々を……云々」
マルセルは涙を流しながら熱く厚く暑く挨拶をしていた。
レオですら止めるにも止められないため、話し続けるマルセルはそのままにすることにしたがエリだけは化粧が落ちるのも気にせずにもらい泣きしながらしっかり聞いている姿が、何年後になぜか逸話として残った。
【なぜ残ったのかは、深く考えないことにしてほしい】
「ん?なんか聞こえたぞ?なんのことだ?まぁ、とりあえずいいや。
あー、カトレア男爵家のツキヨ嬢とこの度結婚をした……あー……アレックスだ!ただのアレックスだ!!(どん!)
あ!今、そこぉっ!頭下げようとしたな!!!ただのアレックスだってーの!!偉くないの!ツキヨのイケメンなお婿さんなの!!キィーッ!」
地団駄をするおっさん。
「くそー、今日は飲んで歌って祝ってください。お願いします。俺を偉い人だと思ったやつは酒が水になる呪いをかけたからな!!フンス!」
鼻息荒く吹き出した。
「あ、あの……すいません。いろいろ……」
ツキヨは居心地の悪そうにマルセルとアレックスをチラチラと見る。
「私は……ご存知の通り遠くへ嫁ぎましたがの心は常にここカトレア領地にあり……」「俺のハートは常にツキ……」ガッ!
『てめこら、ちょっかい出すな!ただでさえ大変なのに!!』
『やかましい!俺のピュアッピュアでプリップリな恋心を邪魔すんな!』
アレックスとレオが静かに罵り合い胸元に水平チョップを互いに繰り出していた。
そして、マルセルは涙で濡れた手巾を絞りながらツキヨが生まれたときの話を始めた。
「すいません……二人は気にしないでください。てててて帝国の伝統の祝いの踊りなので……はい。
えーと、ここにいるときはただのツキヨ・ドゥ・カトレアとして昔と同じく過ごしたいと……って、あぁぁ……お、お久しぶりぶりでございます……」
地味な馬車から地味な準礼装をした貴族らしい夫婦が降りてきた。
そして、ロイヤルな気配の隠せない二人はドタバタ騒ぎ中の舞台へゆったりと近づき、にっこりと笑顔で「改めて……おめでとう」と可愛らしい花束をツキヨに差し出した。
カテーシーをしようとするツキヨを制すると「僕はこのエストシテ王国でのアレックスさんとツキヨさん夫婦の友達のユースとレナだよ」
「えぇ、国王夫妻のユージス様、エレナ様の名前と少し似ているだけですわ」とロイヤルなスマイルで念押し付きの『自己紹介』をした。
「まぁ!こんな遠いところに貴族様のお友達が?さすがツキヨちゃんは、仲良しの人が多いんだねー」
「さぁさぁ、お二人もここの葡萄酒は最高でね、飲んでくださいよ!」
少しめかしこんだ服装で来た領内にある商店の夫婦がツキヨのロイヤルな友達にグラスを渡して注いだ。
「へ、ヘイカ!!ドクミヲヲヲヲ!!」
慌てて地味な服装の侍従から小声で言われながら、夫婦二組で「乾杯」といい一口飲んだ。
「少し甘みがあって美味しいですわ」
「レナ様だったかい?ここのは甘みが特徴でね、人気があるんですよ」
「よかったら、ユース様ももっと飲んでくださいよー」
「ありがとう!僕も葡萄酒が好きでね」
死んだ顔をした侍従をよそに他にも何人かがツマミや果物を運び、舞台下でロイヤルな葡萄酒品評会が始まった。
舞台ではレオとアレックスがまだ水平チョップ大会を続け、マルセルはツキヨがやっと5歳になったころの話をしていて、それをエリがはらはらと涙をこぼしながら聞いている。
頼りのビクトリアとフロリナは庭園内の食物飲物の提供の指示や調整に追われ、ダンとルルーは調理にかかりっきりでスホールや他の使用人も給仕や皿の回収、洗い物にてんてこ舞い、オジーは庭木に登って下りられなくなった子供を救出していた。
ツキヨが困惑しているところに手巾をすっと手渡してきた……のは小さなタイを着けた魔鬼死魔夢君だった。
「ありがとう……きっとわかってくれるのは魔鬼死魔夢君だけだわ」
顔の汗を拭きこの騒ぎの中で挨拶はどうしようかと思っていた。
「美味いなぁ。でも、ダンもたんぱく質の大切さを理解してくれていて……さすがだぜ」
10個目のゆで卵を食べ終えたアレックスはニコニコとしながらツキヨに筋肉の維持について熱く暑く厚く語っていたが、ツキヨも慣れたもので適時頷きながら窓から見える景色を眺めていた。
*
今日は昼前から、カトレア男爵家主催で屋敷敷地内で領民たちを招いて「ツキヨとアレックスのラブラブお披露目パーティー☆inエストシテ王国」(アレックス命名)が催される。
パーティーの内容は……
制限時間なしの一本勝負でバーリトゥード方式を採用。
*ドレスコードは局部さえ見えなければ良し。ポロリもあるよ!?
*お祝いしたい領民なら受精卵から先祖の霊まで大歓迎!暗殺者もようこそここへ遊ぼうよパラダイス!
*屋敷の敷地で歌って踊って叫んで告ってよし!
*軽食から肉料理、果物や菓子類も酒類飲物食べ放題の飲み放題ヨロレイヒー
*胸がトキメク出会いがあればなお良し!!
小規模でも領民が楽しんでほしい……という希望がなぜこの規模になったのかは不明だが、着地点は相変わらず『終わりよければ……』なのでツキヨも良しとした。
むしろ、諦めた。
*
朝食を終えてツキヨはフロリナ、ビクトリアの手を借りて王国式の礼装に見を包むが、久しぶりに会う人が多く、踊ったりすることも考えてエリは準礼装ほどまでではないようなドレスをデザインした。
フリルやドレープは減らし、レースは極細の糸を使用して緻密かつ繊細なものを編み惜しむことなく縫い付けた。
帝国式のコルセットのないドレスになれてしまったツキヨのためにコルセットも軽量化をし動きやすくした。
当然のことだが、オリエ布や糸はカトレア男爵領民の誇りと伝統文化継承のため帝国内の式と同じ最上級のものを使用した。
「王国式のドレスは久しぶり……でも、以前のものより動きやすくて楽な感じがして……」
姿見の中のツキヨはくるん!と一回転すると裾がふんわり優雅に舞う。
そのまま、フロリナがエスコートをするように椅子を勧められて座るとビクトリアが軽く化粧を直して、首飾りや耳飾りをつけ、最後に小ぶりなティアラを恭しく載せ固定された。
「ツキヨ様の王国式のドレス姿も本当に……に、人形のように愛らしく……あ、あぁ……失礼しますわ……ブッ!!!」
あの冷静なビクトリアがツキヨの前から離れると耐えきれず鼻血を噴き出した。
フロリナは既に貧血を起こし片隅で倒れている。
ツキヨも毎度の『儀式』に慣れてしまい今は特にツッコミも心配もしない、むしろ開かれている窓からは集まりだした領民たちの楽しそうな声がすることのほうが気になる。
友達や知り合い、見知った商店の店主、優しくしてくれた近所の人たち……早く会いたいと心待ちにしていた。
そんなツキヨの郷愁に浸ることを無視するように謎のつぶやきが耳にはいる。
「胸元のあいた帝国のドレスを見慣れてはいますが、敢えて布に隠されてしまったツキヨ様の白肌美肌柔肌艶肌もち肌湯上がりたまご肌……を思うと……あぁ……ん」
フロリナはお仕着せに隠されている、豊かな胸元を押さえながら立ち上がるがゆらりとふらつく。
「お人形……お人形……奥方様のお人形……カワイイカワイイイヒヒ」とビクトリアもブツブツと何事かを唱えながらツキヨのドレスの裾を整える。
バン!と部屋の扉が開くと王国式のドレスを身にまとったエリが現れた。
「その程度でふらつくなんてまだまだぁぁぁぁ゛ぁ゛ーーーーっ!!!!んんんんん゛っ!!!」
鼻の穴には血染めの布が詰められていた。
「おう!その程度で息も絶え絶えになるなんざ、帝国民としてなんたることよ!フッ……」
ババーン!と現れたエリのうしろから、スッと落ち着いた様子で現れたアレックスの鼻の穴と耳の穴に血染めの布がツッコまれていた。
そんな偉丈夫の出で立ちは銀髪は一つにまとめられ、服装はツキヨにあわせてエストシテ王国式の正装や準礼装ではなく、いつもより仕立てのよいシャツと黒地に刺繍が入ったベストにオリエ布のタイとチーフにトラウザーズといういつもと似たような服装――――ガタイが良すぎて繊細かつやや華奢なデザインの王国式の男性礼装が似合わなすぎてエリも諦めた結果だった。
アレックスもツキヨをべた褒めしていたが、あと3時間は褒め続けそうな事態になるとレオが一つにまとめた銀髪を掴みズルズルと屋敷の庭へ引っ張り出した。
それにつづいてツキヨもなにもなかったようにアレックスの左腕を持ち、領民の待つ庭の真ん中へゆっくりも歩みを進めた。
*
「わぁ!!!ツキヨちゃん!!!おめでとう!!」
「おめでとうございます!!!」
「まぁ、三国一の花嫁ってまさにこのことねぇ!」
このお披露目のために作られた舞台へ祝いの言葉や拍手で迎えられながら、二人は上がるとあとからマルセルもツキヨより一歩下がったところへ立つ。
「ツキヨおねーちゃん、きれー!!お姫さまだー!」
「ホントは俺、好きだったんだよぉぉぉぉぉ」
「俺もだよーぉぉぉ」
「カトレア男爵ばんざーい!エストシテ王国ばんざーい!」
時折、嘆き声が交じりつつも集まった領民は庭だけではなく、面した道や隣の収穫済みの畑に勝手に椅子やテーブルを持ち込み盛り上がっていた。
「あー……えぇと。領民のみんな、いつも忙しいのに僕の大切な娘とそして娘の大事なお婿さんのお祝いに駆けつけてくれてありがとう!」
マルセルが一歩前に出て、レオの魔気で声が皆に聞こえるようにして挨拶を始めた。
「ここまで、紆余曲折ありツキヨには本当に苦労をかけてしまい父親失格です。
でも、今は領民の皆が父と母となりツキヨはこうして最高のお婿さんを連れ晴れ姿を披露してくれました!!」
…
……
………。
二時間後。
「ツキヨは妻のオリエに似て……ううっ……苦労をかけた日々を……云々」
マルセルは涙を流しながら熱く厚く暑く挨拶をしていた。
レオですら止めるにも止められないため、話し続けるマルセルはそのままにすることにしたがエリだけは化粧が落ちるのも気にせずにもらい泣きしながらしっかり聞いている姿が、何年後になぜか逸話として残った。
【なぜ残ったのかは、深く考えないことにしてほしい】
「ん?なんか聞こえたぞ?なんのことだ?まぁ、とりあえずいいや。
あー、カトレア男爵家のツキヨ嬢とこの度結婚をした……あー……アレックスだ!ただのアレックスだ!!(どん!)
あ!今、そこぉっ!頭下げようとしたな!!!ただのアレックスだってーの!!偉くないの!ツキヨのイケメンなお婿さんなの!!キィーッ!」
地団駄をするおっさん。
「くそー、今日は飲んで歌って祝ってください。お願いします。俺を偉い人だと思ったやつは酒が水になる呪いをかけたからな!!フンス!」
鼻息荒く吹き出した。
「あ、あの……すいません。いろいろ……」
ツキヨは居心地の悪そうにマルセルとアレックスをチラチラと見る。
「私は……ご存知の通り遠くへ嫁ぎましたがの心は常にここカトレア領地にあり……」「俺のハートは常にツキ……」ガッ!
『てめこら、ちょっかい出すな!ただでさえ大変なのに!!』
『やかましい!俺のピュアッピュアでプリップリな恋心を邪魔すんな!』
アレックスとレオが静かに罵り合い胸元に水平チョップを互いに繰り出していた。
そして、マルセルは涙で濡れた手巾を絞りながらツキヨが生まれたときの話を始めた。
「すいません……二人は気にしないでください。てててて帝国の伝統の祝いの踊りなので……はい。
えーと、ここにいるときはただのツキヨ・ドゥ・カトレアとして昔と同じく過ごしたいと……って、あぁぁ……お、お久しぶりぶりでございます……」
地味な馬車から地味な準礼装をした貴族らしい夫婦が降りてきた。
そして、ロイヤルな気配の隠せない二人はドタバタ騒ぎ中の舞台へゆったりと近づき、にっこりと笑顔で「改めて……おめでとう」と可愛らしい花束をツキヨに差し出した。
カテーシーをしようとするツキヨを制すると「僕はこのエストシテ王国でのアレックスさんとツキヨさん夫婦の友達のユースとレナだよ」
「えぇ、国王夫妻のユージス様、エレナ様の名前と少し似ているだけですわ」とロイヤルなスマイルで念押し付きの『自己紹介』をした。
「まぁ!こんな遠いところに貴族様のお友達が?さすがツキヨちゃんは、仲良しの人が多いんだねー」
「さぁさぁ、お二人もここの葡萄酒は最高でね、飲んでくださいよ!」
少しめかしこんだ服装で来た領内にある商店の夫婦がツキヨのロイヤルな友達にグラスを渡して注いだ。
「へ、ヘイカ!!ドクミヲヲヲヲ!!」
慌てて地味な服装の侍従から小声で言われながら、夫婦二組で「乾杯」といい一口飲んだ。
「少し甘みがあって美味しいですわ」
「レナ様だったかい?ここのは甘みが特徴でね、人気があるんですよ」
「よかったら、ユース様ももっと飲んでくださいよー」
「ありがとう!僕も葡萄酒が好きでね」
死んだ顔をした侍従をよそに他にも何人かがツマミや果物を運び、舞台下でロイヤルな葡萄酒品評会が始まった。
舞台ではレオとアレックスがまだ水平チョップ大会を続け、マルセルはツキヨがやっと5歳になったころの話をしていて、それをエリがはらはらと涙をこぼしながら聞いている。
頼りのビクトリアとフロリナは庭園内の食物飲物の提供の指示や調整に追われ、ダンとルルーは調理にかかりっきりでスホールや他の使用人も給仕や皿の回収、洗い物にてんてこ舞い、オジーは庭木に登って下りられなくなった子供を救出していた。
ツキヨが困惑しているところに手巾をすっと手渡してきた……のは小さなタイを着けた魔鬼死魔夢君だった。
「ありがとう……きっとわかってくれるのは魔鬼死魔夢君だけだわ」
顔の汗を拭きこの騒ぎの中で挨拶はどうしようかと思っていた。
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