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闇-39
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「うぅ…そんな名前をつけてもらえるなんて…光栄です。私ですら浮かばない名前です」
マルセルは相変わらずきれいに折りたたまれたハンカチで涙を拭う。
「おう、これならツキヨのおふくろさんも喜ぶしいいじゃねぇか。ついでに商売繁盛だ!」
「商品化した時に使う印もちょっと洒落た印も作らないと…あとは、それの偽物を防ぐための方法も考えないと…」
「私は、とにかく今は一番いい糸を用意しますので…ツキヨにもオリエにも胸を張れるように一番の…最高の糸を準備します!」
涙の跡はあるがマルセルは前を向いて胸を張り、一人の父、夫…そして商売人の顔になっていた。
「そうだなぁ…また3日後に来るからそれまで糸があれば助かるっていうのもあるけどよ。
日取りはまだ決定はしていないが帝国主催の条約締結記念の大舞踏会がある。その時にドレスとしてお披露目をしたいところだ」
「それならば王侯貴族がこぞって参加をしますし、布が目につけば最高の宣伝になりますが、ある程度生産力を向上しないといけないですね。ただ希少価値が欲しいので調整しますが…」
「急に流通すると価値が減る、在庫や糸の生産はしてもらいつつも調整する必要がある…」
相変わらず三人三様の脳内算盤をぱちぱちと弾いていた。
***
「あとは…これは俺の…一個人として…マルセルをツキヨの父親として聞いてほしいことがある…」
狭い書斎でアレックスは立ち上がとマルセルの前に優雅に膝をつき菫色の瞳でマルセルを見つめた。
「アレックスさんからの話…許すこと?…そんなに畏まらないでくださいよ。何ですか?」
「いいや、これは…俺のけじめでもあるんだ」
膝をついたままマルセルに深く頭を下げた。
「俺…いや。わ、私は…偶然にもカトレア男爵家のツキヨ嬢に出会い、そして不思議な運命に導かれるようにマルセル殿と出会いました。いいえ。運命と軽々しく言葉にするのは簡単ではりますが、男性として運命に従いツキヨ嬢に『一緒にいてほしい、結婚をしてほしい』と心から願いました…しかし本来はマルセル殿のお許しをいただいてから伝えるべき言葉であるのに不誠実に急いたことをしたのは事実であり、マルセル殿にお詫びを申し上げます」
「え!?いや、そんな…私はアレックスさんであれば…」
アレックスの心は焦り、震え、緊張をしている。どんな過酷な戦場ですら冷や汗すらかかないはずが手のひらにじんわりと汗をかいている。
「私はアレックスであり、アレックスではございません…ゴドリバー帝国の皇帝アレクサンダー・トゥルナ・ゴドリバー・シリウスと申します。
姿は人の成りをしていますが魔族の中の魔族。魔人の中の魔人であり帝国を治める者。長い時間、仲間や友人はいれど独り身で過ごし、統治をする日々…そして、ツキヨ嬢に出会いました。
この地位も不要と仰れば投げ捨ててでもお父上であるエストシテ王国マルセル・ドゥ・カトレア男爵に正式にツキヨ嬢に結婚の許しをいただきたいと存じます」
アレックス…いやアレクサンダーは頭を下げ続けていたのをマルセルは椅子から飛び降りて狭い書斎の床に膝をつく。
「そ、そんな!あの、皇帝陛下?!か、顔を上げてくださいませ。私のような者にそのような許しを乞うなど…」
「いいえ、カトレア男爵殿。これはお嬢様との婚姻を許していただく大切なことでございます。
申し遅れましたが…私はゴドリバー帝国宰相のレアンドロ・トゥルナ・リゲルと申し、陛下より公爵家の身分を賜る身でございます。そして、陛下の古い友人でもあり帝国を統治するために同じく汗を流してまいりました」
レアンドロもゆっくり膝をつくがマルセルは帝国の宰相で公爵家である事実にも耐えきれず腰を抜かして座り込んでしまった。
「皇帝陛下と宰相閣下…い、今までのご無礼を何卒お許しください!尊い、高貴な方とは存ぜずとはいえなんというご無礼を…申し訳ございません!」
平身低頭、床につくほど頭を下げ続けるマルセルにアレクサンダーは肩を掴み、顔を上げさせる。
「いいや、私は高貴でもなく…ただ血に塗れた日々を過ごす身分だけがあるもの。夜な夜な必要悪となり血を流しています。所詮、皇帝の身分など仮初のもの…しかし、偽っていたことや無礼三昧なこの身を許していただきたい」
「陛下…恐れ多い…娘を自らの過ちで手放してしまったこの愚かな父親に心を砕き手を差し伸べていただいたこと…何と慈悲深くもったいないことでありましょうか。娘が嫁ぐ先が素晴らしい陛下であれば私からは何も申し上げることはございません。
ご無礼ながら、娘を…ツキヨを陛下の優しさで末永く幸せにしてくださいませ」
マルセルの涙が床にぽたぽたと落ちる…アレクサンダーは両手でマルセルの傷だらけの手を握りしめる。
「はい、必ずや。この地が滅びようとも命に代えてお嬢様を幸せにすることを誓います…う…うぅっ…うーっ…」
「陛下のこの涙がなによりも誓いの証…どうか、娘をよろしくお願いいたします…うぅ…う…」
男2人がぽろぽろと泣く。レアンドロもそっと涙を拭った。
しばらく、嗚咽だけが狭い書斎を支配した。
「マルセル…どうか、俺はこれからもアレックスとして呼んでほしい。ツキヨの父として、それから友人として共に過ごそう…身分なんて未だに弱肉強食の不文律のある帝国ではいつどうなるかわからねぇもんだ。皇帝の身分も俺が…ヤングなころに前皇帝から奪ったものなんだ。
もちろん、今も負ける気は無ぇけどな」
顔を拭いた『アレックス』はいつものにかにかした笑顔を浮かべる。
「そうです。俺も似たようなもんで…公爵家の三男坊だけど領地を食い荒らして贅沢三昧をする愚かな兄2人を叩きのめして公爵位を継いだんで…」
『レオ』も恥ずかしそうに笑う。
「今の帝国は…皇帝自らや家族だったりするとは思いますが、ある意味での自浄作用が備わっているということでしょうか…今のエストシテ王国の王は正直いい話は聞かないのです。王は死ぬまで王なので変えることもできないのです。王太子はとても素晴らしい方なのですが…」
涙の跡が少し残るマルセルはアレックスの意志を尊重していつも通り話す。
「まぁ、褒められるもんでもないけどな。所詮は力の世界だって言ってるようなもんだ」
「それでも、長い時間帝国を治めて…ん?そういえばアレックスさんって何才なんですか?」
…。
……。
………。
「…才」
「おい、アレックス聞こえねぇぞ」
「…うひゃ…く才…」
「おぉい…おっさんが、今更そんな隠すもんでもないだろうが!」
「あぁっ!!!だいたい900才くらいだ!!!!だいたい!もう、面倒だからほとんど数えてないんだ!あぁぁぁぁあああっぁ!!!!」
頭を抱えて小さくなってしまった。
「約900才?!え、その…娘17才なんですが…その…あの…父として…」
「わぁぁぁ!恐れていたことがあああ!計算しないで!引き算やめて!算盤を弾かないで!やめて!きゃーーあぁぁぁ!」
もっと小さくなってしまった。
「一応、この人こんなですが人間にすると45才程になります。特に魔人は長命ですので実年齢だけだと驚くと思うけど、俺もだいたい700才で人間だと…35くらいですね」
「約700才…ですか…あは…は…」
マルセルは父として非常に複雑だった…。
マルセルは相変わらずきれいに折りたたまれたハンカチで涙を拭う。
「おう、これならツキヨのおふくろさんも喜ぶしいいじゃねぇか。ついでに商売繁盛だ!」
「商品化した時に使う印もちょっと洒落た印も作らないと…あとは、それの偽物を防ぐための方法も考えないと…」
「私は、とにかく今は一番いい糸を用意しますので…ツキヨにもオリエにも胸を張れるように一番の…最高の糸を準備します!」
涙の跡はあるがマルセルは前を向いて胸を張り、一人の父、夫…そして商売人の顔になっていた。
「そうだなぁ…また3日後に来るからそれまで糸があれば助かるっていうのもあるけどよ。
日取りはまだ決定はしていないが帝国主催の条約締結記念の大舞踏会がある。その時にドレスとしてお披露目をしたいところだ」
「それならば王侯貴族がこぞって参加をしますし、布が目につけば最高の宣伝になりますが、ある程度生産力を向上しないといけないですね。ただ希少価値が欲しいので調整しますが…」
「急に流通すると価値が減る、在庫や糸の生産はしてもらいつつも調整する必要がある…」
相変わらず三人三様の脳内算盤をぱちぱちと弾いていた。
***
「あとは…これは俺の…一個人として…マルセルをツキヨの父親として聞いてほしいことがある…」
狭い書斎でアレックスは立ち上がとマルセルの前に優雅に膝をつき菫色の瞳でマルセルを見つめた。
「アレックスさんからの話…許すこと?…そんなに畏まらないでくださいよ。何ですか?」
「いいや、これは…俺のけじめでもあるんだ」
膝をついたままマルセルに深く頭を下げた。
「俺…いや。わ、私は…偶然にもカトレア男爵家のツキヨ嬢に出会い、そして不思議な運命に導かれるようにマルセル殿と出会いました。いいえ。運命と軽々しく言葉にするのは簡単ではりますが、男性として運命に従いツキヨ嬢に『一緒にいてほしい、結婚をしてほしい』と心から願いました…しかし本来はマルセル殿のお許しをいただいてから伝えるべき言葉であるのに不誠実に急いたことをしたのは事実であり、マルセル殿にお詫びを申し上げます」
「え!?いや、そんな…私はアレックスさんであれば…」
アレックスの心は焦り、震え、緊張をしている。どんな過酷な戦場ですら冷や汗すらかかないはずが手のひらにじんわりと汗をかいている。
「私はアレックスであり、アレックスではございません…ゴドリバー帝国の皇帝アレクサンダー・トゥルナ・ゴドリバー・シリウスと申します。
姿は人の成りをしていますが魔族の中の魔族。魔人の中の魔人であり帝国を治める者。長い時間、仲間や友人はいれど独り身で過ごし、統治をする日々…そして、ツキヨ嬢に出会いました。
この地位も不要と仰れば投げ捨ててでもお父上であるエストシテ王国マルセル・ドゥ・カトレア男爵に正式にツキヨ嬢に結婚の許しをいただきたいと存じます」
アレックス…いやアレクサンダーは頭を下げ続けていたのをマルセルは椅子から飛び降りて狭い書斎の床に膝をつく。
「そ、そんな!あの、皇帝陛下?!か、顔を上げてくださいませ。私のような者にそのような許しを乞うなど…」
「いいえ、カトレア男爵殿。これはお嬢様との婚姻を許していただく大切なことでございます。
申し遅れましたが…私はゴドリバー帝国宰相のレアンドロ・トゥルナ・リゲルと申し、陛下より公爵家の身分を賜る身でございます。そして、陛下の古い友人でもあり帝国を統治するために同じく汗を流してまいりました」
レアンドロもゆっくり膝をつくがマルセルは帝国の宰相で公爵家である事実にも耐えきれず腰を抜かして座り込んでしまった。
「皇帝陛下と宰相閣下…い、今までのご無礼を何卒お許しください!尊い、高貴な方とは存ぜずとはいえなんというご無礼を…申し訳ございません!」
平身低頭、床につくほど頭を下げ続けるマルセルにアレクサンダーは肩を掴み、顔を上げさせる。
「いいや、私は高貴でもなく…ただ血に塗れた日々を過ごす身分だけがあるもの。夜な夜な必要悪となり血を流しています。所詮、皇帝の身分など仮初のもの…しかし、偽っていたことや無礼三昧なこの身を許していただきたい」
「陛下…恐れ多い…娘を自らの過ちで手放してしまったこの愚かな父親に心を砕き手を差し伸べていただいたこと…何と慈悲深くもったいないことでありましょうか。娘が嫁ぐ先が素晴らしい陛下であれば私からは何も申し上げることはございません。
ご無礼ながら、娘を…ツキヨを陛下の優しさで末永く幸せにしてくださいませ」
マルセルの涙が床にぽたぽたと落ちる…アレクサンダーは両手でマルセルの傷だらけの手を握りしめる。
「はい、必ずや。この地が滅びようとも命に代えてお嬢様を幸せにすることを誓います…う…うぅっ…うーっ…」
「陛下のこの涙がなによりも誓いの証…どうか、娘をよろしくお願いいたします…うぅ…う…」
男2人がぽろぽろと泣く。レアンドロもそっと涙を拭った。
しばらく、嗚咽だけが狭い書斎を支配した。
「マルセル…どうか、俺はこれからもアレックスとして呼んでほしい。ツキヨの父として、それから友人として共に過ごそう…身分なんて未だに弱肉強食の不文律のある帝国ではいつどうなるかわからねぇもんだ。皇帝の身分も俺が…ヤングなころに前皇帝から奪ったものなんだ。
もちろん、今も負ける気は無ぇけどな」
顔を拭いた『アレックス』はいつものにかにかした笑顔を浮かべる。
「そうです。俺も似たようなもんで…公爵家の三男坊だけど領地を食い荒らして贅沢三昧をする愚かな兄2人を叩きのめして公爵位を継いだんで…」
『レオ』も恥ずかしそうに笑う。
「今の帝国は…皇帝自らや家族だったりするとは思いますが、ある意味での自浄作用が備わっているということでしょうか…今のエストシテ王国の王は正直いい話は聞かないのです。王は死ぬまで王なので変えることもできないのです。王太子はとても素晴らしい方なのですが…」
涙の跡が少し残るマルセルはアレックスの意志を尊重していつも通り話す。
「まぁ、褒められるもんでもないけどな。所詮は力の世界だって言ってるようなもんだ」
「それでも、長い時間帝国を治めて…ん?そういえばアレックスさんって何才なんですか?」
…。
……。
………。
「…才」
「おい、アレックス聞こえねぇぞ」
「…うひゃ…く才…」
「おぉい…おっさんが、今更そんな隠すもんでもないだろうが!」
「あぁっ!!!だいたい900才くらいだ!!!!だいたい!もう、面倒だからほとんど数えてないんだ!あぁぁぁぁあああっぁ!!!!」
頭を抱えて小さくなってしまった。
「約900才?!え、その…娘17才なんですが…その…あの…父として…」
「わぁぁぁ!恐れていたことがあああ!計算しないで!引き算やめて!算盤を弾かないで!やめて!きゃーーあぁぁぁ!」
もっと小さくなってしまった。
「一応、この人こんなですが人間にすると45才程になります。特に魔人は長命ですので実年齢だけだと驚くと思うけど、俺もだいたい700才で人間だと…35くらいですね」
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