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闇-40
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「…ね、年齢についてですが…ア、アレックスさんやレオさんは人とは少し違いますから仕方ないですよね。ははは」
「そう思ってくれれば助かります…」
「魔人って普通の魔族らに比べて魔気が強い分、長生きで…だいたい2000才くらいまで生きるやつもいる。
俺もまだまだ元気だしよ…それにツキヨも魔族になるわけじゃねぇけど、俺とも長くいられるように儀式をすれば特に問題は無くなる。儀式も傷をつけるとか薬を飲むとか…そういうことでもないから安心してくれ」
「…それであれば…どうぞ、ツキヨを末永く…お、お願い…うぅ…う…します…ぅう…」
「おう、任せてくれ…うぅ…う…」
今度は2人で抱き合っておぃおぃ泣いていた。
【気が合う義理の親子になれそうだな…】
なんとなくほっとしたレオだった。
【ん?アレックスの人に換算した年齢はマルセルさんの方が下になるような…???ま、今は野暮だからいいか…】
男泣き2人はずびずび状態ではあるが、近く行われる予定の条約締結記念の大舞踏会に皇帝とその婚約者として参加してお披露目をすることにした。
「でも、締結後約200年間今まで皇帝陛下は一度も参加したことがなかったかと…確かに賑やかでお披露目には相応しいとは思いますが…」
「参加しなかったのは…めんどーくせーからだ!!」
…。
……。
………。
「すいません。本当に。すいません」
「い、いえ…身分ある方もいろいろ大変ですから…」
レオとマルセルはお互いにぺこぺこと頭を下げていた。
【レオとも気が合うみてぇだな…】
なんとなくほっとしたアレックスだった。
【とにかくマルセルが理解してくれたことと、あとはお披露目であの女房たちをどれだけぎゃふんとさせられるかだ】
にやっと笑うが…想像以上にマリアンナたちが手強いことをこの時は考えてもいなかった。
「じゃあ、また3日後に来るから…よろしくな。親父殿」
「はは…光栄です。その時までには最高級の『オリエ糸』を用意してみますので…あと、これをツキヨに渡してもらえませんか」
マルセルは机の引出しからカトレア家の蝋封がされた封筒と何かを包んだものを取り出した。宛名には『私の娘、ツキヨへ』となっていた。
「…お願いするのもなんか恐縮をしてしまいますがこの間の手紙の返事です。一応中身は私のことや家のことをざっと書いてあります。この事業についてはまだ軌道にも乗っていませんし…ドレスができて舞踏会に来た時にはと思っていますが…あと、以前ツキヨの小屋の前に花が咲いたかとアレックスさんが聞いてましたが…あの後、あの辺りを掘ったらこの球根が1個だけ出てきて…渡してください。お願いします」
「手紙と球根だな。わかったぜ…任せろ!さてと、そろそろ行くか…」
内ポケットに大切にしまったアレックスを見てレオは立ち上がると…ニールの姿に変わってパチリと指を鳴らして結界を解いた。
「アル兄さん。そろそろお暇させていただきましょう」
「あぁ…マルセルさん、また長居をしてしまい失礼しました」
「いやいや、こちらこそ引き留めてしまって申し訳ありません。またゆっくり遊びに来てくださいね」
アルフレッドとニールのためにマルセルが書斎の扉を開けた。
廊下に出ると一瞬でマリアンナたち3人は地面に小さい球を置いて棒で打つという最近広まった新しい娯楽の真似事をしていた…
「おほほほほ…アルフレッド様、ニール様ったら突然にいらっしゃるなんて…偶然でしょうか!今、王都では球を打って遊ぶのが流行っていまして私たちも少々たしなんでおりますの」
「これが今流行っていると聞く球打ち遊びですね。さすが、皆さんお耳が早い。そういった情報に詳しいほうが他家と交流した時、会話に事欠かなくておもてなしもできて…素敵ですね。私はそういう方が好ましいですよ【俺、このいろいろなことが終わったら…遠くへ旅に出るんだ…あぁ…】」
「んっまぁ!そんな、ニール様ったら!おほほほ…娘たちも心得ていることでございましてよ…ほほほ。また、ぜひっ!!!!!!!お二人でいらっしゃってくださいませ。おほほほほほ!」
歩きながらマリアンナは扇子で階段の手すりをばっしんばっしん叩く。
「ぜひ、いらしてくださいね…わたしたち、指折り数えてお待ちしていますわ!」
姉妹のハーモニーが呪詛に聞こえた。
挨拶もそれなりにするしか気力もなくカトレア邸を後にした。
暗い通りに出て周囲を確認して、即影に身を投じた。
いろいろ無理だった。
------------------------
アレックスの私室に戻ると2人は何も会話はせず結界を張る。
「あああああああああああああああああああーーーー!!!!つらい!辛すぎて死ねる!!!」
「ヴぁああああああああああああああああああ!!もうヤダーーーー!!!!!」
「うぉおぉぉおおおおおおおっ!!!!!!!どりゃあああああああああああああああ!」
「そぉっいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!おいさー!」
どったんばったんいい大人が暴れる…そんな夜だった。
翌朝、ツキヨが身支度をしてダイニングへ降りてくると顔色がおかしいアレックスとレオがいた。
「お…お…はようございます…あの…顔色というか目の下にクマが…どうしましたか?」
フロリナがツキヨに紅茶を淹れる。
「いや、ちょっと忙しくてよぉ…ははは…」
「えぇ。情けないですが忙しかったので疲れてしまいまして…」
温かい朝食を冴えない顔色のレオが給仕する。
「あまり無理をしないでくださいね」
【俺はまだまだ頑張れる!頑張れ、俺!行け行け、俺!ゴーゴー、俺!!】
今日の二人には青空が眩し過ぎた。
「そう思ってくれれば助かります…」
「魔人って普通の魔族らに比べて魔気が強い分、長生きで…だいたい2000才くらいまで生きるやつもいる。
俺もまだまだ元気だしよ…それにツキヨも魔族になるわけじゃねぇけど、俺とも長くいられるように儀式をすれば特に問題は無くなる。儀式も傷をつけるとか薬を飲むとか…そういうことでもないから安心してくれ」
「…それであれば…どうぞ、ツキヨを末永く…お、お願い…うぅ…う…します…ぅう…」
「おう、任せてくれ…うぅ…う…」
今度は2人で抱き合っておぃおぃ泣いていた。
【気が合う義理の親子になれそうだな…】
なんとなくほっとしたレオだった。
【ん?アレックスの人に換算した年齢はマルセルさんの方が下になるような…???ま、今は野暮だからいいか…】
男泣き2人はずびずび状態ではあるが、近く行われる予定の条約締結記念の大舞踏会に皇帝とその婚約者として参加してお披露目をすることにした。
「でも、締結後約200年間今まで皇帝陛下は一度も参加したことがなかったかと…確かに賑やかでお披露目には相応しいとは思いますが…」
「参加しなかったのは…めんどーくせーからだ!!」
…。
……。
………。
「すいません。本当に。すいません」
「い、いえ…身分ある方もいろいろ大変ですから…」
レオとマルセルはお互いにぺこぺこと頭を下げていた。
【レオとも気が合うみてぇだな…】
なんとなくほっとしたアレックスだった。
【とにかくマルセルが理解してくれたことと、あとはお披露目であの女房たちをどれだけぎゃふんとさせられるかだ】
にやっと笑うが…想像以上にマリアンナたちが手強いことをこの時は考えてもいなかった。
「じゃあ、また3日後に来るから…よろしくな。親父殿」
「はは…光栄です。その時までには最高級の『オリエ糸』を用意してみますので…あと、これをツキヨに渡してもらえませんか」
マルセルは机の引出しからカトレア家の蝋封がされた封筒と何かを包んだものを取り出した。宛名には『私の娘、ツキヨへ』となっていた。
「…お願いするのもなんか恐縮をしてしまいますがこの間の手紙の返事です。一応中身は私のことや家のことをざっと書いてあります。この事業についてはまだ軌道にも乗っていませんし…ドレスができて舞踏会に来た時にはと思っていますが…あと、以前ツキヨの小屋の前に花が咲いたかとアレックスさんが聞いてましたが…あの後、あの辺りを掘ったらこの球根が1個だけ出てきて…渡してください。お願いします」
「手紙と球根だな。わかったぜ…任せろ!さてと、そろそろ行くか…」
内ポケットに大切にしまったアレックスを見てレオは立ち上がると…ニールの姿に変わってパチリと指を鳴らして結界を解いた。
「アル兄さん。そろそろお暇させていただきましょう」
「あぁ…マルセルさん、また長居をしてしまい失礼しました」
「いやいや、こちらこそ引き留めてしまって申し訳ありません。またゆっくり遊びに来てくださいね」
アルフレッドとニールのためにマルセルが書斎の扉を開けた。
廊下に出ると一瞬でマリアンナたち3人は地面に小さい球を置いて棒で打つという最近広まった新しい娯楽の真似事をしていた…
「おほほほほ…アルフレッド様、ニール様ったら突然にいらっしゃるなんて…偶然でしょうか!今、王都では球を打って遊ぶのが流行っていまして私たちも少々たしなんでおりますの」
「これが今流行っていると聞く球打ち遊びですね。さすが、皆さんお耳が早い。そういった情報に詳しいほうが他家と交流した時、会話に事欠かなくておもてなしもできて…素敵ですね。私はそういう方が好ましいですよ【俺、このいろいろなことが終わったら…遠くへ旅に出るんだ…あぁ…】」
「んっまぁ!そんな、ニール様ったら!おほほほ…娘たちも心得ていることでございましてよ…ほほほ。また、ぜひっ!!!!!!!お二人でいらっしゃってくださいませ。おほほほほほ!」
歩きながらマリアンナは扇子で階段の手すりをばっしんばっしん叩く。
「ぜひ、いらしてくださいね…わたしたち、指折り数えてお待ちしていますわ!」
姉妹のハーモニーが呪詛に聞こえた。
挨拶もそれなりにするしか気力もなくカトレア邸を後にした。
暗い通りに出て周囲を確認して、即影に身を投じた。
いろいろ無理だった。
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アレックスの私室に戻ると2人は何も会話はせず結界を張る。
「あああああああああああああああああああーーーー!!!!つらい!辛すぎて死ねる!!!」
「ヴぁああああああああああああああああああ!!もうヤダーーーー!!!!!」
「うぉおぉぉおおおおおおおっ!!!!!!!どりゃあああああああああああああああ!」
「そぉっいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!おいさー!」
どったんばったんいい大人が暴れる…そんな夜だった。
翌朝、ツキヨが身支度をしてダイニングへ降りてくると顔色がおかしいアレックスとレオがいた。
「お…お…はようございます…あの…顔色というか目の下にクマが…どうしましたか?」
フロリナがツキヨに紅茶を淹れる。
「いや、ちょっと忙しくてよぉ…ははは…」
「えぇ。情けないですが忙しかったので疲れてしまいまして…」
温かい朝食を冴えない顔色のレオが給仕する。
「あまり無理をしないでくださいね」
【俺はまだまだ頑張れる!頑張れ、俺!行け行け、俺!ゴーゴー、俺!!】
今日の二人には青空が眩し過ぎた。
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