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第14話 吾輩は生魚が苦手である
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人間どもは我輩を勘違いしている。
全ての猫が生魚を好むと思ったら大間違い。
我輩はあまりそれらを好まない。
正確には生より火の通ったモノの方が好みなのだ。
しかし猫の特性上、目の前に出されればつい手を出してしまう。
特に駄菓子屋のバアさんに言いたい。
イカは生も加工品もヤメてくれと!
そこへいくと商店街の魚屋は弁えてか、それなりに良質なものを提供してくる。
ハマチなどの刺し身は新鮮過ぎて好きな者ならば涙を流して喜ぶに違いない。
時々身についてる白い糸クズなどまだ動いているときがあるのもこれまた事実。
まるで虫みたいに蠢くのが不気味なるも、新鮮な証ということで毎回一緒に頂く。
とにかく新鮮さに拘る魚屋の仕事は称賛に値するのである。
それと夏になれば決まって出される酸っぱい刺し身。
粘り強い糸を引くとろけそうな程クタクタな身。
臭いをガマンして口に含むとこれがまたうまいのなんの!
以前肉屋で口にした深緑色の松阪牛にタメを張る旨さなのだ!
毎回このようなモノを提供しろと人間どもに言いたい!
そう、生もバカにしたモノではないな。
熟成サイコーッ!!
理由は分からないが、毎回一週間ほど下痢で寝たきりとなるのは何故だろうな。
― そして現在 ―
今日の仕事現場は公園の横を流れる川の堰堤付近。
母上に献上するウシガエルを捕獲しに来たのである。
ヤツラは警戒心が強い。
悟られぬよう草むらに身を隠していた。
そんな時、ポンと目の前に魚が。
どこぞのお節介な釣り人が釣りたての魚を恩着せがましく与えようとしたらしい。
調理もされていない生の魚をこの我輩にだ!
なめるなよ人間めが!
猫全てがが生魚大好きと思ったら大間違いだぞこの愚か者がっ!
しかもこの魚は〝ブルーギル〟と呼ばれるくっさいくっさい川の嫌われ者だぞ!
おまけにその身には寄生虫がウジャウジャいるらしいではないか?
そんな危険物を我輩に与えるなどと……せめてその辺りにいる赤耳亀にしないか!
もしくは熱を通せと声を大にして言いたい!
腹が立ったから様々な釣り道具が収められた箱を川の中へ蹴り落としてやった。
序に竹で出来た〝竿〟と呼ばれる物の穂先も全部へし折ってやる。
更にグリップ付近へ施された名前らしき物も丁寧に爪で削っておく。
ふぅー、こんなもんか?
まだ何かやり足りない気もするが……。
気付けば空が赤く燃える時間となっていた。
タイムカード代わりに今日の就業記録として停車中の車を爪でガリガリっとな。
うん、下地が見えるほどクッキリバッチリだ。
グッジョブ我輩!
こうして泣きながら喜ぶ釣り人を後にその日の仕事を切り上げた。
なにせ本日はノー残業デーなのだから。
今日も熟した業務を振り返りつつ、明日行う仕事の予定を考える我輩であった。
全ての猫が生魚を好むと思ったら大間違い。
我輩はあまりそれらを好まない。
正確には生より火の通ったモノの方が好みなのだ。
しかし猫の特性上、目の前に出されればつい手を出してしまう。
特に駄菓子屋のバアさんに言いたい。
イカは生も加工品もヤメてくれと!
そこへいくと商店街の魚屋は弁えてか、それなりに良質なものを提供してくる。
ハマチなどの刺し身は新鮮過ぎて好きな者ならば涙を流して喜ぶに違いない。
時々身についてる白い糸クズなどまだ動いているときがあるのもこれまた事実。
まるで虫みたいに蠢くのが不気味なるも、新鮮な証ということで毎回一緒に頂く。
とにかく新鮮さに拘る魚屋の仕事は称賛に値するのである。
それと夏になれば決まって出される酸っぱい刺し身。
粘り強い糸を引くとろけそうな程クタクタな身。
臭いをガマンして口に含むとこれがまたうまいのなんの!
以前肉屋で口にした深緑色の松阪牛にタメを張る旨さなのだ!
毎回このようなモノを提供しろと人間どもに言いたい!
そう、生もバカにしたモノではないな。
熟成サイコーッ!!
理由は分からないが、毎回一週間ほど下痢で寝たきりとなるのは何故だろうな。
― そして現在 ―
今日の仕事現場は公園の横を流れる川の堰堤付近。
母上に献上するウシガエルを捕獲しに来たのである。
ヤツラは警戒心が強い。
悟られぬよう草むらに身を隠していた。
そんな時、ポンと目の前に魚が。
どこぞのお節介な釣り人が釣りたての魚を恩着せがましく与えようとしたらしい。
調理もされていない生の魚をこの我輩にだ!
なめるなよ人間めが!
猫全てがが生魚大好きと思ったら大間違いだぞこの愚か者がっ!
しかもこの魚は〝ブルーギル〟と呼ばれるくっさいくっさい川の嫌われ者だぞ!
おまけにその身には寄生虫がウジャウジャいるらしいではないか?
そんな危険物を我輩に与えるなどと……せめてその辺りにいる赤耳亀にしないか!
もしくは熱を通せと声を大にして言いたい!
腹が立ったから様々な釣り道具が収められた箱を川の中へ蹴り落としてやった。
序に竹で出来た〝竿〟と呼ばれる物の穂先も全部へし折ってやる。
更にグリップ付近へ施された名前らしき物も丁寧に爪で削っておく。
ふぅー、こんなもんか?
まだ何かやり足りない気もするが……。
気付けば空が赤く燃える時間となっていた。
タイムカード代わりに今日の就業記録として停車中の車を爪でガリガリっとな。
うん、下地が見えるほどクッキリバッチリだ。
グッジョブ我輩!
こうして泣きながら喜ぶ釣り人を後にその日の仕事を切り上げた。
なにせ本日はノー残業デーなのだから。
今日も熟した業務を振り返りつつ、明日行う仕事の予定を考える我輩であった。
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