仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第15話 吾輩は弱っているのである!

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 最近調子が悪い。
 夏バテなのだろうか?

 体力増強の為にと食べた蛙の効き目がないとは……。
 昨日など普段なら絶対口にしない野性のドブネズミまで食したというのに。

 
 「ニャゴローいる? なんだか元気ないね?」

 美也殿に難なく捕まってしまった我輩。
 最早逃げる気力体力何もない。
 彼女は我輩を抱きかかえたまま、近所のバイク屋へ。

 「ねぇおじさん、動物のこと詳しいでしょー? あのね、ニャゴローの様子がおかしいの。なんだか……元気ない感じ?」

 ニヤリと不気味に笑う主人に不安を覚える。
 我輩をぞんざいに扱えばキサマの家ではもう仕事をしないぞ!

 「美也ちゃんこりゃだよ」

 「?」

 バカかキサマは?
 もし〝ニャ―〟以外の発声が出来ればボロカスこき下ろすところだぞゴミ虫めっ!

 「美也ちゃんがあまりにも可愛いから好きになっちゃったんだよきっと」

 「うそっ! ホント!?」

 我輩が美也殿を?
 ないないないないない絶対にないっ!
 そんなのは我輩の前足と後ろ足が前後入れ替わるよりもあり得ないわ!
 冗談はその汚いツラだけにするんだぞゴミ虫めがっ!

 「そこでいいこと教えてあげるよ美也ちゃん。〝ハバネロ〟とよばれる薬をニャゴローの粘膜という粘膜に塗りたくるんだよ。そうすればもっと好きになって何でも言うことを聞いてくれると思うよ。もちろん元気モリモリにもあるだろうし」

 ハバネロ?
 どこかで聞いた覚えが……。
 効用は忘れたが、確かにヤツの言う通り薬だったと思ったがハテ?

 「ねぇおじさん。それは薬局行けば売ってる?」

 「いや、本来はスーパーだけど……あ、ちょっと待ってなよ! 家にあったはずだから!」

 普段は仕事に対する情熱がゼロのクセに、我輩のことになるとノリノリだな。
 いくら我輩が愛くるしいと言えど、そんな趣味は無いぞ?

 「はいお待たせー。お兄ちゃんの部屋でゆっくり塗ってあげなよ。臭い部屋の方がニャゴローも安心すると思うからな」

 「おじさんありがとー! 帰ったら早速塗るねー!」

 
 我輩がこの後剥き出しの内臓を剣山でエグられるような激痛に見舞われたのは言うまでもない。ついでに両目を血走らせてジャバジャバと水で顔を洗う美也殿の姿もそこにあったそうな。
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