17 / 218
第17話 吾輩は暫く働けないのである!
しおりを挟む我輩の髭が重要なのは誰もが知っていること。
と思っていた。
「ニャゴローもお髭が伸びて来たわねー? 切っちゃいましょう。チョッキンチョッキンっとな」
綺麗に揃えられた口髭はダンディーな男の証。
…………。
そんな訳あるかっ!
またしても美也殿の思い付きで罠に落ちてしまった。
そして頻発する髭カットによる弊害。
通りすがりの人間に写真を撮られるといった猫にあるまじき醜態を何度晒したか。
恥ずかしいけどここにいくつかの例をあげてみよう。
第一打席:バイクのスポークに挟まる。
第二打席:猫缶に顔がハマり抜けなくなる。
第三打席:窓枠に備え付けられたアルミ製の手摺に挟まり抜け出せなくなる。
第四打席:ズレたマンホールを覗こうとしてそのまま下水道へダイブ。
第五打席:ガラス戸の隙間と自分の幅に対する目測を誤りサッシに直撃。
第六打席:草むらを走って茂みの隙間に飛び込んだら新井君(アライグマ)の家。
第七打席:アンジョウ号なるご子息愛用自転車の荷台に挟まる。
第八打席:美也殿を小馬鹿にして腕の隙間をすり抜けようも即ヘッドロック。
第九打席:好奇心から雨どいに顔を突っ込んで抜けなくなり、溺れる。
このように、無くなっただけで感覚がマヒ!
全猫類の敵、美也殿には天罰を!
などと野良ミーティングで意見を述べたらば、商店街に住むニャン吉は言う。
お前はまだマシだと。
彼は以前美也殿に爪を全部切られたことがある兵だ。
伸びるまでの受難を赤裸々にこう語る。
第一レース:魚屋の小魚が盗めなくなる。
第二レース:少しでも安全を図る為、高い場所を歩こうにも移動が困難。
第三レース:バイク屋の親父を引っ掻くことが出来ない。
第四レース:窮鼠猫を噛む状況で一方的にバイトされる。
第五レース:ウシガエルさえ巨大な敵。
第六レース:うんちに砂をかけるとき、直接触ってしまう事が増えた。
第七レース:50cmの溝さえ踏ん張りがきかずに飛び越えられない。
第八レース:犬をバカにして塀の上に逃げようとするも登れずに無事死亡。
第九レース:派閥争いや縄張り争いを遠目に見る事しかできない。
第十レース:同族でケンカの場合は得物を持つ相手に対し素手感ハンパない。
第十一メインレース:木登りしようも爪が引かからずバックドロップ状態で落下。
第十二レース:無意識に爪を研ぐ行為をするも、様々なモノで肉球をザクザクに。
メインレースでフフッとなる我輩。
他猫の不幸は何故こうも胸がすく思いになるのか。
そして気付けばその後は美也殿の悪口に。
何れは猫どころか、全世界の生物を敵にしてしまうのではと少しだけ彼女に同情。
せめて我輩ぐらいは甘えてやるとしようか。
その後、髭どころか爪をも失ったハチワレ猫が各地で目撃される事となる。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる