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第57話 吾輩は小さな命を救うのである!
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仕事終わりで一杯ひっかける為に立ち寄った公園。
さて、今宵はどんなつまみが置いてあるのだろうか?
チッ!
今日はドライフードだけなんてシけてやがる!
毎日毎日ワンパターンが!
偶にはホッケの干物でも置いて行かんか馬鹿者めがっ!
などとブツブツいいながらも、その場にドンと腰を据える。
仕方なくカリカリ齧っていると、川で釣りをしている人間が目に留まった。
どれどれ、我輩がレクチャーをしてやろう。
「ウニーャン?」
先ずは腹を出して敵ではないアピール。
この姿に参らない人間は皆無。
ヌヌ?
一瞬チラリとこちらを向くも、殆ど無視ではないか?
イラっとしたからそーっと道具の入った箱を川へ流す。
「あっ! 道具がっ!? ……あれ、この猫以前も……って事はお前が犯人かっ!」
愉快愉快!
ヤツ自体は早口で何を言っているのかイマイチ聞き取れない。
それでも道具箱を追って慌てふためくその姿の滑稽足るやなんとやら!
「ぜ~~……ぜぇ~~~っ……」
息を切らしてまで取りに行くなど、それはそんなに重要なモノなのか?
戻ってくるなり我輩に向かって何かを話し始める人間。
「こ、ここでお前を酷い目にあわすなんて簡単な事だが、誰に見られているとも限らん! てな訳で、お前と友好を結ぶためにプレゼントを用意した」
ヤツは我輩の目の前に一匹の魚を差し出す。
それはもう、ピチピチ飛び跳ねるこれ以上ない新鮮な魚を。
「その寄生虫だらけの〝ブルーギル〟を友好の証として受け取れ! そしてあり得ない程の寄生虫症で悶えシネっ!」
早口で聞き取りづらいが、この回虫だらけの魚をくれた訳ではあるまいな?
まさか食べろといっているのではなかろう?
だったらぶっ殺すぞこのホモサピエンスめがっ!
「どうした? 早く食べないか? 急がないと死んで鮮度が落ちてしまうぞ?」
多少なりとも聞き取れたのは〝急がないと死ぬ〟であった。
この魚を助けろと言っているのか?
もしかして我輩の早とちり?
ようしわかった!
今回は救急隊員として働こうではないか!
我輩それを咥えると、ダッシュでこの場を立ち去った。
この時の彼は、まるで悪魔の様な顔つきだったことを我輩一生忘れないだろう。
小さいとはいえ、折角もらったこの命。
尽きてしまう前に何とかしなくては!
幸いまだ息はある。
それにしてもなんと生命力の強い魚だ。
走り出して5分、バイク屋に到着。
ゴミ虫の目を盗んで熱帯魚水槽の中へポイーッ!
他の魚たちに比べれば綺麗さは劣るものの、その存在感は素晴らしい。
暫くすると水に馴染んだのか、近くを通る魚をパクーッ!
次から次へとパクパクーッ!
これで元気を取り戻したと一安心した我輩は、悠々家へ帰る事に。
今日も頑張ったニャー。
次の日バイク屋の前で、空になった水槽が洗って干してあったそうな。
さて、今宵はどんなつまみが置いてあるのだろうか?
チッ!
今日はドライフードだけなんてシけてやがる!
毎日毎日ワンパターンが!
偶にはホッケの干物でも置いて行かんか馬鹿者めがっ!
などとブツブツいいながらも、その場にドンと腰を据える。
仕方なくカリカリ齧っていると、川で釣りをしている人間が目に留まった。
どれどれ、我輩がレクチャーをしてやろう。
「ウニーャン?」
先ずは腹を出して敵ではないアピール。
この姿に参らない人間は皆無。
ヌヌ?
一瞬チラリとこちらを向くも、殆ど無視ではないか?
イラっとしたからそーっと道具の入った箱を川へ流す。
「あっ! 道具がっ!? ……あれ、この猫以前も……って事はお前が犯人かっ!」
愉快愉快!
ヤツ自体は早口で何を言っているのかイマイチ聞き取れない。
それでも道具箱を追って慌てふためくその姿の滑稽足るやなんとやら!
「ぜ~~……ぜぇ~~~っ……」
息を切らしてまで取りに行くなど、それはそんなに重要なモノなのか?
戻ってくるなり我輩に向かって何かを話し始める人間。
「こ、ここでお前を酷い目にあわすなんて簡単な事だが、誰に見られているとも限らん! てな訳で、お前と友好を結ぶためにプレゼントを用意した」
ヤツは我輩の目の前に一匹の魚を差し出す。
それはもう、ピチピチ飛び跳ねるこれ以上ない新鮮な魚を。
「その寄生虫だらけの〝ブルーギル〟を友好の証として受け取れ! そしてあり得ない程の寄生虫症で悶えシネっ!」
早口で聞き取りづらいが、この回虫だらけの魚をくれた訳ではあるまいな?
まさか食べろといっているのではなかろう?
だったらぶっ殺すぞこのホモサピエンスめがっ!
「どうした? 早く食べないか? 急がないと死んで鮮度が落ちてしまうぞ?」
多少なりとも聞き取れたのは〝急がないと死ぬ〟であった。
この魚を助けろと言っているのか?
もしかして我輩の早とちり?
ようしわかった!
今回は救急隊員として働こうではないか!
我輩それを咥えると、ダッシュでこの場を立ち去った。
この時の彼は、まるで悪魔の様な顔つきだったことを我輩一生忘れないだろう。
小さいとはいえ、折角もらったこの命。
尽きてしまう前に何とかしなくては!
幸いまだ息はある。
それにしてもなんと生命力の強い魚だ。
走り出して5分、バイク屋に到着。
ゴミ虫の目を盗んで熱帯魚水槽の中へポイーッ!
他の魚たちに比べれば綺麗さは劣るものの、その存在感は素晴らしい。
暫くすると水に馴染んだのか、近くを通る魚をパクーッ!
次から次へとパクパクーッ!
これで元気を取り戻したと一安心した我輩は、悠々家へ帰る事に。
今日も頑張ったニャー。
次の日バイク屋の前で、空になった水槽が洗って干してあったそうな。
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