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第61話 吾輩は特異な習性がある!
しおりを挟む最近至る場所に罠が仕掛けられている。
性格上、床に輪っかなどを置かれると、入らずにいられないのである。
それはなにも丸に限った訳では無い。
〝丁度いいサイズ〟
これに尽きる!
更に夏という季節は色々な意味で我輩達を殺しにかかってくる。
暑さといったナチュラルアタックが、罠に追加効果を乗せてくるのだ。
道路を歩いているときのこと。
錆色の混ざった〝まあるいモノ〟を発見!
早速座ると……
{ジュッ}
「ニギャアッ!」
危なく猫ステーキになるところであった。
あの素材は特に危険で、評価はトリプルAだ。
〝汚水〟と彫刻してあるものは要注意だな。
家の周りを探索していると、〝水道栓〟と地面に書かれたモノが。
ドレドレと思い、そーっと前足から……
{ジュジューッ}
「ニギャギャアッ!」
少しだけ肉球を痛める。
皮がべろりと剥がれ、ぐちゅぐちゅとなったがまぁ軽症の部類だな。
どうやら自然の熱量で加熱されていたらしい。
注意注意っと。
度重なる仕打ちにイライラも募る我輩。
冬は冬で寒すぎるし、夏は夏で暑すぎる。
一体この国はどうなっているのだ!
腹が立ったので、公園にばら撒いてある餌を全部食べてやることにした。
一匹占めしてやるのだ!
などと息を巻いて猛ダッシュ!
知らないうちに前足のダメージも増加。
でも泣かないんだから!
すると、駐車場の入り口付近に何やらまあるいモノが。
近づいてみると、我輩の顔がギリギリ入りそうな穴。
って事は、もしや体も入るのでは?
そっと後ろ足を入れてみると……なんだかいけそう!
やがてお尻まですっぽりと……すっぽり?
動けない!
下半身が完全に嵌ってしまい、どうにも足が動かせない!
今の状態を外から見れば、まるでプールで溺れかけた人が、必死でプールサイドにしがみついている格好と同じだろう。
惨め過ぎる!
なんとか脱出しようと、必死にもがく我輩!
この時、数メートルほど離れた横隣にある不思議なものが視野に入った。
「ニャニャッ!」
なんとそこには我輩と全く同じ状態の猫が!
よーく目を凝らして見ると、どうやらニャー吉のようだ。
全くもって間抜けな格好。
これが笑わずにいられるか!
「ニャハハ!」
勿論、向こうも我輩を見て大爆笑。
バカとマヌケの笑い合い。
次の日、公園の駐車場出入り口にあるポールを差し込む穴から、レスキュー隊員によって救出される猫二匹のほっこりニュースが新聞の一面を飾った。
この時どちらの猫も、なぜか前足には火傷の跡があったそうな。
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