96 / 218
第96話 吾輩はセールのお手伝いをするのである
しおりを挟む
今日は商店街のスーパーで周年セールが行われる。
我輩の仕事は今回そのお手伝い。
朝9時開店との事なので、我輩は9時10分ごろ出かけるとしよう。
重役出勤とでも言えばいいのかな?
―― 9時30分 ――
ゴミ虫との格闘ですっかり遅れてしまった!
それでも人出を見るに、まだ大丈夫のようだ!
半分死にかけの老人が自動扉を開けると同時にシレっと入店。
ほほぅ。
結構なお客の量だな。
仕事のやりがいがありそうだ。
手始めにパッキングされた巨峰を集中的に爪で刺す。
時々隣のマスカットも。
あっ!
桃ではないか!
これを肉球でグ~~~っと押すと猛烈気持ちが良いのだ!
そんな訳で手あたり次第ギュッギュと全体重をかけて押す。
数分後には我輩の芸術ともいえる足跡が茶色く浮かび上がる事だろう。
しかし先ほどから鼻を突くこの臭いはなんだ?
非常に不愉快極まる!
クンクンと嗅ぎながら臭いの元をたどるとそこにはキノコが!
杉なのか松なのか訳の分からない葉っぱの上に置かれて大層御立派な事だな!
しかもまだ熟していない小さなミカンまで添えて!
なになに……こくさ……ん……ひろし……ま?
えぇい面倒だ!
キサマなどこうしてやるっ!
爪を引っかけて行使するズタズタの刑に処す!
ニャーッハッハッハ!
と、これがまた非常に面白く裂けるモノなんだな。
ちょっと爪を刺してスッと引くだけ。
たったそれだけで見事にパックリ裂けてしまうのだ。
それを何度も繰り返しているうちに見る影もなくなってしまう。
これを後50本ほどやって今日のノルマ達成とするか。
結構な重労働だが仕事なのだから仕方がない。
動かすのは口ではなく、前足としよう。
30本を過ぎた辺りでなにやら騒がしくなる店内。
我輩は尖った両耳を使い、情報収集を開始。
(猫が……)
(猫ちゃんが……)
(松茸が大変なことに……)
(教えてあげた方がいいんじゃない……)
(早く店員さんに報告をしてあげなきゃ……)
嫌な予感がする。
ハッキリ聞き取れなくとも、全人間がこちらの事を指させば自ずと理解できる。
我輩自身、不幸の前触れだなと直感。
となれば早急に離脱!
自動扉の開くタイミングに合わせてダーッシュ!
素人ならここでそのまま走り去るのだが、ベテランの我輩は一味違う。
途中ニャン吉の塒に立ち寄り、彼へ近くのスーパーでクサヤをばら撒いていると偽の情報を流す。
あの臭いが大好きなニャン吉は堪らずダッシュ!
速攻店内へと駆けこんだ!
(店員さんこの猫よ!)
(私見たもの!)
(間違いなくこの三毛猫が犯人よ!)
(ブドウも松茸も全部この三毛猫のせいよっ!)
人間の目撃情報など如何にいい加減かよく分かるな。
それはさて置き、今日も仕事頑張りましたねぇ~。
我輩の仕事は今回そのお手伝い。
朝9時開店との事なので、我輩は9時10分ごろ出かけるとしよう。
重役出勤とでも言えばいいのかな?
―― 9時30分 ――
ゴミ虫との格闘ですっかり遅れてしまった!
それでも人出を見るに、まだ大丈夫のようだ!
半分死にかけの老人が自動扉を開けると同時にシレっと入店。
ほほぅ。
結構なお客の量だな。
仕事のやりがいがありそうだ。
手始めにパッキングされた巨峰を集中的に爪で刺す。
時々隣のマスカットも。
あっ!
桃ではないか!
これを肉球でグ~~~っと押すと猛烈気持ちが良いのだ!
そんな訳で手あたり次第ギュッギュと全体重をかけて押す。
数分後には我輩の芸術ともいえる足跡が茶色く浮かび上がる事だろう。
しかし先ほどから鼻を突くこの臭いはなんだ?
非常に不愉快極まる!
クンクンと嗅ぎながら臭いの元をたどるとそこにはキノコが!
杉なのか松なのか訳の分からない葉っぱの上に置かれて大層御立派な事だな!
しかもまだ熟していない小さなミカンまで添えて!
なになに……こくさ……ん……ひろし……ま?
えぇい面倒だ!
キサマなどこうしてやるっ!
爪を引っかけて行使するズタズタの刑に処す!
ニャーッハッハッハ!
と、これがまた非常に面白く裂けるモノなんだな。
ちょっと爪を刺してスッと引くだけ。
たったそれだけで見事にパックリ裂けてしまうのだ。
それを何度も繰り返しているうちに見る影もなくなってしまう。
これを後50本ほどやって今日のノルマ達成とするか。
結構な重労働だが仕事なのだから仕方がない。
動かすのは口ではなく、前足としよう。
30本を過ぎた辺りでなにやら騒がしくなる店内。
我輩は尖った両耳を使い、情報収集を開始。
(猫が……)
(猫ちゃんが……)
(松茸が大変なことに……)
(教えてあげた方がいいんじゃない……)
(早く店員さんに報告をしてあげなきゃ……)
嫌な予感がする。
ハッキリ聞き取れなくとも、全人間がこちらの事を指させば自ずと理解できる。
我輩自身、不幸の前触れだなと直感。
となれば早急に離脱!
自動扉の開くタイミングに合わせてダーッシュ!
素人ならここでそのまま走り去るのだが、ベテランの我輩は一味違う。
途中ニャン吉の塒に立ち寄り、彼へ近くのスーパーでクサヤをばら撒いていると偽の情報を流す。
あの臭いが大好きなニャン吉は堪らずダッシュ!
速攻店内へと駆けこんだ!
(店員さんこの猫よ!)
(私見たもの!)
(間違いなくこの三毛猫が犯人よ!)
(ブドウも松茸も全部この三毛猫のせいよっ!)
人間の目撃情報など如何にいい加減かよく分かるな。
それはさて置き、今日も仕事頑張りましたねぇ~。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる