仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第97話 吾輩はほんの少し悪戯心が芽生えただけである!

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 今日も商店街へ仕事の一つもしようと三河家を出る我輩。
 途中、ゴミ虫と挨拶を交わし、病院に差し掛かった辺りでふと空を見上げる。
 本当に偶然だが、その位置にある塀の上で休憩中のニャー吉を視界にとらえた。
 
 よく見ると彼はなにかに気を取られている様子。
 なので、脅かしてやることに。

 電柱の陰に隠れ、あれこれ画策していると、散歩途中のニャン吉と遭遇。
 ここで一筋の光明が!
 
 しつこく何をしているのかと聞いてくるのでそれを利用してやる。
 塀の上にいるニャー吉がキサマの好きなニヤちゃんを口説いてるぞと。
 あの軟派野郎にかかれば子供を作るなぞ造作もない事だぞと。

 激高するニャン吉! 
 思った通りだ!

 彼は塀を一気に駆け上り、そのままニャー吉へ体当たりを!
 しかし計算外だったのはその後である!

 {ドン!}
 「ニャギッ!!」

 「バウッ!?」

 運悪くビーグル犬の上へ落ちたらしい。
 普段とても温厚な犬だが、突然の来訪に聊か驚いたようである。
 確認の為、塀の上からそれ等を見守るニャン吉の横へ我輩も上ると……

 「ガウガウガウガウガウガウガウゥッ!」

 「ニャイィィィィィィィィッ!」

 いくら猫が素早いと言え、全体重を掛けられて抑え込まれればお手上げ状態に!
 パニクって正常さを欠いたビーグル犬は牙をむいての連続バイト!

 見る見るボロ雑巾になって行くニャー吉。
 まるで野生動物のドキュメンタリーを見ているようで現実感が湧かない。
 
 あーなってしまえば小さなドラ猫なぞひとたまりもない。
 我輩もニャン吉の横で一部始終を見学、今後気負つけようと心に決める。

 まあ、延々続けられる残虐ショーを見ていても変化がないからツマラナイな。
 そんなワケで仕事へ戻るとするか。

 我輩は元居た道路に戻ろうと、細い塀の上で反転して……あ!

 {ドンッ!} 
 「アニャン!?」

 ケツドンでニャン吉を塀の下へ押し出してしまった!
 となれば当然、

 「バウバウバウバウバウバウバウバウッ!」

 「ギニャイィィィィィィィッ!」

 あーあ。
 三毛猫が四毛猫に……。
 ま、いっか!

 してしまった事を今更悔いても仕方がない。
 我輩は先程までの出来事をキレイサッパリ忘れて仕事へ戻る。


 今日はどんな仕事をしましょうかねぇ。
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