仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第101話 吾輩は仕事の反省会をするのである

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 世間では新学期が始まった!
 猫達の天敵である美也殿も例外ではない!
 これで仕事が捗ろうってものよ。

 早速我輩達は公園に集まり猫集会を開く。
 この夏思い通りにいかなかった業務に対しての反省会。

 
 ―― ニャー吉 ――
 
 最近何者かが園内を荒している。
 警備業務で警戒するも、犯猫の尻尾すらつかめないのだとか。
 時には巧みに気配を消して、背後から襲い掛かってくることもあるらしい。
 
 一時川で溺れた姿を見かけたが、まさかあれが犯猫だったとは思わなかったと。
 その事を非常に後悔して、今回反省会への報告を決心したそうだ。
 
 ふむ、犯猫はどんなヤツなのだろう?
 多分ハチワレで……。

 
 ―― ニャン吉 ――

 商店街での悪評が絶えない。
 どこへ行っても追いかけられる始末。
 しかも全ての人間は目が血走っていると。
 あれは本気で殺しに来ているんだと。

 探偵業の傍ら、彼独自に調査したところ、どうやらニセモノが居るのだとか。
 自然の三色ではなく、茶色の部分が粉っぽいそう。
 彼曰く、自分を騙る犯猫は白と黒の二色。
 茶色は後から追加で偽装しているとのこと。
 
 だが相手は相当キレるらしい。
 これ以上の痕跡を残さないから捜査は行き止まり。
 なにぶん、商店街の人間を避けながらの調査にも限界があるのだとか。
 それ等を反省し、一人では無理との事で、今回皆に協力を仰ぎに来た。
 
 なるほど、でも我輩はなんとなく手伝いたくない気分だな。

 
 ―― ニャン太郎 ――

 食う寝る遊ぶが彼の信条だそうだ。
 要は怠け者。
 仕事を与えても必ず中途半端。
 おかげで毎回他の猫が迷惑を被る。

 あえて挙げるならば、病院の飼い犬が食べるご飯をかすめ取るのが仕事?
 スリ師宛らチンピラと同じ。
 彼は反省する事すらないのが反省点なのだろう。

 我輩の信条とは全く逆だな。
 今度は犬でなく、道路を走る車に体当たりでもさせてみるか。

 
 ―― 我輩 ――

 ここまで誰もその名前を出さなかったが、美也殿こそ商売敵!
 毎回仕事の妨害をしてくる。
 しかも日に日に猫を捕まえるのが上達しているのだ!
 このままではこの街の猫は滅びてしまうぞ!?

 誰も名前を出さないのは、思い出したくないからであろう。
 三毛猫のボロ雑巾や、ドラ猫の生ゴミをこの夏何度見た事か……。
 きっと彼等はその存在すら脳裏から消去したいず。
 
 ならは反省点はこれしかあるまい!
 そう、美也殿をこの世から抹殺……

 「あっ! ニャゴロー、ここに居たんだ? 他の猫ちゃん達も一緒で仲いいんだねアンタ達。家にクサヤがあったから持ってきてあげた。ホラ、みんなで分けて食べなよ。んじゃ、ここ置いてくから。それとあんまり帰るの遅くなっちゃだめだよ! 危ないんだから!」

 「ニャ~ン?」

 
 記憶力抜群の猫達は彼女に近づき、体スリスリ攻撃で翻弄するのであった。
 彼女から酷い目にあわされた事を思い出したのも忘れてゴロゴロニャンニャン。
 飴と鞭とはよく言ったものである。
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