仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第211話 吾輩は暗闇でも目が見えるのである

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 今日は夜勤である。
 我輩の得意な仕事の一つ。
 人間が見えないところでもよ~く見えるのだ。
 フッフッフ。

 
 さて、時刻は丑の刻。
 この世のモノではない者達が蠢く時間となる。
 それは我輩達も例外ではない。
 いや、まだ死んでないけれども。

 そんな訳で真夜中に塒を出発。
 商店街の治安を守る為、各店へと見回りに。

 そしてそれは肉屋の店内で起きた。
 出たのだアレが!


 商店街に到着した我輩は先ず肉屋へ。
 ここは店主が抜けているから何時も裏口の鍵をかい忘れる。
 しかもノックがパーでしっかり閉まらないときてるのだ。

 {ギイィィィ……}

 思った通り。
 前足で軽く押しただけで開いた。
 その瞬間!

 {カサカサカサカサカサ!}

 やつらだ!
 ブラックサファイヤではないか!
 うっほー、宝の山!

 通常黒い宝石は寒さに弱い。
 ヤツラは冷蔵庫のコンデンサー部分が発する熱で生きながらえたとみえる。
 あんなものでも考える能力があるのだな。
 
 おっと、こんなことを言っている場合ではないな。
 採集採集っと!
 美也殿や小織殿の泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶわ!
 我輩はなんと飼い主思いなのだろうか!

 勿論、黒い宝石だけではなく、茶色く輝くアーモンドも採集する。
 ほっそいのからぶっといのまで。
 幸い我輩は今服を着ているから収納場所は無限。
 ポケットというポケットに閉じ込めてやれ!

 ―こうしてニャゴローは慣れた手つきで次々ゴッキーを捕まえるとポッケの中へ。
 その数は数百を超えた―
 
 ふぅ~、こんなところか!?
 もう十分であるな。
 
 彼等をここまで養殖するのは大変だっただろうに。
 デカしたぞ肉屋めが!
 仕方がないから褒美を取らせるとするか!

 
 ―ニャゴローは器用に冷蔵庫のハンドルを動かし、その扉を開く。
 徐に中へ入ると、そこにはあり得ない程の肉が!

 しかし彼は今回泥棒ではなく、お礼をする為に冷蔵庫を開けた。
 そこで店主が朝一番に気付く様、庫内あちらこちらへゴッキーをセッティング。
 超低温の為、からだの自由が利かない彼等は大人しく只その場にジッとする。
 全てニャゴローの計画通りだった。
 
 こうして一仕事終えたニャゴロー。
 彼は次の店を警備すべくアーケードの向こうへと消えて行った―

 
 ―― 次の日早朝

 「ギャアァァァァァァァァァァァッ! 出たあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 肉屋は朝から大騒ぎ!
 発見したのは出勤してきた従業員で、混乱した彼女はなぜか110に電話!
 警察まで出動し、あり得ない程の大騒動に発展!
 となれば保健所も黙ってはいない。
 そして肉屋は次の日から一週間の営業停止処分を言い渡されることとなった。

 結果として休みの無いブラック企業の肉屋従業員へ休息を与える事に。
 いい仕事しましたねぇ~。
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