仕事猫ニャゴロー

どてかぼちゃ

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第212話 吾輩はまだまだ深夜警備中なのである!

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 先程まで肉屋の巡回見回りと余計な事をしていたニャゴロー。
 今度はその足で八百屋へ。

 
 さて……と。
 ここは主人ががめついせいか、戸締りはいつもカッチリしておる。
 普通に考えれば防犯はしっかりしていると思うであろうな。

 しか~し!
 母屋の戸締りがスカスカなのを我輩は知っている!
 田舎にありがちな縁側辺りのガラス戸や裏口はノンロックなのだ!

 そもそも店舗と自宅が直結となっておるのに本宅が不用心だなんて……
 先代の時もそうであったが、どうもここの一党はどこか抜けておるな。
 とりあえずだ、裏へ回ってみるとするか。

 ――ニャゴローは裏手の勝手口へ。

 {ガチョ……}

 やっぱりな。 
 この裏手にある扉は取っ手がくるっと回すやつで、以前開けるのに手こずった。
 レバータイプのヤツなら簡単なのだが、このタイプのやつは非常に厄介。
 我輩のかわいらしい前足ではうまく捻れないのだ。

 だから前回来たときに下の方へ小さな石ッコロを噛ましておいた。
 ぴったり扉が閉じない為にだ。
 
 普通ならば閉まる音がしない事へ違和感を感じ、このトラップに気付くだろう。
 そこは抜け策一家、前回同様少し開いたままの状態となっている。
 きっと普段から裏手はカギをかう習慣がないのだろうな。
 
 言っても縁側は時々ロックしてある。
 そこへ行くと、裏手は100%だ。
 これからも気付かれぬよう細心の注意を払わなければな。
 だから今ある石ッコロをもう一つ小さいやつに交換するか。
 これで後2年はこのままいけるだろう。

 ――こうして細工をした後、ニャゴローは八百屋の本宅を経て店内へ。

 
 なんだ!?
 これはどうしたことだ!?

 ――ニャゴローは店へ一歩前足を踏み入れると同時に愕然となる。
 ――なんと陳列された商品が殆どないのだ!

 もしやこれはアレか!?
 既に賊が侵入した後とか?
 
 グヌヌ、これは警備にあたる我輩への冒涜!
 こうしてはおられぬ!

 あ!
 幸いカチャカチャマシーンは被害に遭っておらぬではないか!
 とりあえず中身を保護しなければ!
 
 こうしてこうしてっと……
 カチャカチャカチャっとな……

 {チーン}

 開いた!
 しかし我輩とて持てる限界がある。
 えぇーい仕方がない!
 ここは諭吉のみ保護するとするか!

 ……あれ?
 なぜかポケットがパンパン?
 あ、そうか。
 肉屋でブラックサファイアをしこたま詰め込んだのであったな。
 だったらコイツ等をこのマシ―ンの中へ放すとするか。
 非常に惜しいが、ここは八百屋を賊から守る為に仕方のない事。
 背に腹は代えられん!
 己の利より町の富を優先だ!

 
 こうしてニャゴローはポケットの中身をごっそりと交換。
 手持ちのゴッキーを諭吉へと入れ替え、夜の闇に消えて行った。
 次の日、肉屋へ駆けつけた警察は、そのまま八百屋へも出向くこととなった。

 ※夜間八百屋の商品は専用の野菜保管庫にて保管。
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